阪神JF未出走の牝馬クラシック候補とは?――長柄高校馬事文化研究部活動記録㉘

璃子「さてさて、先週は2歳牝馬の頂点を決める阪神ジュベナイルフィリーズがおこなわれたよ。その振り返りは最後にやるとして、まずはいつもどおり新馬戦と2歳の特別レースを回顧していこう」
恵麻「あと、朝日杯FSの展望は別の機会にやるつもりだから、そっちも見てね」
姫「それじゃあ今週も、長柄高校馬事文化研究部、活動開始よ!」
ハヤタ「なんか今回、ラジオ番組のオープニングみたいな入りだね……」

12/11中山5R 芝1800m 1着:ポケットシンデレラ
評価☆5

璃子「まずは土曜日、中山の5Rでおこなわれた芝1800mの新馬戦からいこう。ここは外枠から積極的に逃げの手を打ったポケットシンデレラが、前半1000m63秒3のスローペースに落とし込み、11番人気の低評価を覆してみせた」
ハヤタ「胴や背中に伸びがある体型を生かして、よくストライドを伸ばせてたね。428キロと馬体重が軽いけど、これは筋肉がつけばもっと増えてきそう」
璃子「そういう意味では伸びしろもあると見てよさそうだね。今回は展開に恵まれた面があるのはたしかだから、次走以降の走りでどんな成長を見せるか注目だ」

12/11中山6R ダ1800m 1着:ミッキーエイト
評価☆5

恵麻「土曜中山のもう1戦はダート1800m。7頭立ての6頭が単勝10倍を切る大混戦だったね。そんな中でミッキーエイトは序盤は一団馬群の後方に控えるも、向こう正面で馬群の外に持ち出して一気に進出。そこからはマイペースに持ち込んで後続を相手にせず悠々と押し切った」
姫「母ウエスタンダンサーは現役時、GⅢ京阪杯を含む6勝をあげた実力馬よ。母としてもこれまで6頭の産駒を送り出していて、内5頭が中央で勝利をあげ、4頭は2勝以上してる。ミッキーエイトは、血統背景からしても、ここでは素質が一枚上だったかしら」
ハヤタ「ほかの馬もそう悪くはなかったけど、幼さもあって力を出しきれなかったのもいたんだろうね。ミッキーエイトもまだ体つきに緩さは残していたけど、スピードのありそうな素軽さは見せてた。ダートも問題なかったけど、芝でもやれそうな馬体ではあるよ」
姫「母は芝馬、きょうだいも芝、ダートどちらも走ってるし、この馬もどんな路線を歩むのか興味深いわね」

12/11阪神6R 芝2000m 1着:ロードラプソディ
評価☆5.5

璃子「阪神に移って、芝2000mの新馬戦はロードラプソディが制した。1番枠から好位に控える競馬で、直線は先行2頭の外に回してしぶとい末脚で抜け出した」
ハヤタ「キングカメハメハの肌に父モーリス。血統のイメージどおり、力強く収縮する筋肉がパドックでも目立っていたよ。ストライドも大きいけど、最初から最後まで同じ歩幅で走っている感じだったかな」
璃子「いわゆる一本調子ってやつか」
ハヤタ「もちろん今後走りが変わってくるかもしれないし、今回はまだ真価を発揮してないのかもしれない。いずれにせよまだまだ良くなる馬だと思う」

12/11阪神7R ダ1400m 1着:ピジョンブラッド
評価☆5.5

璃子「このレースはちょっとびっくりしたなもーだったよね」
恵麻「ピジョンブラッドはキックバックを嫌がったのか、前半は1頭大きく離された最後方。ふつうなら万事休すの展開なんだけど、3コーナーあたりからようやく持ち直して徐々に追い上げると、直線は大外から他の9頭をまとめて差し切っちゃった。先行有利な現代の競馬ではなかなかお目にかかれないレースだったよね」
姫「前に行った馬たちが最後脚をなくしてたとはいえ、ピジョンブラッド自身の上がり3ハロンは36秒7だからね。能力がなければできない芸当だわ」
ハヤタ「さすがに特殊なレースすぎてなかなか評価が難しいけど、トモに実が入ってるし、パイロ産駒らしく、良くも悪くも硬い質の筋肉だよね。レース振りも含め、おもしろい馬だと思うよ」
姫「祖母が阪神3歳牝馬S2着のキュンティアというのも、なんだか趣深いわよね。これから真っ当に育つのか、それとも個性派の道を極めるのか。ある意味で今後が楽しみな馬だわ」

