おばあちゃんはどんどん忘れていく。僕のことも、お母さんのことも、一緒に暮らしていた猫のことも、記念日も、もう何も思い出せない。
そして、とうとう徘徊が始まった。一日中捜しまわって、ようやく見つけたその日の晩、おばあちゃんの右手には僕の大好物だったケーキ屋の箱が握られていた。

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