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『新・北九州市議海外視察公費返還訴訟判決』上巻

 令和4年3月30日に福岡地方裁判所で『北九州市議海外視察公費返還請求訴訟』の判決言渡しがありました。結果は残念ながら『すべて棄却する』の全面敗訴判決でした。

当初から多くの物的証拠に溢れた事件だと思っていたので、2年間もの長い時間がかかるとは思っていなかった。確かに裁判に不慣れな人には異様な光景に映ったかもしれない。私自身も初めての経験である。判決日に原告弁護団は誰も出席していない。何か意味があるのか理解できなかった。流石に被告側は弁護士及び北九州市行政派遣された3名は真剣に見守っていた。勝訴を信じているかの様に自信に満ちて裁判官の短い言葉を聞き入っていた。

 傍聴席はほぼ満員である。裁判官の『原告の請求を棄却する』の一声で閉廷した。『不当判決』と騒ぐ傍聴人は誰もいなかった。政治家自身の不信は今に始まった事ではないが市議への信頼感は完全に失われた。むしろ助長される事になるのではないかと懸念している。同時に多くの市民の関心も完全に失っていくに間違いない。そこで市行政の職員の市民を無視し沈黙させ勝ち誇った笑顔と小さなガッツポーズが気になる。これからは『何を』しても裁量の範囲であると許容されてしまうのではないかと、無念なことである。全く、学生の修学旅行と議員の視察旅行、どこが違うのか、今やその相違を見出せるのか、分からない。

 判決では『観光地見学については単なる観光と区別し難い面がある』としながらも『市のテーマに沿い、視察がほぼ予定通りに行われ、実態が私的な観光と断じることはできない』と判断、公務中の飲酒は『不適切な行為であることは当然だが、議員の自覚やモラルの問題で違法と認められない』とした。市議にとって目的のない視察旅行などあるわけがないはずだ。スペイン・フィンランドを選択したのも議員の視察テーマに沿って選んだ事ではなくても、JTB旅行会社に全て丸投げして決められたものであってもお咎めなし。流石に優秀な旅行業者は観光旅行さえも意図に簡単に視察旅行に変身させることができるとはお見事しか言いようがない。

JTBの狡猾な視察旅行振プランには、長年多額の委託手数料を頂くだけの事はある。市議海外視察旅行に同行した8名市議全員を観光旅行とは言えないと被告弁護士を黙らせるのに長けていたシナリオで、容赦のない一撃を与えたかったのであるが、残念である。

福岡地方裁判所

追伸

 北九州市と同様の裁判で、『香川県議海外視察旅行旅費返還訴訟』では高松地裁の判決は『視察旅行は100%観光旅行である。公費で支出された旅費は全額返還すべきである。』裁判官は検事出身の偏見のない裁判官であった事、被告側は能力に欠けた弁護士を採用した落ち度を犯した事である。

北九州市議海外視察旅行の福岡地裁の判決にあたり行政訴訟では行政有利な判決を下す偏見的裁判官であったこと、被告側の経験豊かな優れた弁護士が担当したことは大きい。

 原告側のオンブズマン弁護団の戦略ミスが大きく響いた事は間違いない。例えば、平成30年6月30日土曜日スケジュール通り、午前中ヘルシンキのケーブルファクトリーを訪問した時、その日は休日で視察見学できなかった事実を『海外視察報告書』に書かれている。その様な杜撰な計画で視察が中止になった事は事実である。特に、福岡県では行政訴訟で勝訴することは現実には難しい事が良くわかる例であると思う。しかし、その後、海外視察旅行を申し出る勇気なる市議は誰もいない。

視察旅行と観光旅行の明白な相違を訴えて、論理的に定義を立証する事が課題である事が理解できた。


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