そうだ珈琲屋になろう その5
勢いそのままに友人を誘って沖縄へ旅に出た。
せっかくの無職なので長期の計画。
節約の旅はゲストハウスに宿泊で成り立つ。
友人を誘ったのは友人がバックパッカー経験者でゲストハウスにも詳しかったからだ。
長期の旅であったが早々に私は別行動で『ヒロ・コーヒーファーム』へ向かった。
レンタカーで那覇からどのくらい走っただろう。
ヤンバル地区の奥地に農園はあった。
カフェも併設されている農園。
私は数週間前に電話したものだと告げると奥から足立さんが現れた。
「本当に来たんだね。」
少し驚いていたが歓迎してくれた。
時期が悪くコーヒーの実はなってなかったが農園を案内してくれた。
足立さんは
「君はコーヒー事をどれくらい知ってる?」
唐突な質問だった。
正直、本やベルニーニのマスターのおかげで沢山の知識はついている自信はあったが経験はなかったので
「ほどほどでしょうか。」
と答えた。
「今はここで働けないがどこかで働いてごらん。喫茶店でもコーヒーチェーン店でもいい。コーヒーの事をそれまでに色々学んでみてよ。気が変わるかもしれない。それでもここで働きたかったらまた連絡して。」
聞けば農園で働くのとコーヒーショップで働くのは全然意味が違うという。
農園で働くと多くは栽培に夢中になって、その先に行きにくくなるらしい。
焙煎やサービスなどを考えているならお勧めしないという訳だ。
働けないのが残念に思っていたが、訪問して足立さんと色々お話して気持ちは穏やかだった。
カフェで国産コーヒーを堪能して記念に珈琲豆を購入し農園をあとにした。
帰りの車の中で、東京に帰ったらもう1度転職先を探そうと決意する。
沖縄の夕焼け空はとても奇麗だった。
(つづく)
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