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数学的宇宙と実在的宇宙

人類は宇宙のダイナミズムとその絶妙なバランスの中から誕生したにもかかわらず母なる宇宙の究極の姿を追求し続けている。だがそれは所詮、釈迦の手のひらの上で踊らされているだけなのかもしれない。数式を駆使することで”記述される宇宙”と”宇宙の真の姿”とはいかなる相関関係がありや否や。

数学は「宇宙共通の万能言語」であるから数式を駆使すれば宇宙の実像が見えてきそうな期待を抱かせるが、数式によって記述された世界がはたして宇宙の実像を反映しているかどうかは、それを証明する超越的視点の存在を前提にしなければ成り立たないのでその問いには永遠に答えることができない。

すなわち私たち人間は自身の認識能力(人間理性)の限界を超えて宇宙の実像を捉えることはそもそも形容矛盾であり決してできない。数式を駆使して捉えることができる宇宙は実は極めて人間的な視点で捉えられた”私たちの宇宙”の姿にすぎない。

とはいえ、数学的宇宙は実在的宇宙となんらかの相関関係がある可能性を否定することはできない。いや、人間理性のフィルター(脳という認識器官)を介して捉えられた数学的宇宙はおそらく実在的宇宙の側面(あるいは断面)を、有限者としての人間的視点に立って表現しているものと思われる。

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