霧多布岬へ2泊のつもりが、訳あって急きょ釧路に1泊した。
突然の釧路泊だったが、いつも釧路を訪れるときのように、住民のように街をぶらぶらすることにした。
釧路中央図書館の釧路文学館で開催されていた企画展「アイヌと文学」に足を運ぶ。
北海道を訪れるようになってから、アイヌ民族の考え方や暮らし、そして歴史について、深く考えるようになった。
今回の企画展は、アイヌ文化伝承者 山本多助氏に関わる展示が中心だったが、その中で逓送人だったアイヌの吉良平治郎さんの話に心を奪われた。
和人に虐げられた生活にありながら、命がけで職務を全うしようとした吉良さんの姿に、心を打ちぬかれた。
それから数時間後、帰途につくために、フィッシャーマンズワーフMOOの待合室で空港行きのバスを待っていた。
目の前に、掃除係の女性が、トイレの掃除を終え掃除用具の入ったバケツをもって出てきた。
70歳は過ぎているだろうか。腰が曲がっているためか、とても小柄に見えた。
バケツを壁際に置き、施設に入る自動ドアと、さらにその奥にある手動ドアを雑巾で拭き始めた。
拭いては少し離れたところから拭きムラを確認し、また拭き直す。その動作を何度も繰り返していた。納得がいくまで。何度も。
人はなぜ働くのか。
仕事とは何なのか。
定年まで2年。
思えば、学卒で就職してからずっと、働くことに迷いを抱いてきた。
この仕事は本当にやりたいことなのか。
もっと自分を評価してくれる会社があるはず。
何のために生きているのか。
そんな思いの中、取得したキャリアカウンセラー
自己概念、自己実現、経験代謝・・・
キャリアアップ?
仕事を楽しむ?
突然の釧路泊で
突然考えさせられた「働くということ」
定年目前にしても、なお答えは見つかっていない