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HOLY NIGHTS 第34話「純の真意」(連続短編小説)

今夜、純は久しぶりに
一人で家で飲みながら、
デライラと話しをしている。

「純の独り言、聞いてくれる?」

猫は胡散臭そうな目で、
純を見る。

「そのカオ、大好きだよ、
デライラ」

純はデライラを抱きしめると、
猫はその手から
すり抜けようとする。

純は猫の・・・特に
デライラのこういう釣れない
ところが好きだった。

純は強引に猫を抱き込み、
話しを続ける。

「まずは、君を怒らせない
話題から。
君の大好きな洋介が、
良樹ととても意気投合してくれた。
新しい何かが始まる予感がする」

「ニャー(予感?)」

デライラの相槌を勝手に解釈して、
純は続ける。

「いや、確信かな。
なんか、音楽シーンが
変わっていくような気がする」

「ニャー(ふーん)」

デライラは無関心で、
逃げ出すスキを狙っている。

「でね、ここだけの秘密だよ。
洋介にも絶対ナイショだよ。
大和が純にキスした」

猫が目を丸くしたような気がして、
純は笑う。

「びっくりだろ?
ヤツの将来を考えると末恐ろしい。
どんな男に成長するんだろうな」

そう言った後、純は少し考える。

「かれんさんのことなんだけどさ・・・
彼女の強さも脆さも、純にはわかる。
そして決して嫌じゃない。
人間ってそういうもんだし、
それを敢えて純に見せてくれた
かれんさんはあっぱれだ」

かれんの話になると、
デライラは猫特有のしなやかさで、
純の腕をすり抜け、
ダイニングに行ってしまった。
 
純は笑う。

「引っ掻かれなかっただけマシか・・・。
でも、デライラ、君の態度ひとつが
万事を示してる。
純がかれんさんに惹かれたら、洋介は?
かれんさんは好きだ。
全て受け止めたい。
でも、洋介は・・・好きを通り越して、
必要不可欠な存在なんだ」

ダイニングからこちらを
見ているデライラに、
純は呼びかける。

「デライラ、洋介のこと、
行くか?」

猫は「ニャー♪」と
純の元に戻って来た。

「こーゆーことなんだよな」

純は苦笑して、愛猫を抱きしめる。


             続


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