それでも恋は恋―長柄高校馬事文化研究部活動記録㊽
【4/24東京11RフローラS回顧】
愛することに疲れたみたい……
璃子「フローラステークスは捨てた女にやられたねえ……」
姫「ルメール騎手から田辺騎手に乗り替わったエリカヴィータのこと? たしかにこのレースでラスールに騎乗していたルメール騎手は前走まで主戦だったエリカヴィータも『選べる』立場にあったけど、捨てた女って、あんた……」
璃子「ルメールだけじゃないよ。ハヤタだってこの馬のことは捨ててるんだから」
ハヤタ「ちょっ……人聞きの悪い言い方はやめてもらっていいかな……。しかも太字で……。そりゃたしかに、昨年末、阪神JF未出走組で注目の1頭としてこの馬の名前を挙げていたけど」
恵麻「そうだよ! デビュー戦の回顧でもハヤタ君は、『筋肉の質がいい』『距離やコースもオールマイティ』『広い東京コースは合う』と、今回の好走を予感させるコメントを並べているんだよ!」
璃子「それだけ持ち上げた女をあっさり袖にするなんて……ひどいな」
恵麻「女の敵よ!」
ハヤタ「そんなぁ……」
姫「こらこら、あんまりハヤタをからかうんじゃないの。今回エリカヴィータを切ったのは私たちみんなの総意だったでしょ」
璃子「前走フェアリーステークスの敗戦を重く見ちゃったんだよね……」
恵麻「トリッキーな中山マイルでの負けだったし、結果的には度外視でよかったってことかあ」
姫「よくよく見れば10着といっても勝ち馬との着差は0秒8。大きく負けていたわけでもなかったしね。それに、そこから桜花賞戦線を思い切ってパスして、このフローラステークスに照準を定めた陣営の選択も功を奏した。じっくりと立て直しをはかり、狙ったレースを一発で仕留めた国枝厩舎の手腕も見事よね」
ハヤタ「乗り替わった田辺騎手との呼吸もぴったりだった。好位のインでばっちり折り合っていたし、道中の手応えからしてもう『勝つオーラ』が出てる感じだった」
璃子「田辺かあ……エリカヴィータのやつ、イイ男を捕まえたね!」
姫「まだ引っ張ってたのね、その流れ……。まあエリカヴィータはこれでオークスの優先出走権も得たし、あらためて注目したいわね」
ハヤタ「今回のレース振りから見て2400mへの距離延長も問題なさそうだよ」
恵麻「2着のパーソナルハイも逃げて上々の粘りを見せた。ハナにこだわる競馬が合っていそうだし、オークスでも展開の鍵を握る1頭になりそうだね」
璃子「私たちが推したマイシンフォニーとラスールはそれぞれ4着と6着。どちらも直線ではちょっとジリジリになっちゃった印象だね……」
ハヤタ「マイシンフォニーは懸念してたとおり序盤ですこし掛かってしまったよね。それで4着に残っているあたり能力もこの距離への適性もあるんだろうけど、やっぱり折り合い面に関してはまだまだ改善の余地があるなと思わせる敗戦だった」
姫「ラスールは逆に折り合いはついていたのに直線では伸びきれなかった。これは距離の壁なのかしら?」
ハヤタ「うーん、体型的には2000mくらいまでなら大丈夫なように見えるんだけどね。今回は転厩初戦でもあったし、調整が難しい面があったのかもしれない。この馬に関しては本調子での走りを見てから距離面も含めジャッジを下したい」
璃子「嫌いになったわけじゃないと……」
ハヤタ「だから人聞き……」
【4/24福島9R雪うさぎ賞回顧】
今度生まれてくるとしたなら
恵麻「でもね、1回2回の敗戦で見限らず追いかけ続けてるといいことがあるんだよ。って好例が4/24福島9R雪うさぎ賞のバーニングアイズ」
璃子「1勝クラスに昇級後17着、10着と振るわなかったけど、ここは果敢にハナを奪って3着と健闘。複勝1360円と穴を開けたんだよね! 福島コースに替わって残り目がないかと色気を出したのがよかったよ。やっぱり女で生まれてみたい!」
