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全日本笹山さんを酔い潰そうじゃない会 協会(1)

2002年 サイト『九州焼酎探検隊』に掲載

■2022年追記:国分酒造株式会社の笹山護社長は、焼酎業界で一番の酒豪、酒相撲界きっての横綱と申し上げて間違いないと思われます。鉄の肝臓をお持ちなのでしょう。私が知る限り、まったく崩れたところを拝見したことがありません。

その酒相撲界の大横綱・笹山関をお招きして酔い潰してやろうという、あまりに無謀かつ身の程知らずな大会をかつて行っていました。たとえ返り討ちにあっても死して屍拾ふ者無しの一番、これはそのドキュメントです。

なお、『笹山さんを酔い潰そうじゃない会(略称:笹酔会)はすでに存在していませんが、もし我こそはと思う方は笹山社長にいっちょ稽古場で胸を借りてみたら如何でしょうか。

あれから20年、笹山社長を土俵際に突っ張るチャンスは多少なりとも生まれているかもしれません。

(なお、特に但し書きが無い場合は組織や肩書きは当時のものです)


■発足ご挨拶■

薩摩焼酎界において稀代の酒量を誇る酒豪横綱として、角界で勇名を馳せるのは、国分酒造協業組合部屋所属の笹山関である。

その驚異的とも言うべき笹山関鉄壁の酒豪振りを粉砕し、酔い潰そうという無謀な巡業、つまり『笹山さんを酔い潰そうじゃない会(以下笹酔会)が東京は江戸川で始まって以来、それは密やかではありながらも着実に挑戦者と敗退者の数を増していた。

向かうところ敵無しの笹山関の返り討ちに合う危険性が、逆に飲兵衛のチャレンジ精神に熱血のお湯割りをそそぎ込んで来たとも言えるこれまでの取り組み。土を付けられる可能性が99%であったとしても、横綱笹山関の胸を借りたいという挑戦希望者は現在も全国各地で増加中なのだ。

そこでこの度、ぜひとも笹山関に挑戦したい願っている各地の飲兵衛自慢の方々への便宜を図ることを目的に、この『笹酔会』を全国組織として展開し、その情報発信塔となる協会を網上に開設する運びと相成った。

それが当「全日本『笹山さんを酔い潰そうじゃない会』協会」である。

■不世出の酒豪横綱・笹山護関■

まさに不世出の酒豪横綱、笹山関

本名:笹山護、出身:鹿児島県、所属:国分酒造協業組合部屋

その酒豪振りは、並ぶ者の無いと呼ばれた大横綱・双葉山の69連勝を大きくリードして、現在黒星なしの全戦全勝を快進撃中だ。先日行われた関東・江戸川場所では一瞬土俵を割るかに見えたが、さすがの横綱相撲、並み居る強豪を一蹴して逆転優勝を果たしている。

■笹山関の取り口のポイント
難攻不落を誇る笹山関だが、その取り口の特徴としては、

1)いくら飲んでもまったく崩れないご人格
2)冷静な語り口、聞き上手
3)人当たりの良さ、気持ちよさ

が顕著なところであろう。とにかく「まったく崩れない」というところが不世出の不世出たる由縁である。酔うと何度も同じことを繰り返して喋るうちに、いつのまにか土俵外に出ている・・・というレベルとは、雲泥の差である。

■”酷技”としての『笹山を酔い潰そうじゃない会』■

その笹山関を酔い潰そうというのが、本協会の主旨であるから、これはまさに至難の業。場所優勝そのものも、言い換えるなら焼酎的荒行と申し上げても過言ではない難関なのである。

酒を飲みながら酒に飲まれない、という酒席における“心・技・体”を極めねば、笹山関との取り組みに白星を挙げることは叶わぬ。

当協会では、この荒行こそをまさに焼酎を媒介にした己が精神と肝臓との熾烈な闘い=『酷技』であると位置付け、これを飲酒型精神鍛錬スポーツとしてその啓蒙普及を図るものである。

