ニンジャの話 その30 レビュー
宿泊していただいたJennyさんからのレビューです。母から連絡が入らなかったのは、母は母なりの精一杯のおもてなしをしていて連絡する暇さえなかったからでした。介護しながらの初ホストでしたが、嬉しいことに認知症を患っている父もゲストを大歓迎! 子供さんと楽しく遊んでいたということです。観光の素晴らしさです。認知症の父ですら観光のコンテンツとなって日本を訪れたゲストに出会い、喜び、そして思い出を提供することができていたのです。
当日、カスタマーサポートとして待機していた私には連絡は入りませんでした。翌日チェックアウトの時間が過ぎたころ、私は母に確認の電話を入れました。
「お母さん、どうだった?」
「なんかね、香港からいらっしゃった方でね、子供さんもいらっしゃっていて賑やかだったわ。日本に1週間いるんですって。レンタカーで日本を回ってるんですって。おうちに入ってからものすごく喜んでくれてね。英語だったからよくわからなかったけど、一所懸命誉めてくれているみたいなのはわかったわ。私もこんなにお家のことを褒められて嬉しかったわ。それでね。お父さんがいつものように子供さんに手品したりして遊んでくれてね。子供さんたちもすごく喜んでた。朝は早く出発する予定だったみたいだから簡単におうどん作ってお出ししたらとても喜んでくれてね。サンキューサンキューって言ってた。私も「サンキューサンキュー」って話したの。」
嬉しそうに母は昨晩の経験を話してくれます。
「それでどうだった?あとトライアル2回あるけど、続けても大丈夫?」
「そうね、こんな方達だったらいいわね。意外と言葉も通じるみたいだし、もう少し様子見てみてもいいわね」
私はほっと胸を撫で下ろしました。最初のゲストが良い方達で母もまんざらではないようです。特にお家のことをすごく褒めてもらえたことで承認欲求を強く満たされたと感じました。話をしていても達成感で嬉しそうです。また父が一緒にホストしても問題ないこともわかって一安心です。そして予想していた通り、お客様が来ると母は嬉しくサービス精神を発露し、相手が喜んでくれることに喜びを感じているようでした。ゲストのJennyさんも宿泊翌日に前述の素晴らしいレビューを書いてくれました。それを訳して母に伝えると再び母は大喜びです。
認知症の父の介護で外界とのコミュニケーションが少なくなっていた母を私は心配していました。民泊は自分から出向かなくても、父と一緒に自宅でお客様を迎えることで新しい人々と会える。母の精神衛生にも良さそうです。私は上々の船出に胸を撫で下ろしました。
そして、間髪を入れず次のゲストがいらっしゃいました。トライアル2回目のスタートです。
続く
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