12/11中京5R ダ1400m 1着:ナッカーフェイス
評価☆5

姫「中京の新馬戦は土日通じてこのひと鞍だけだったわ。前半3ハロンが35秒5で流れる中、ナッカーフェイスは楽に好位を追走。4コーナーから直線入口にかけても楽な手応えのまま先頭に並びかけ、危なげなく抜け出してみせたわ。キングカメハメハの肌にシニスターミニスターをつけた配合で、これもまたダート馬らしい血統ね」
ハヤタ「440キロ台で少し細身だけど、皮膚が薄い感じで筋肉は良いし、胴に伸びがあって自然とストライドを伸ばせるよね。今回は良い走りができたと思う」
璃子「5番人気とさほど注目は集めていなかったけど、こういう馬が案外ポンポンと勝ち上がることもあるからね。侮れないよ、これは」

12/12中山5R 芝1600m 1着:パンテレリア
評価☆5.5

恵麻「日曜日の中山でおこなわれたのは芝1600mの新馬戦だったね。パンテレリアは好スタートを切るも、好位のインで脚を溜める競馬を選択。馬群の外で少し出入りが激しくなる間もじっと我慢して、直線ではぽっかり空いた最内を機敏について抜け出した。レースセンスの良さが光ったよね」
ハヤタ「うん。初戦にして競馬を理解してるような走りっぷりだった。パドックでもきびきび歩けていたし、体調も良かったんだろうね。距離はマイルまでだろうけど、体型的にじっくり脚を溜めて瞬発力を生かす競馬は合ってた」
璃子「ピッチ走法で鋭く抜け出してくる感じだったよね。中山マイルを大得意にしそうだ。狙い目がはっきりしてるのは馬券的にありがたいね」
ハヤタ「あと今回は敗れたけど、スパイダーバローズも良い馬だよ。これは東京や他のコースでも力を出せそうだし、すぐに勝機が来ると思う」

12/12阪神4R ダ1800m 1着:アンノウンウォリア
評価☆5.5

姫「日曜日の阪神ではダート1800mの新馬戦がおこなわれたわ。人気の一角、マスタープランが先手を奪ってペースを落とす展開。2番手につけたアンノウンウォリアはかかり気味の手応えで4コーナーで早々先頭に並びかけると、ぐいぐいと抜け出して、2着サンライズジャストの猛追も振り切った」
ハヤタ「長い手足を生かした大きなストライドが目立ったね。最後は詰められたけど、持続力もあるタイプだよ。さらに力強さも増してくるといいけど、距離は2000mくらいまで延びても大丈夫そう」
姫「サンライズジャストも惜しい競馬だったわね。直線の入口で少しもたついたみたい」
ハヤタ「ダート向きの筋肉の付き方をしていて、能力はこちらも引けをとらないね。まだ体をもてあましてる面があるのかも。もっと馬体が仕上がってくれば未勝利レベルは難なく勝ち上がれるだろうし、上のクラスも目指せると思うよ」
姫「ダート重賞の勝ち馬マスターフェンサーを兄に持つ良血、マスタープランは直線での抵抗を見せられず7着」
ハヤタ「体型から見てダートの中距離は合ってると思うけど、まだ馬が目覚めてない感じもしたかな」
姫「こちらは今後の変わり身に期待ね」