■『笹山を酔い潰そうじゃない会』競技ルール■

ルールは極めて単純だ。笹山関を泥酔させること。

■開催場所についてのご案内■

■東京都・江戸川場所
■福岡県・筑前中洲天神場所
■鹿児島県・国分本場所/蔵前酷技館

現在、開催場所については「笹酔会」発祥の地である東京都および福岡県での巡業時、そして笹山関の部屋が置かれている鹿児島県国分市での3ヶ所が主な会場となっている。特に国分市の会場は、「蔵前酷技館」での本場所として位置付けられている。

開催は不定期に行われるため、今後は開催時に事前告知を当協会からリリースする予定である。

※協会発足/2002年12月28日
※協会会員は常時受付中。賛助条件=一緒に飲むだけ


第一・第二回は東京場所が開催されたが、取組内容および番付表は散逸。


2002.12.30 解説 加賀美牛親方

■第三回国分本場所 於:蔵前酷技館

こんにちは。

通算3場所目に当たります今回の『笹山さんを酔い潰そうじゃない会』は、鹿児島県国分市、文字どおり“蔵前”での場所開催ということで、期待が高まります。

ここで今日の取り組みの解説をしていただくのは、元序の口・牛蔵丸の加賀美牛親方です。親方、どうぞよろしくお願いいたします。

加賀美牛:ごっつあんです。よろしくお願いします。

というわけで今場所の番付、まず東正横綱に笹山関ですが・・・。

加賀美牛:ええ・・・さすが横綱、気力充分。堂々たる飲みっぷりは相手を寄せ付けません。仕上がりも順調と見ております。しかし、前場所では、前半から江戸川部屋の強引な盃突き出しで、いつものペースを崩されたという話もありますから、ええ・・・その辺りが注意が必要でしょう。

地元出身力士での注目株と言いますと、やはりあぷぅ大海関というところですが。

第三回国分本場所 番付表

加賀美牛:毎日の飲んかたで稽古充分でしょう。地元の余裕といいますか、しっかりとした取り口を見せてくれそうです。ただ、あぷぅ大海関の部屋がある鹿児島市内から蔵前酷技館まで少し遠い点が、場所の展開にどう影響するか、これが、まぁ気になるところではありますね。

福岡から遠路巡業に来た牛乃灘関ですが、加賀美牛親方はどうご覧になりますか?

加賀美牛:牛乃灘関ですが、ええとですねぇ、これまでの先に先にと焦って盃突き出しの戦法、これが結局自ら土俵を割ってしまう原因になっておるわけですね。やはり酷技としての心・技・体、これを大切にした闘いをお願いしたいところです。

というわけで牛乃灘関の付き人Fさんも飛び入りでの場所ですが、取り組みをご覧いただきましょう・・・。では時間一杯です。

あぷぅ大海関は、取組の最中に所属部屋の女将さんから電話が入ったようですが・・・。

加賀美牛:最強の力士も、女将さんには歯が立たないと申しますね、はい。

それにしても、笹山関、さすがの飲みっぷりですねぇ。

加賀美牛:まさに堂々たる横綱相撲です。後進の力士たちもぜひ見習って欲しいですね。

国分本場所の第2会場ですが。ここでの注目すべき所として、親方いかがでしょう?

加賀美牛:笹山関を土俵際に追いつめるには、最後のチャンスなんですが。他の力士がここでどれだけ底力を発揮できるか、普段の稽古が生きてくるわけです。

お? 牛乃灘関は、もう相当に足下が危ないようですが・・・.

加賀美牛:いつもの悪い癖が出ましたね。

付き人のFくんですが、大丈夫でしょうか?

加賀美牛:彼は元々肝臓が体質的に弱いようです。今回の参加そのものが無謀だったように思いますね。

あぷぅ大海関は、なにかいい気分で天井を仰いでいるようですが。もう達観したか?

加賀美牛:あぷぅ大海関らしい間合いの取り方ですね。さすが大関として経験値が生きてます。

というわけで、今場所の星取り表です。

笹山関、素晴らしい横綱相撲、落ちついた飲み口で通算成績を、

【3戦3勝無敗】

と伸ばしています。横綱寄せ付けず、という笹山関の強さが光った今場所でした。解説は加賀美牛親方でした、ありがとうございました。

加賀美牛:ごっつあんです。

というわけでまた次回「笹酔会ダイジェスト」お楽しみに。

(了)

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