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HOLY NIGHTS 第6話「デライラとの密談」(連続小説)

藤田との相談を終えて、
深夜帰宅した純。

そこそこ売れているわりには、
2DKの質素なマンション。

純は衣食住に
あまりこだわらない。

一室はベッドルーム、もう
一室は仕事部屋。

デライラはいつも
ダイニングの食器棚の上にいる。

洋介が打ち合わせに来ても
殆どこのダイニングで、
デライラとの三者会議となる。

「デライラ、みゃーぉ!」

純が大きな両腕を広げると、
デライラは食器棚からダイブして、
純の胸に飛び込む。

「純はデライラの虜だからな」

自分のことを「純」と言うのも、
デライラ相手のときだけである。

三毛猫は99%が雌猫で、
もちろんデライラも女の子である。

「純が一番好きな女の子は
誰か知ってるよね?」

「ミャーオ」

「そうそう、デライラ、
君なんだよ」

純の独り言に、デライラは
機嫌よく付き合ってくれる。

「デライラは、純のこと好き?」

「ニャーオ」

熱心に応えるデライラを、
純は抱きしめる。

「そうか、ありがとう。
僕も君にメロメロだよ」

そう言って、猫とひとじゃれすると、
純はシャワーを浴びにいった。

 
ベッドルームで寝転んでいる純のもとに、
デライラは忍び足で寄って来る。

「おいで!」

純の一言に、デライラはベッドに
飛び乗ると、純の胸の中で
ゴロゴロのどを鳴らす。

が、急に鼻をくんくんさせ、
微妙な表情になる。

「あ?・・・ははは、
さすがだね、奥さん」

藤田とちょっと火遊びをした純を、
シャワーにも関わらず察したらしい。

「ごめん、ごめん、お前は
洋介派だもんな」

洋介と何かあっても、
デライラは拗ねない。

「ねぇ、デライラ、相談なんだけど、
聞いてくれる?」

猫は冷たい目で純を見つめる。

「最初からそんなこわい顔しないで。
ほら、笑って」

純はデライラの小さな顔を
大きな両手で包みこむと、
わざと笑い顔にさせようとする。

それを甘んじて受け入れている
デライラ。

しかし、不快度数は80%くらい
いってることを
飼い主の純は分かっている。

「あのね、デライラ、益子かれんって・・・」

そう言ったとたん、
猫は「シャー!!」と声を上げ、
純に猫パンチを食らわせた。

思わず笑いくずれる純。

「すごい拒絶反応だね。
やっぱ女性ってのがお気に召さない?」

デライラは、フンッと純に背を向けると、
ベッドから飛び降り、
ダイニングへと向かった。

「こりゃ、前途多難だな」

純は笑いを含んで、
そうつぶやいた。


              続

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