12/12阪神5R 芝1600m 1着:エバーシャドネー
評価☆5

ハヤタ「パドックではいい意味で関節が緩くて推進力のある歩様を見せていたね。全身運動で走ってストライドを伸ばせていたし、良い脚を使えてた」
璃子「この馬も4番人気かあ。ここ数週、新馬戦ではわりと人気が薄い馬の活躍が目立つ気がするよ」
姫「今の時期くらいになると、『デビューが遅れた評判馬』よりも『地味だけどじっくり仕上げられた馬』のほうが新馬向きになってくるのかもね」
恵麻「まあ、エバーシャドネーもノーザンファーム生産馬ではあるんだけど、馬券戦略やPOG残り枠の指名の参考にはなるかもね」

12/11中山9R 黒松賞 芝1200m 1着:ニシノレバンテ
修正評価☆6

恵麻「ここからは特別戦。中山芝1200mの黒松賞を制したのは2番人気のニシノレバンテだったよ。序盤から抑えきれないほどの行きっぷりを見せ、3コーナーで早々先頭に。直線でも脚色は衰えず、後続の追撃を難なく振り切った。これでデビュー以来4戦2勝。1200m戦に限れば2勝2着1回とパーフェクト連対だね」
ハヤタ「この馬は生粋のスプリンターだからね。全身にまとった豊富な筋肉から繰り出される爆発的なスピードが最大の武器だよ」
恵麻「まさにそんなレース振りだったね。これでオープン入りを果たしたわけだけど、重賞戦線ではどうかな?」
ハヤタ「十分に通用するポテンシャルがあると思う。あとはもう少し抑えもきくようになるのが理想かな」
恵麻「1200mの番組は多くないからレース選択も難しそうだけど、抑えがきくようになれば距離もこなせるようになるかもしれないしね」

12/11阪神9R エリカ賞 芝2000m 1着:サトノヘリオス
修正評価☆6.5

姫「阪神芝2000mでおこなわれるエリカ賞は、来年のクラシック戦線を狙う馬たちが出走してくる重要な1戦よ。実力のある馬たちが顔をそろえただけあって、前半1000m59秒7と引き締まったペースになったわね。そのレースを中団待機から差し切ったのがサトノヘリオス。じっくりと脚を溜められたことも功を奏したけど、直線は内で狭くなりかけたところでもひるまずに割って出た勝負根性はなかなか見どころがあったわよね」
恵麻「全体の走破タイムも1分59秒7の2歳コースレコードをマーク。前走も中京芝2000mを2歳コースレコードで勝ってきたし、時計勝負での強さも見せつけたよね」
ハヤタ「胴長の中距離体型で、エピファネイア産駒らしいね。走りにも力感があるよ。多少力みすぎかなと思う面もあるけど、いまのところはそれが直線での瞬発力につながってる。心肺能力も高いんだろうね」
璃子「この馬、イクイノックスが勝った新馬戦で1番人気だったんだよね。じつはこの新馬戦にはサークルオブライフも出走してる。これでサトノヘリオスも重賞戦線で台頭してくると……」
恵麻「あのレースがいよいよ『伝説の新馬戦』めいてくるよね」

12/12中山7R 1勝クラス ダ1800m 1着:ウェルカムニュース
修正評価☆6

璃子「日曜日は中山、阪神、中京で1勝クラスのレースがひと鞍ずつ組まれてたね。まずは中山の平場戦、ダート1800m。前半3ハロンは37秒0とまずまずの入りだったけど、次の1ハロンが13秒9でんかなり緩んだね。そこで外からまくる馬も出てきて隊列がごちゃついたんだけど、インで3番手につけてたウェルカムニュースは一旦番手が下がっても気にせず動き出しをひと呼吸我慢。結果的にこれが功を奏したね。直線では最内に切れ込み、セイルオンテイラーの粘りをしぶとい末脚でハナ差とらえた」
ハヤタ「サトノアラジン産駒は少し筋肉がつきすぎてる馬もいるんだけど、この馬は適度な筋肉量でシャープさもあるね。脚の長さもあるし、1800mはベストの距離だと思う」
璃子「横山武史騎手の好騎乗が光ったレースでもあったけど、馬に関しては武史騎手も今後が楽しみとコメントしてる。接戦をものにした今回が次にどうつながるかだね」