恵麻「大事だよね、色気。あいかわらず逃げ脚は速くてここでも自分のカタチに持ち込めた。最後は外から人気勢がどどどと差し込んできて接戦になったけど、ぎりぎりしのいでくれた」
ハヤタ「馬体重マイナス10キロは心配材料だけど、スピードはこのクラスでも十分通用することがわかった」
姫「そうね。この馬に関してはローカルの芝1200mと狙い目がはっきりしている感じだし、今後も追いかけていきたいわね」
璃子「二度とヘマはしない!」
【4/30東京1R、5/1福島1R、5/1東京2R展望】
あなたになんかつまずかないわ
姫「さて今週も3レースでPOG指名馬の出走があるわ。時期的に出走できてもあと1、2鞍くらいだろうし、未勝利の馬はなんとか勝ち上がりを狙いたいわね」
恵麻「まず4/30東京1R未勝利戦でクルールデュヴァンが復帰。昨年末、厩舎で調整中に少し股関節を痛めて牧場に戻されてたみたいだね。幸いその後は問題なく乗り込まれたみたいで、目標にしてたこのレースに出走が叶った」
璃子「ざっと見渡してもめぼしい相手は2、3頭。時計面でも抜けた存在だし、普通に本命でしょ、ここは」
ハヤタ「首が短くて背中と胴も詰まった短距離体型。それでいて肩が寝ていてストライドが伸びるから、広々としたコースが向く。東京のダート1400mはかなり合うと思うよ」
璃子「鞍上に今週から短期免許で来日するダミアン・レーン騎手を配してきたあたりも勝負気配を感じるよね。騎手効果もあって人気にもなりそうだけど、ここは勝負でしょ。期待度100%だ!」
姫「満点が飛び出したわね。5/1福島1R未勝利戦に出走するルナエルモッサはどうかしら」
恵麻「中1週でここに挑戦するのは予定通り。前走は湿ったダートで2着と適性を見せたから、今回もひと雨あると嬉しいね」
姫「今回も中団より前で流れに乗って勝ち負けに持ち込みたいところよね。手綱は新人の西塚騎手に託されたわ。新人ながらすでに2勝をあげているし、期待できるんじゃないかしら。斤量が51キロになる恩恵も、もちろんある」
ハヤタ「あとは小柄な馬だけに輸送競馬が鍵になりそうだね。追い切りは坂路で軽めにとどめたみたいだけど、なんとか馬体を維持してほしい……」
璃子「この馬にとってはPOG期間内に初勝利を挙げる最後のチャンスになるかもしれないね。課題はいろいろあるけど、期待度は70%だ」
恵麻「3頭目は5/1東京2R未勝利戦のフレイムジョーカー。前走は浦和の交流戦で3着。今回は中央場所に戻って初勝利を目指す1戦となるね」
姫「前走後は疲れをとりつつじっくり調整されたようだけど、体調は上向いているみたいね。良い状態でレースを迎えられると考えていいんじゃないかしら」
ハヤタ「1本調子な面があってなかなか乗り方が難しいようだけど、松本大輝騎手がどう導いてくれるか……」
璃子「前走逃げてきっかけをつかんでいるとすれば、減量54キロでチャンスはある。期待度は……ちょっと辛めだけど55%としておこう」
【4/30東京11R青葉賞(GⅡ)展望】
男はいつも待たせるだけで
姫「さて今週末はオークスとダービーに向けたトライアルレースが東京競馬場でおこなわれるわ。残念ながらどちらもPOG指名馬の出走はないから、気になる馬や人気になりそうな馬を中心に、簡単に展望していきましょうか。まずは4/30土曜日に東京競馬場でおこなわれるGⅡ青葉賞から。ダービー本番と同条件となる芝2400mで、2着までにダービーの優先出走権が与えられるわ」
