「セクシー田中さん」テレビドラマ化問題

「セクシー田中さん」テレビドラマ化問題

「セクシー田中さん」
ラブコメディ漫画
https://youtu.be/5Ci9UNQwAeE?si=qFMy1jKQCbPGdGNb
https://youtu.be/iD9x-aoStSY?si=MCjsnroS2IChC45-
https://youtu.be/-kR9X5w_OHw?si=AsL3FwkAXuU--N3A
作者:芦原妃名子
出版社:小学館
掲載誌:姉系プチコミック
レーベル:プチコミックフラワーコミックスα
発表号:2017年9月号 - 2024年1月号
期間:2017年8月5日 - 2023年12月5日
巻数既刊7巻(2023年10月10日現在)
2018年第9回ananマンガ大賞受賞。
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テレビドラマ版
https://youtube.com/playlist?list=PLmoyULaM_rcySxDa4F4Q_--_DJQ3ZyE-U&si=gwgvtRxIp-oVwJNp
原作:芦原妃名子
監督:猪股隆一.伊藤彰記.宮下直之
脚本:相沢友子(第1 - 8話)、芦原妃名子(第9・10話)
音楽:日向萌
制作:AX-ON(協力)
製作:日本テレビ
放送局:日本テレビ系列
放送期間:2023年10月22日 - 12月24日
話数全10話
視聴率:7.2%、5.8%、6.0%、5.8%、5.8%、5.4%、6.0%、6.5%、6.6%、5.6%.
第118回ザテレビジョンドラマアカデミー賞
主演女優賞(木南晴夏)
助演男優賞(毎熊克哉)
助演女優賞(生見愛瑠)
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漫画家の芦原妃名子先生の訃報に関して、その理由の要因として、メディアが取り上げたのが、著作作品のテレビドラマ化におけるトラブルとそれにまつわるネットの炎上であった。
以後、テレビドラマ化の関係者は、バッシングやヘイトの対象とされて、メディアやSNSで叩かれ続ける事になる。
このほど、日本テレビと小学館から、テレビドラマ化にあたっての調査報告書が公表され、社内課題への対策が合わせて発表された。メディアやSNSは、発表に対して否定的な記事や発言を出して叩くことを止めはしなかつた。中には調査は意味がないとバッシングするものもあった。
では、調査はすべきではなかったのか、また調査結果を公表すべきではなかったのか、と言えば、否であると言えるだろう。調査と結果の発表には、それなりの価値と意義はあったと思うし、やらなくても批判されるのは明白である以上は、やるべきであったと言える。企業としてのコンプライアンス強化の為にも必要であったと言えるだろう。

さて、調査の実施と報告の公開は、必要であり、行えた事については、一定の評価はすべきだと思うが、それと、調査結果の報告内容をどう評価するのかは、別の問題となる。また、今回の件で、芦原妃名子先生の訃報に至る原因への言及を言う方々が見受けられるが、個人的には、それは故人にも故人の親族にも失礼だなと感じてしまう。死への要因について言及し要求できるのは故人の親族だけだと思うからで、他人や第三者がとやかく言うべき事ではないと考えるからである。故人の親族によっては、ネットでとやかく言われる事自体が嫌だったり迷惑だったりすることもあるのだから、そういった事に言及すべきでは無いだろう。発表された報告書の調査対象には、死因とその要因は含まれはいない。その前提での調査であり、分析と提言であることを踏まえた上で評価するべきだし、そうでないなら調査以前の方針への評価として意見すべきだろう。
また、心無い一部の人が、関係者への個人攻撃やヘイトを行っているのが見受けられるのは、残念でならない、モラルの低い人がネットというフリーな世界で、モラルの無い行動をみせてしまうことは、何ら有益な事は無く、害しかないのだが、その事がわからないのかもしれない、残念な事だと思う。ある意味、今回の悲劇は、メディアやネットのヘイトやバッシングによるものであったとも言えるのだから、そこへの言及が無い批判は本質を捉えていない気がする。
今回の問題は、エンタメ業界におけるビジネストラブルとして、捉えて語る事以外は、第三者が口出すべきでは無いと思っている。
私も、コンテンツビジネス研究会に所属する中で、エンタメ業界の方々からお話を伺うこともあったし、経営相談のお手伝いなどに関わった事もある中で、善きにしろ悪しきにしろ、エンタメ業界は狭い業界であり、昔からの人脈や慣例で仕事が動く事が多い業界であると感じることはある。
エンタメ業界だけの話ではないが、日本は欧米と違い訴訟社会では無い、欧米とのビジネス上の付き合いは最終的に契約が全てといったところがある。ビジネスであれば、契約を交わすのは当たり前であり、トラブル防止の為にも契約内容は全て書面にして確認の上で署名したところから仕事が動き出すというのが常識であるのだが、残念ながら日本社会では契約書を交わす文化が薄いという実体があったりする互いの信用に基づく契約なのだから、書面にせずとも問題無いだろうという感覚が残っているのである。以前から、そこは指摘されており、少しづつ改善されているのだが、いわゆるフリーランスの皆さんには、まだ浸透しきれていないとも言える。