12/12阪神6R 1勝クラス ダ1200m 1着:ファーンヒル
修正評価☆5.5

恵麻「阪神でおこなわれた1勝クラス戦はダートの1200mだったね。勝ったのは同じ舞台の未勝利勝ちから中2週でここに挑んだファーンヒル。道中は隊列の3列目で折り合うと、いい手応えのまま直線へ。前が空くと馬群を割って一気に先頭に立ち、外から迫ったゼットノヴァとの競り合いも制して2連勝を飾った」
ハヤタ「440キロ台で体格は大きくはないけど、前かがみの体型でダートや短距離は向いてるよね。首を前に突き出すような重心の低い走りで、見た目以上にストライドを伸ばせている印象を受けた」
恵麻「今回はいい走りができたよね。名手クリスチャン・デムーロの手綱さばきもさすがだった。これでダートに変えて2連勝。3歳戦ではオープンで同じダート1200mのレースがないだけに、距離を延ばすのか、それとも芝に戻すのか、今後の路線がちょっと難しいかな。条件替わりへの対応が鍵になってきそうだね」

12/12中京10R つわぶき賞 芝1400m 1着:コムストックロード
修正評価☆5.5

姫「最後は中京のつわぶき賞よ。ここは、外の馬の出方を見つつじわりとハナを切ったコムストックロードが、最後まで粘り切って2勝目をマークしたわ。種牡馬成績も好調なシルバーステート産駒の1頭ね」
ハヤタ「馬体重が減って少し細身すぎる印象もあったけど、歩様の推進力はやっぱりなかなかのものがあるんだよね。意外と胴も長いつくりでストライドを稼げてる。淡々とマイペースを刻める展開になったのもよかったね」
姫「6月のデビュー以来、コンスタントに使われてきて、今回が早くも7戦目。前走の赤松賞こそ6着だったものの、オープンのダリア賞、重賞の新潟2歳Sも含め、6戦で掲示板圏内という堅実な走りを見せてる。こういう馬をPOGで指名したいものだけれど……」
ハヤタ「デビュー前に見つけるのは、やっぱりなかなか難しいよね……」

12/15川崎11R 全日本2歳優駿(JpnⅠ)ダ1600m 1着:ドライスタウト
修正評価☆7

恵麻「さてここで、15日水曜日に川崎競馬場でおこなわれた全日本2歳優駿も振り返っておこう。中央と地方からダート巧者が集ったこの1戦を制し、見事ダート2歳王を戴冠したのは、1番人気のドライスタウトだった。好スタートから絶好の手応えで2番手につけ、直線ではあっさりと抜け出して快勝。タイムも稍重で1分39秒2とレコードを叩き出したよ」
ハヤタ「強かったよね。体格に恵まれていてストライドも大きいし、今回は完ぺきなレースだった。デビュー戦から良いスピードを見せてきたし、マイルの距離もまったく問題なかった。1800mくらいまでは距離の融通がきいてもいいだろうし、今後もかなり楽しみな1頭だよ」
璃子「この全日本2歳優駿はアメリカ・ケンタッキーダービーの出走権につながるレースでもあるんだよね。ドライスタウトがケンタッキーダービーを目指すかわからないけど、夢も見させてくれるくらいの勝ちっぷりだった。海外挑戦への期待も込めて評価は☆7まで上げておこう」

