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『弘中綾香の純度100%』を読んで~「書くこと」で“自分のバランス”を保つ大切さ~

今月12日(金)に初のフォトエッセイ『弘中綾香の純度100%』(マガジンハウス)を発売したテレビ朝日の弘中綾香アナ。2013年にテレビ朝日に入社し、入社1年目の10月から『ミュージックステーション』のサブMCを5年間務めるなど、同局を代表するアナウンサーとして日々さまざまな番組で活躍が目覚ましいですが、同著の中では有名であるがゆえの葛藤や、“公”の自分と“私”の自分とでの正直な生身の言葉の数々が綴られており、TVではなかなか観ることのできない弘中さんの素が垣間見える、大変読み応えのある一冊となっています。今回はそんな同著を読んで感じたことをまとめたいと思います。

弘中


日ごろから自分の言葉でアウトプット

同著は2019年5月~2020年12月までWEBメディア『Hanako.tokyo』に連載されたエッセイを、たくさんの未公開フォトとともにまとめたものなのですが、冒頭の2019年5月の連載「所信表明」にまず心を動かされました。「急に文章が書きたくなった。いや、書かなければ私の中の何かが壊れる、という衝動につき動かされている」という文章から始まるのですが(ぜひ詳しくは同著を読んでいただきたいです)、これがとても刺さる。余談ですが、私自身もともとアナウンサーを目指していたのでより共感するのですが、基本的にアナウンサーに求められるのは「正確な情報を正しく伝える」ことです。公共の電波を使い、不特定多数の老若男女に対して映像と音声で情報を発信するため、表情や言葉の細部に神経を使って正しいニュースを伝えるのが何よりの使命であるのは当然。しかし、バラエティー番組などで自分自身がゲストになったり、普段の話を聞く立場から、話を聞かれる立場になることもあります。こうした時にニュースを発信する時は流暢であるが、とたんに自分のことを話すのに戸惑う方をお見かけすることも少なくない。しかし、弘中さんは『激レアさんを連れてきた。』や『あざとくて何が悪いの?』といったバラエティー番組でも、ご自分の考えや素のエピソードをとても自然体で語られています。これは日ごろからアナウンサーとしての伝える仕事はもちろん、それとは別に日ごろから自分の考えや、日々の気づきについて自分の言葉でアウトプットをしているからこそなのかなと思います。

「書くこと」は自分を見失わないためのコンパス

アナウンサーってすごく立ち位置が難しいなと思います。TVに出ているのでタレントさんのように顔と名前も知られていて、だからこそ好意的な声も批判的な声も、世間から浴びせられることがある。これを“有名税”だから仕方がないと処理できるかというと、アナウンサーも一会社員だからいわゆるタレントさんとは同じではない。きっと大学生から一社会人としてアナウンサーになったばかりの弘中さんも、そうした環境の変化に戸惑いがあったのだと思います。だからこそ、TVでの公の自分とは別の、素の自分の心の拠り所として、魂の叫びのはけ口として「書くこと」を選び、コツコツと続けてきた。だからこそ、アナウンサーとして、一人間としての自分自身のバランスを保つことができているのではないでしょうか。これって、アナウンサーに限らず、あらゆる業界のすべての社会人にとって共通して大切なことだと思うんです。仕事での自分、家族との自分、友達との自分、人は誰しも程度の差はあれ、関わるコミュニティーによってさまざまな顔を持っていると思います。そんな中、どんな場面に対してもその場に自分を合わせにいってしまっていると、いつしか本当の自分を見失ってしまう危険性があります。だからこそ、今という時代を生きるうえで、日々自分の考えや素の意見をぶつけられる場づくりは、自分自身の道しるべ、コンパスを持つことに等しく、とっても重要なことだと考えております。

生粋のクリエイター気質

同著の中でテレビ朝日のプロデューサー・加地さんが「弘中綾香プロデュースの番組があったら面白そう」とおっしゃっているように、同著を読んで、まさに弘中さんはクリエイター気質だなと感じました。連載に綴ってきた文章の一つ一つは、読むごとにまるで弘中さんが話している声が聞こえてきそうなくらい臨場感を持って脳内再生されますし、日ごろからさまざまな出来事に対して自身の考えを持っていることからも、モノづくりへの熱量を感じますので、ぜひ総指揮としていつか新たな番組やコンテンツを作ってほしいなと思います。“夢は革命家”という弘中さん、アナウンサーとしてはもちろん、これからどのような「企み」を実現させていくのか、引き続き注目していきたいと思います!

p.s. 編集者時代に拝見した、『ミュージックステーション』本番前にももいろクローバーZの皆さんの緊張をほぐそうと、廊下で笑顔で雑談をしていた弘中さん。さりげない気づかいができるからこそ、共演者からもスタッフさんからも愛されており今があるのだと思います。これからのご活躍も楽しみです。




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