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ニンジャの話 その41

2019年12月。Ninja Mansionの話は中国国内ではテンセントビデオ、中国以外の国ではYoutubeでリリースされました。そして私たちはその爆発的視聴数に驚くことになりました。1ヶ月で5,000万回も再生されたのです。

ちなみに比較しますと、同時期2019年にリリースされてメガヒットになったYOASOBIの「夜に駆ける」が5000万再生されるのに9ヶ月かかっています。2021年でいうとADOさんの「」が6ヶ月で5,000万再生です。2019年に1ヶ月で5,000万再生のインパクトがわかると思います。私たちは奇遇人生を視聴した方達から多くの感想とご予約をいただくこととなりました。もしかしたら中国で一番知られている日本の民泊施設になっているかもしれません。細い糸を辿るようにつながったdotsが5000万ものdotsとつながった出来事でした。

YouTube版の本編はこちらから視聴できます。

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問題が起きたとき、人は大きく分けて3つの方法で対処できると思います。問題を解決する、問題を隠蔽する、問題とともに生きるという3つです。

父が認知症を発症したとき、私の母はできるだけ認知症である事実を隠そうとしていました。父の晩節を汚したくないという考えです。これは理解できます。認知症であることを公開して得になることはないだろうと思います。しかし私は認知症であることを公開して認知症とともに生きるという選択を推しました。認知症は解決できない問題です。ならばせめて公にしてこの問題と共に生きる方を選択した方が父のため、また同じ病気に苦しむ世の中の家族のためになると考えたからです。母がこの考えに賛同してくれるようになるまでは時間がかかりました。しかしNinjaの営業を通じで父が認知症であっても多くの方と楽しくコミュニケーションできること、ハーモニカ演奏して人と心で繋がることができることを知りました。そして最終的には同意してくれました。

元々の性格が明るく元気な父は持ち前のキャラクターで強く明るく生きていることを奇遇人生の番組の中でも見ていただけると思います。彼は病気に負けるような人ではないのです。そして病気になったからといって彼から尊厳が失われることはないと信じます。むしろ肩書きやキャリアの名声を失ってなお強く輝き続けていることでむしろ私は彼を誇りに思っています。ぜひ彼の人としての強さ、明るさを知って見ていただきたいと思います。問題は隠すのではなく、共に生きる。それでいいのだと思います。

この経験を通じて私は観光という産業が持つ懐の広さを感じることができました。認知症である私の父ですら観光産業では働ける可能性を示してくれたのです。中国からいらっしゃるゲストの多くが私の父と会いたがります。そして彼のハーモニカを生で聴きたいとおっしゃっていただけるのです。私の父は認知症になってですら私たち家族のために働くことができるのです。秋田で初めて見てショックを受けたババヘラアイスの如く私の父はコンテンツとなったのです。受け取りようによっては実の父を見せ物にしているとご批判を受けることもあるかもしれません。しかし私の父はお客さんがいらっしゃるとそれは嬉しそうにハーモニカをご披露してくれるのです。批判は批判として受け取った上で、私は父に楽しんでゲストの方々にハーモニカを披露し楽しく歌を歌いゲストを歓迎してほしいと思っています。そうすることによって彼は問題と共に生き、社会と繋がり貢献できると思います。私の父は観光によって病を得ても「生涯現役」となることができたのです。観光って素晴らしいです。医療の進歩によって長くなった寿命をどのように使うのか。私が医療から観光へ転身した際に感じていた問いに私の父は一つの解を与えてくれました。

以前、林間スキーの話をしたと思います。問題を見て林間を滑ろうとすると問題しか見えません。問題を見ずに滑り抜ける道を探すことに集中すると、幾つもの滑り抜けるルートが見えるようになります。私は認知症という絶望的な病気ですらこの例を当てはめることができると父から教わりました。気づきをくれた父そして母に心から感謝しています。

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40日に渡り続けてきたニンジャの話もそろそろ終わりです。この話は私の家族に起きた実話です。このNoteはTrip.com Japanの社員そして今後入社されるかもしれない方々に向けて書いています。40日もかけましたが、この話を例にして私が皆さんにお伝えしたいことは実はシンプルです。

それは自分のオリジンを大切にすること、大きな変化を起こす小さなきっかけを大事にすること、問題があってもそれと共に生きて希望を持ち続けること。この3つです。

あなたが大事にしている思いや問いは何ですか? 
時々思い出して忘れないようにすると良いかもしれません。

日々少しでも新しいことにチャレンジしていますか? 
後から見返すと些細なことから変化は始まっているかもしれません。

問題や心配に心を痛め過ぎてはいませんか?
私の経験から言いますと…  きっと大丈夫です。








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