12/12阪神11R 阪神ジュベナイルF(GⅠ)芝1600m 1着:サークルオブライフ

璃子「さあ、お待たせしました! 2歳牝馬戦の総決算、阪神ジュベナイルフィリーズを振り返るよ!」
恵麻「勝ったのは3番人気のサークルオブライフ。道中は中団を追走し、直線では少し内によれる場面もあったものの、外からしぶとく末脚を伸ばして、先に抜け出していた2着ラブリユアアイズと3着ウォーターナビレラを差し切った。上がり3ハロン33秒9。強力なライバルたちを向こうに回して堂々の差し切りで、2歳女王に君臨するにふさわしい勝ちっぷりだったよね」
ハヤタ「本当にそうだよね。この馬に関しては『エンジンのかかりが遅い面があるかも』ってコメントしたけど、むしろ持続力にすぐれているって見るべきだったよ」
姫「それはつまり、長く良い脚が使える、ってこと?」
ハヤタ「うん。競馬の上がり3ハロンって、たいてい真ん中の2ハロン目、つまり残り400mから200mまででいちばんタイムが早くなるでしょ? そこでビュッと加速して前へ出られる馬が瞬発力タイプ。いっぽうでゴールまでの残り200mっていうのは、どの馬もスピードが落ちてタイムも遅くなる。そこでスピードを落とさずに走りきれる馬が持続力タイプってことになるよね」
璃子「つまり、スピードが上がる直線の前半での加速に強いのが瞬発力のある馬、スピードが落ちるゴール前でバテないのが持続力のある馬、ってことだね」
璃子「なるほど。たしかに今回のレースでも、サークルオブライフは残り1ハロンの手前あたりではまだ劣勢に見えたけど、そこからぐんぐん追い上げてきてたもんね。でもあれは、加速してきたというよりスピードが落ちてなかったと見るべきなのか」
恵麻「ラップタイムも見ても、残り2ハロン目で10秒9、最後の1ハロンが11秒8だからね。つまりラップが早くなるところじゃなく、遅くなるところで勝負を決めてるってことになる。これが持続力タイプの勝ち方なんだね」
姫「そういえばこの馬は前々走でも最後の1ハロンでタイムが早くなるレースで圧勝してたのよね。ラップタイムじたいはペースだとかいろいろな要因があって特殊なものになったのだとしても、あのレースですでに並外れた持続力を見せていたと解釈できるのね」
ハヤタ「前走も持続力が求められる東京の馬場で強い勝ち方を見せたし、デムーロ騎手もこの馬の特性を完璧につかんでいたんだと思う。だから勢いを殺されずに走れる外の進路を選んで乗ったんだと思う。今回はこの馬の武器を生かしきった、見事な勝利だった」
璃子「うむ。私たちの展望では黒三角だったけど、中心と見たうちの1頭だからね。とりあえず面子は保てたってところかな。ただ、2着のラブリイユアアイズは完全にノーマークだったね……」
恵麻「札幌デビューで、新馬とクローバー賞を2連勝。前走の京王杯2歳Sも牡馬にまじって3着と健闘していて、あらためて見ると実績面ではたしかに引けを取ってなかったね」
璃子「うーん、戦ってきたメンバーのレベルがどうかって感じだったから、ちょっと盲点になってたかも……」
姫「当日のパドックはどうだったの?」
ハヤタ「どの馬も大一番に向けてしっかり仕上げてきてるなって印象だったけど、ラブリイユアアイズもマイナス10キロで体が引き締まっていたよね」
璃子「惜しくも勝利を逃したとはいえ、ウォーターナビレラを内から強襲してかわしたのは評価できるよね。ロゴタイプ産駒で距離をどこまで伸ばせるかだけど、重賞制覇のチャンスもあるんじゃないか」
恵麻「そのウォーターナビレラも自分の競馬はできたかな。先行争いは内と外の2頭に譲って、好位集団を引っ張る形の3番手から。直線も馬場の良い外目の進路を確保して脚を伸ばしたんだけど、最後は勝ち馬の決め手に屈した」
璃子「世代上位の実力は示したんだけどねえ。私たちとしても安定感のある先行馬って見立てだったけど、GⅠで頂点を極めるにはさらなる武器が櫃王かもね」
恵麻「1番人気となったナミュールは直線で内から猛追を見せるも4着」