メディアの報道内容は、匿名識者による小学館や日テレへの批判だけで、問題の中身について、きちんと語るものは皆無だった、メディアが問題に本気で向かい合う気が無いことがよく分かるレベルの記事ばかりで、メディアの劣化を感じさせられた。残念ではあるが、仕方ないのかもしれない。
報告内容の詳細にはここでは、触れないが、どちらの調査報告も、弁護士を入れて、現状可能な情報の収集と解析、評価を行っており、一定の評価は出来る。再発防止策の提言内容が、今後、しっかりと履行されるのかが、重要であると言えるだろう。
また、他のテレビ局、出版社においても、同様な問題を抱えている可能性は否めない。今回の小学館、日テレの報告を、もっとも関心をもって考えるべきなのは、他のテレビ局、出版社の方々であると言える。今回の件をきっかけにして、しっかりとした社内のコンプライアンスの見直しと強化に取り組んでもらいたいと願ってやまない。

ちなみに、報告書では、ドラマの制作作業に関する言及はない、今回の問題が脚本アップ後の制作工程が関連しないという事もあっての事ではあるが、映像作品は、制作集団により創造されるものであり、そこへの負担についても、間接的には関係する部分もあったかもしれないなっとは思う。

コミック原作の映像化の企画は、これまでも多数存在しており、実施されてきていたはずなのだが、やはり、ノウハウの継承が出来てないのかもしれないという気がした。なんだかんだいっても人に依存する部分が大きい業界であることは間違えなく、今回の件にしても、別のプロデューサーなら発生しなかった可能性もあっただろうと思われる。また、コミック原作を扱う事が多いアニメ部門とは、異なりドラマ部門は、オリジナル作品の方が圧倒的に多い事も上手くコントロール出来なかった要因だったかもしれない。(2024冬民放ゴールデン・プライムタイム放送ドラマ16作中13作(81%)が原作のないオリジナルドラマとの事). ノウハウや情報の共有化と継承は、重要な課題ではないのかな。今回、提示された今後への提言の内容が、具体的な取り組みとして、どう展開されたのかを、出来るなら1年後に報告して欲しいところではある。株主の皆さんには、ぜひ要望して欲しいですかね。

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<日本テレビの報告より>

目的:ドラマの原作者、脚本家、出演者、制作者等が、より一層安心して制作に臨める体制を構築するために、以下の事項を目的として調査、分析及び検討を行った。なお、本件原作者の死亡原因の究
明については目的としていない。
イ) ドラマ化の企画から原作者の最後のネット投稿に至る事実関係の調査
ロ) ドラマ制作の全過程とネット投稿への対応に関する問題点の洗い出し
ハ) ドラマ化の条件・過程に関する原作サイド(原作者・小学館担当者など)及び制作サイド(日本テレビ担当者・脚本家など)の認識の分析
ニ) 上記(イ)~(ハ)により判明した問題点を踏まえた今後へ向けた提言の検討

内容:
1.特別調査の概要
2.前提となる事項
3.認定された事実
4.本件の分析・検証
5.今後へ向けた提言

ーーー
<小学館の報告より>

調査の目的 :本委員会は、本事案の事実経緯を調査し、芦原氏が亡くなられたことに影響を及ぼしたと考えられる事情を検討し、それらの事情における小学館の対応の問題点を抽出し、再発防止のための改善案を提言することを目的とする。

