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HOLY NIGHTS 第32話「藤田大和と沙希の母子関係」(連続短編小説)

大和はその夜、
沙希に電話していた。

先程の藤田に切った
タンカとは別モノの感情。

やはり女親には
甘えてしまうのだろうか。

半ベソをかきならが、
父親が自分より純を
大切に思っていることを
聞かされて、沙希は溜息をつく。

「・・・愛情の種類が違うって、
前にも言ったじゃない。
それに良樹もバカで、
‘プロデュース’という意味で、
ヘンに大和に対抗心を持ってる。
父と息子のライバル心よ」

「純さん相手に?」

その質問に、
沙希は再び深い溜息をつく。

「良樹ばかりか、
大和までが、純さんに
ハマっちゃうなんて・・・
沙希ママ、純さんを
呪い殺しちゃいそう」

沙希の言葉に、大和は笑った。

「何だろうね、あの人」

「アンタや、良樹のアンテナに、
ビビッとくるフェロモンを
発してる女の敵、あるいは
性別を越えた何か」

沙希の意見に、
大和は神妙に納得する。

「とにかく、
良樹から聞く純さんネタは、
戯言だったけど、
大和から聞くと、ママ、心配だわ~」

急に母親心理に
陥った沙希に、
大和は男らしく言い切る。

「大丈夫だよ、ママ、
父さんだって何も、
純さんが全てではないのと同様、
僕も、全てではない」

「・・・っんま!!」

14歳の少年の口から
そんな言葉が出ることに、
沙希は余計不安になる。

「良樹はとっても立派な
プロデューサーよ。
それを見習うのは、いいけど、その・・・」

「性的なコトだろ。
ママが困らすような
息子にはならない」

ズバリ言われて
ショックであると同時に、
沙希には、どうも信じがたいようだ。

「そうかしらねぇ・・・。
せめて、本当に遊ぶのは、
自分で稼げるように
なってからにしなさい。
良樹の庇護の元、遊んでるなんて、
ホント、子供だから」

‘遊ぶ’と太鼓判を押されて、
大和は苦笑する。

「沙希ママ、
相当苦労したんだね」

沙希は電話口で吹き出す。

「大和とこんな話しを
する日が来るなんてね。
まだ、大和が未成年のうちは、
ママが守ってあげるから、
いつでも相談して」

「成人したら?」

「勝手になさい!」

また一方的に電話を切られて、
大和は苦笑する。

「父さんもあれだし、
沙希ママもこうだと、
僕に遺伝子的には、かなりヤバイなー」

大和は、純の唇を
ふっと思い出し、
体が熱くなるのを感じた。

「沙希ママ、ごめん、
すでにヤバイかも」

             続

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