ハヤタ「スタートで2馬身出遅れたのが響いたよね……。やっぱりまだ関節に緩い面が見えて、それはこの馬の良いところでもあるんだけど、固まってこないうちは今回みたいなことも起きちゃう。ただ、それでもバネは素晴らしいものを感じさせてるから、まだまだ巻き返せるはずだよ」
姫「晩成傾向のあるハービンジャー産駒だしね。来年、そして古馬になって『大化け』する可能性は十分に秘めてるわよね」
璃子「このあと、5着ナムラクレア、6着ベルクレスタ、7着スタティスティクス、8着ステルナティーアと、私たちが展望で挙げた馬が上位を占めてるんだよね。まあ大外枠が厳しかったパーソナルハイは16着に終わったけど、見立てとしてはほぼ当たってたと言えるでしょ、これ」
恵麻「それなら馬券もチャンスがありそうだけど、ちなみに田村先生は……?」
璃子「2着ラブリイユアアイズ。それだけで察してあげて」
姫「ヒモが抜けたのね……。まあ、本命視したステルナティーアが8着に敗れちゃったから、馬券はどのみちダメだったのだろうけど」
ハヤタ「この馬に関しては道中で中団馬群がごちゃついたときに他馬とぶつかる不利もあったって話だね。ただパドックでも前走までのほうが体に張りがあったようにも見えたし、出来じたいも少し落ちていたのかもしれない」
璃子「ローテーションの良し悪しや調子はなかなか見極めづらいところもあるからねえ。この馬もまだ見限れないとは思う。さて、そのあたりも含めて、最後に来年のクラシック戦線に向けた展望をまとめようか。桜花賞はやっぱりこの阪神JF組がそのまま中心になりそうかな?」
ハヤタ「そうだね。今回7着までの馬は順調に行けば桜花賞の出走表にも名をつらねてる可能性が高いと思う。スタティスティクスはひょっとすると距離適性を重視してオークス一本に絞る可能性もあると思うけど」
姫「サークルオブライフに関しては、距離への対応も注目されるけど」
ハヤタ「折り合いの心配もないし、持続力を武器とする特徴からも、距離は延びても問題ないと思う。同世代の牝馬同士なら2400mでも十分勝負になるだろうし、むしろ今回のメンバー中では2400mの適性がいちばん高いと言ってもいいくらい」
璃子「となると、春2冠、そしてそれ以上まで視野に入ってくるわけか……。これは目が離せないね」
姫「今回出走していなかった馬で有力なのはいるかしら?」
恵麻「まず忘れてならないのは、私たちのPOG指名馬でもあるソネットフレーズじゃない? デイリー杯2歳ステークス2着で休養に入ったみたいだけど、当然、来年は牝馬クラシックを目指すはずだよね」
ハヤタ「少なくとも桜花賞なら距離は合うからね。阪神JFの上位勢に割って入れるだけのポテンシャルは秘めてるんじゃないかな」
璃子「デイリー杯で敗れたのも、今週末の朝日杯FSで最有力視されてるセリフォスだからね。……ステルナティーアと実績がかぶる気がしないでもないけど、まあ来年の始動戦に注目しよう」
恵麻「ほかに、まだキャリアの浅い馬で注目どころはいるかな?」
姫「そうね。キタサンブラック産駒のラスールは牝系が優秀なこともあって、まだ新馬勝ちした段階ながら注目されているわよね」
ハヤタ「新馬勝ちの組では、キングカメハメハ産駒のエリカヴィータ、ドゥラメンテ産駒のエンパイアウエスト、ディープインパクト産駒のルージュスティリアあたりもおもしろいと思う。阿久津さんのあげてくれたラスールも含め、オークスまで見通せる馬たちだよね。すでに上のクラスに挑戦している中ではウインピクシスやアートハウスもオークスまでに力をつけてくる可能性があると思う」
璃子「こう見ると、牝馬クラシック戦線も本番までにまだまだ動きがありそうだね。高評価の馬に関しては、牡馬も含めて、ホープフルステークスが終わった後にでもあらためて整理しようか。中央競馬はホープフルSから金杯まで少し間が空くけど、私たちは休み返上で活動するから、みんな覚悟しといてよね!」
ハヤタ・姫・恵麻「イエス、マム!」


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