内容:
1.事実の概要
2.調査について
3.調査結果
4.考察
5.再発防止策の提言

当社刊行作品の映像化に関する、今後の指針について
ーーー

◎小学館プレスリリース
2024.2.8
芦原妃名子先生のご逝去に際して
https://www.shogakukan.co.jp/news/476200
2024.6.3
特別調査委員会による調査報告書公表および映像化指針策定のお知らせ
https://www.shogakukan.co.jp/news/476401

◎日本テレビお知らせ
2024年5月31日
ドラマ「セクシー田中さん」
社内特別調査チームの調査結果について
https://www.ntv.co.jp/info/pressrelease/20240531.html

ーーー以下、小学館リリース引用ーーー
特別調査委員会による調査報告書公表および映像化指針策定のお知らせ

2024年1月、漫画家・芦原妃名子先生が逝去された事につきまして、改めてお悔やみを申し上げます。また、ご遺族にも深く哀悼の意を表します。
当社は、芦原妃名子先生に関する一連の事案について、事実関係の調査、問題点の洗い出し、必要な改善策提案を目的として、弁護士を含む特別調査委員会を設置し、調査を行ってまいりました。
この度、特別調査委員会より報告書を受領いたしましたので、その概要と、報告書を受けて当社が作成した映像化指針を下記のとおりお知らせします。調査にご協力をいただいた日本テレビの皆様はじめ関係者の皆様には、厚く感謝申し上げます。
報告書の公表は、当該事案関係者への批判を意図しておりません。関係者個人への誹謗中傷は、厳に慎んでいただきますようお願い申し上げます。
なお、公表する報告書は、関係者のプライバシー配慮及びその保護、機密情報保護のため、部分的な非開示措置をとっています。

PDF1 報告書
PDF2 映像化指針
ーーー以上、引用終わりーーー
ーーー以下、日テレお知らせ引用ーーー
ドラマ「セクシー田中さん」
社内特別調査チームの調査結果について
 2023年10月期ドラマ「セクシー田中さん」の原作者・芦原妃名子さんに、哀悼の意を表するとともに、謹んでお悔やみ申し上げます。
 日本テレビは今回の事態を極めて厳粛に受け止め、本年2月、ドラマ制作部門から独立した社内特別調査チームを設置し、原作漫画「セクシー田中さん」の出版社であり、ドラマ化にあたって窓口となっていただいた小学館や、外部有識者の方々にも協力を依頼して2月23日より調査を進めてまいりました。
 このたび調査結果がまとまりましたので、ご報告させて頂きます。

※PDF報告書概要 
※PDF報告書 
※PDF別紙1 
※PDF別紙2 
※PDF別紙3

<日本テレビ 石澤顕 代表取締役社長執行役員のコメント>
 日本テレビが放送したドラマ「セクシー田中さん」の原作者である芦原妃名子さんに対し心より哀悼の意を表するとともに、ご遺族の皆様にお悔やみ申し上げます。
 日本テレビは、今回の事態を重く受け止め、客観的な視点で経緯と問題点の分析・検証を行うため、外部の有識者を入れた調査を行ってまいりました。小学館はじめ、この調査にご協力いただきました皆様に感謝申し上げます。
 調査チームがおよそ90ページにおよぶ報告書をまとめました。
 この調査の中でも、改めて芦原さんがまさに心血を注いで原作「セクシー田中さん」を作り上げ、そして、ドラマ制作に向き合っていただいたことを実感いたしました。
 また脚本家の方は素晴らしいドラマを作るため、力を尽くしていただきました。
 このドラマの制作に携わっていただいた全ての方々に、心より感謝申し上げます。
 一方で、ドラマの制作に携わる関係者や視聴者の皆様を不安な気持ちにさせてしまったことについて、お詫び申し上げます。
 この調査報告からドラマ制作者側と原作者側のお互いの認識の違い、そこから生じているミスコミュニケーション、ドラマの制作スケジュールや制作体制、契約書の締結時期など、今後日本テレビとしてさらに厳しく取り組まなければならない点が見つかりました。
 日本テレビとしては、指摘された課題についてテレビドラマに関わる全ての方が、より安心して制作できるよう、責任をもって取り組んでまいります。
 今後も見守っていただきたいと思います。

以上
日本テレビ放送網株式会社 総務局広報部
ーーー以上、引用終わりーーー

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