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大分+長崎+佐賀  蔵元アーカイブズ 2002〜05(5) 佐賀・鳴滝酒造-3

2003.05.08 by 猛牛 文中一部敬称略

■こ、これかっ!・・・と、じっと注視のタンクなりけり

吟醸酒用の貯蔵庫の前に、小さなタンクがひとつ設置されていた。

古舘:これが、『ヤマフル』の貯蔵タンクです。タンクそのものは中古で購入したものなんですけどね。

これである。この中に、10数年ぶりに甦った『ヤマフル』が眠っているのだ。

燻し銀のタンクの上には、木製の蓋。内側にはアルミの箔が貼り付けられて密閉性を高めている。さらに木蓋を取ると、幅広の大きなゴムの輪っかで締め付けられた厚めのビニールのシートが被せられている。

さすがにこのゴムは、厚くて強靱なのだ。実は中を見せていただいた最後に、当然蓋を閉めることとなったのであるが、このゴムのかけ方がけっこう大変。古舘氏にご指導をいただきながら、4人がかりでやっと締めたのだった.

さて。上記右画像が、やっと拝めた『ヤマフル』原酒のご尊顔。表面に浮遊物が見える。ガスは和らいではいるが、まだまだ抜けていない。でも・・・その香りがイイったいねぇ~。

ここで、古舘氏に浮遊物除去の実演をしていただいた。さすがプロ。てきぱきと見事に掬い取っていく・・・。

■我ら、浮遊物除去にチャレンジす!

古舘:本当に、この浮遊物の除去が無限地獄みたいなんですよ。これでも相当掬ったんですけど、浮いてきます。根気が必要な作業ですが、いい粕取を造りたいので手が抜けません。あ、もし良かったら、実際に掬ってみますか?(^_^)

おお!こりゃ願ってもない! と4人揃って、金魚掬いならぬ“浮遊物掬い”に挑戦した! 掬うために必要な道具・・・なんか料理の時に使うアク取りの網の巨大延長版みたいなヤツ・・・を手渡される。

一番打者は隊長。長年ゴルフで鍛えている成果か、長い柄の物の取り扱いには馴れているようだ。最年長じゃとは言え、手元の震えもなく(爆)、さっさっさ~と掬い上げる。

古舘:おお、見事ですね。ナイス・ショット!

二番打者は渡邊専務。 専務はプロであるが故に、その掬いの上手さはあえてお断りするまでもなからふ。

渡邊:うむ。ほんと根気の必要な作業なんですよね。実感です・・・。

三番打者はわて

わても、ご幼少の砌より料理に親しんでおり、アク取りはまかせろ!(-"-)・・・ちゅーくらいの感覚の持ち主ぬぅあんである。さっそく掬いに挑戦。もちろん流麗なるアク取りテクニークが発揮されて、そそくさと浮遊物を除去してしまった。

撮影者が居ないので、そのシーンを見せられないのが、残念至極である。

そして最後に控えしは、けんじさんだ。彼がこれまでこなしてきた蔵巡りの数・経験値は半端では無ひ。その現場踏破で鍛えた腕をいま眼前で披露してくれるのだな・・・と思っていたら、様子がおかしい(@_@;)

実はけんじさん、当日の朝4時まで宮崎の繁華街・ニシタチで飲み明かしていたのである。ま、相変わらず無茶やってますな。お身体ご自愛の程を。

であるからして、遠距離移動も加わって、心身共に疲労困憊の極みだったのだ。

チャレンジしていたけんじさんを見て、渡邊専務が思わず声を上げたっ!

け、けんじさん! 混ぜちゃいけませんよ!(>_<)」

◇   ◇   ◇

ちゅーわけで、蔵内部の見学は終了。本当にありがとうございました。

古舘:それでは、唐津市内のお酒屋さんを一緒に回ってみませんか? 面白いお店もあると思いますよ(^_^)

という古舘氏の次なるお言葉に甘えて、市内へと進軍を開始したのだった。店名を伺ったら、これまでわてやgoida君もお邪魔したことの無いお店である。なんだか面白いデッドに出逢えそうな気がする・・・にゃ。

(了)


■2022年追記:鳴滝酒造の古舘社長からは、正調粕取焼酎『ヤマフル』再蒸留についての詳細な情報をいただいたのだけど、この蔵訪問でもさらに詳しい話を伺うことが出来た。ありがとうございました。

今年(2022年)3月、友人のカネ氏と二人で鳴滝さんの試飲イベントにお邪魔して、久しぶりに古舘社長とお会いすることが出来た。『ヤマフル』のことを伺うと、コロナ禍で日本酒の消費が落ちているため、原料である普通酒の酒粕が確保できないため厳しいと状況をお話いただいた。なんとか元に戻らないものか。うむ。


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