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白波が見えた気持ちのいい朝の話

昨夜は東京の荒川で夜な夜な魚釣りをしていた。
帰宅は夜中の2時だった。

朝、アラームが1時間ほど鳴り続けていた。
頭はぼーっとしていた。
空は青黄色だった。

静かに、でも勢いをつけて体勢を起こす。
体が重い。

ゆっくりとベッドのふちに座って窓越しに青黄色の空を見上げる。
青が透き通っていてその上に靄を少しだけかけて黄色を足していることがわかる。

もう少し全体を見たくて立ち上がる。
まず、遠くに海が見える。
白波がチラチラ立っていた。
今日は少し風が強そうだ。

海から伸びてくる住宅街の両脇には山がある。

あまり鳥たちが鳴いていない。
風にしがみついているのか、山を挟んだ横須賀へ避難したのか。
静かだった。

それにしても朝日が照らす森は美しい。
森の輪郭は輝いていて、
葉っぱ一つ一つが見えるほどに柔らかく朝日が溢れている。

朝日が当たる方の山は、発色よくそこに在る。
光の角度がちょうどいい。
今この瞬間、目を窄めることもなく、全身で受け止めて認識することができる。

住宅街は高くても二階建てまで。
その一つ一つ表情が違って、それはそれで人が作った自然だったってことに気がついた。
遠くの戸建ても可愛らしいデザインだとわかる。
誰かの思いがそこにはあって、だからいいなと感じるのだと思う。

自然に囲まれていま、この空間にいる。
ぼーっとしていた頭が喜び始めた。

朝起きたことに幸せを感じていた。

ゆっくりと昨日の残骸を片付けて、シャワーを浴びる。
いつもの冷水から今日はあったかいお湯にして、頭と体をしっかり洗う。

体を拭いて外に出ると、
顔のマッサージをする。

一つ一つがとても心地よい。
今日1日頑張れそうな気がする。

気づいたら東京行きの電車が出るまであと15分になっていた。
最後の最後は焦って、家を飛び出した。

坂を下って見えていた住宅街に入ると、朝日が目に入ってきた。
眩しくても目を見開いてしまう。
逆光の世界。
あらゆるものの表面が光り輝いている。

道路も、草木も、人も、

輪郭がキラキラ輝いている。
息をおもおっきり吸い込むと、日差しで肺が満たされた。

すーっと感情に染み込んで、もっと見ていたくなった。

もう少しゆっくりしたあと、

そのまま海に走っていきたかった。

最近触れ合い始めた言葉と触れ合う時間をゆっくりとりたくなった。

パンを買って珈琲を淹れたくなった。

時間をかけてお昼ご飯を作りたくなった。

木材を買って棚を作りたくなった。

カメラ片手になんでもない午後を過ごしたくなった。

それでも、駅に急ぐ。

生きるとは

暮らすとは

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