恵麻「人気を集めそうなのはまずレヴァンジルかな。2月に今回と同じ東京芝2400mのゆりかもめ賞で勝利。阪神に遠征した前走のすみれステークスでは2着と返り討ちに遭っちゃったけど、舞台が戻ったここで大一番への切符を狙う」
ハヤタ「首と胴が長くていかにもクラシックディスタンスを得意としそうな体型だよね。背中も長くて先行力があるし、今回も前目につけて持続力勝負に持ち込めば勝機は十分じゃないかな」
璃子「ダミアン・レーン騎手が手綱を取る点も怖いよね。世界的名手が来日初日から大暴れするシーンは十分考えられる」
姫「勢いを感じさせるのはジャスティンスカイよ。オーナーはフローラS勝ちのエリカヴィータと同じ三木氏。オーナーの2週連続の重賞勝ちもありえるわよ」
ハヤタ「ジャスティンスカイは全身運動ができる良質の筋肉の持ち主だし、ここでもいい競馬ができる可能性はあると思う。やや骨太で極端に早い時計の決着はどうかと思うけど、馬場が渋ったりしたらよりチャンスは大きくなるんじゃないかな」
璃子「ロードレジルは水仙賞からのステップ。関東遠征は三度目ながら、東京コースははじめて」
ハヤタ「背中が短めの瞬発力タイプで、どちらかといえば中山・阪神向きのイメージはある。ただ胸が深くて心肺能力が高そうだし、うまく展開が向けば上位に食い込めるかも」
恵麻「今回のメンバーで唯一、重賞に出走経験があるのはグランシエルだね(東スポ杯2歳S1秒2差7着)」
ハヤタ「首や脚が長くて、ストライドが大きそうなタイプ。2400mは非常にあっている体型に見える。ハーツクライ産駒でまだ筋肉面で覚醒してない印象も受けるけど、これも上位にきてなんらおかしくない」
姫「最後に、未勝利、1勝クラスと連勝中で勢いに乗るエターナルビクトリ」
ハヤタ「背中が短くて斜尻で、瞬発力に秀でた馬体に見える。東京の長い直線、そして2400mへの距離延長が鍵になりそうだね」
璃子「まとめると、レヴァンジルが最有力も混戦模様、ってところかな。青葉賞組からはまだダービー優勝馬が出ていないけど、ここの勝ち方次第では本番でも有力視できるだろうし、注目……いやキープはしておかなきゃいけないよね」
ハヤタ「人聞きェ……」
【5/1東京11RスイートピーS展望】
女はいつも待ちくたびれて
姫「5/1東京11Rではオークストライアルのスイートピーステークスがおこなわれるわ」
恵麻「想定ではローブエリタージュが人気になりそうだね。母ローブティサージュは現役時、阪神JFを含め重賞2勝。良血のディープインパクト産駒だね。昨年暮れの中山での新馬戦勝ち以来、4ヶ月ぶりの出走でオークス出走権を狙うよ」
ハヤタ「筋肉にバネがあっていかにも切れ味がありそうだよね。ただ前走時で馬体重が400キロを切る小柄な体格は気になるところ。牝馬限定とはいきなりのオープン挑戦だし、揉まれこんでしまうと厳しい競馬になることも覚悟しなきゃならない」
璃子「久々の出走となる今回、どのくらい馬体が成長しているかも注目ということだね。対するはもう1頭のディープインパクト産駒、ウインエクレールかな。香港のGⅠを2勝した強豪ウインブライトの異父妹。前走は重賞クイーンカップで0秒6差の6着だから、ここでは実績上位といえる」
ハヤタ「バネ感ではローブに譲るけど、柔軟で運動神経の良さそうな身のこなしはなかなか目を引く。飛節も伸びてしぶとい末脚を使ってきそう。1800mもぴったりじゃないかな。有力だと思う」
恵麻「主戦の松岡騎手は天皇賞の騎乗があるから乗れないけど、ここは勝ってオークスでパートナーの帰りを待ちたいところだろうね」
璃子「それでも恋は恋!」
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