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CAP高等学院代表・佐藤裕幸の教育への情熱と挫折③】

 こんにちは。通信制サポート校・CAP高等学院の佐藤です。

 現在、9月入学の生徒募集のために様々な取り組みを始めています。CAP高等学院は、通信制・鹿島学園山北高校のサポート校として2020年の4月に開設しました。ミッションは「高校生と社会の間にある(と勝手に思われている)様々な垣根を壊し、新しい学びのインフラを構築、高校生と社会をつなぐサポート校になる」です。そのためには、CAP生が高校卒業に必要な単位を最速・最適に取得して、そうすることで生じた有効な時間を自分がしたいことに没頭できるようになれることを目指します。

 そこで、代表・佐藤がどのような想いで、通信制高校サポート校を立ち上げたのか、何回かに分けて書いていきたいと思います。(なお、ここに記載される内容は、CAP高等学院のFacebook にも投稿されています)

 前勤務校の前に勤務していた高校で、ある生徒に「先生の授業はとてもわかりやすいのに、なぜか結果に結びつかない」と言われた後、試行錯誤の中、「学び合い」を取り入れてみた。これまでかなり丁寧に板書をし、生徒から出てきそうな質問を全て想定した内容にしていたことから、板書は進めて欲しい範囲のみ、生徒全員の名前を書いたマグネットを「できない」と黒板に書いた下に貼りつけ、理解できた人から順に「できた」の下に、自分の名前のマグネットを移動してもらう。「できた」に移動した人が、「できない」のままの人に教えに行くというスタイルに180度転換した。

  これまで「全てを教え切る」ことに全力を傾けてきた人が、「全く教えない」に切り替えるのは、最初は我慢と苦痛しかなかった。しかし、切り替えた直後の定期考査で、担当していた一番下のコースの平均点が、一つ上のコースの平均点を上回り、「結果に結びつかない」と言っていた生徒の得点も一気に伸びた。この経験は、私自身の授業スタイルの変更に大きなきっかけを与えるものであった。

  前勤務校での研究授業。ちょうど節末問題の時間が研究授業に該当する流れとなったため、前の高校で実施していた「学び合い」にICT活用を組み合わせる授業を行ってみることにした。iPadが導入されているにもかかわらず、授業で活用されていないことに対する挑戦でもある。

  授業設計は、① 授業中に取り扱う問題を自分なりに予習を進め、他の人に説明できるようにスライドを作ってもらう。わからないところがある場合は、どこがわからないのかを明確にしておく。② 授業では4〜5人ずつグループにし、それぞれが作成してきたスライドを見せ合い、同じ問題を説明する。③ わからない人がいた場合は、他の人が教え合うことで、グループ全員が理解できるようにする。④ グループ全員が理解できたところで、学習支援ツールに解答を提出し、全員の解答を共有する。

  「学び合い」をしている最中、私は机間巡視をするだけで、一切口出しはしない。全て生徒たちの力で解決することが目標。進めようと思っていた問題数も無事にクリアし、無事に授業が終了した...はずだった。

  しかし、授業後の反省会では、かなり否定的な意見が多く出た。 「中にはかなり遠回りをして解答しているグループがあったが、もっと効率的な解答を教えるべきではないのか?」「生徒が間違っている可能性があるのに、みんなが納得したという理由で、何も触れずに正解としていいのか?」「先生の必要性はないのではないか?」「授業中にiPadばかりを使用させたら、字を書かなくなるのではないか?」「iPadを他のことに使っていても、気づかないのではないか?」「生徒に任せきりでは、管理できないのではないか?」

  教員それぞれの思いがあるので、様々な意見を否定するつもりは全くないが、これほどまでに生徒に授業を任せることを否定されるとは正直思っておらず、反省会直後はかなり落ち込んだ。

  しかし、翌日の授業で生徒たちに話を聞くと、「正直、先生に聞くのが恥ずかしいと思っている部分もあるので、友達と話せるのはすごくいい」「時々先生が言っていることが全く理解できないことがある。でも、同じことを友達に言ってもらうとなぜか理解できる。先生には申し訳ないと思うけど、理解は進む」など、明らかに前日の反省会に出た言葉とは逆のものであった。

  学習塾時代や全勤務校前の高校で生徒から出た言葉を、その時再び思い出し、私が本気で向き合わなければいけないのは、やはり生徒たちだと確信できることができた。

  そして、その後ある方の基調講演の映像を見て、私自身が本気で教育に向き合わなければいけないと気づくことになる。

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