【2020シーズン】マリノスが望むボール保持の形

1.マリノスが望む試合のペースについて

 ホーム川崎戦のときにも書いたのですが、それをもう少し全体的に見ていこうと思います。

4局面サイクル

【POINT】
サッカーにおける4局面のサイクルをなるべく早くしたい

 マリノスが狙いの1つとして持っているのが、4局面サイクルの高速化です。自分たちがボールを持ったら、なるべく早く相手ゴールに迫ってシュートを撃ちたい。ボールを奪われたら素早く寄せて即時奪回を狙う。奪えなかったとしても、素早い展開を相手に強制できるので、試合展開の高速化に繋がる。

 相手はこのペースに慣れていないので、体だけでなく心も突かれてしまう。この狙いはリスタートを早くすることにも言えますよね。自分たちが試合をコントロールするというのは、自分本位に試合を進められるかとイコールです。このことを考えると、試合展開が目まぐるしく変わるほど、マリノスが望む形になっていると言えるでしょう。

2.ボールを保持する意味について考える

 され、マリノスが望むペースをお話しました。それを含め、ボール保持の意味を考えていきます。

■攻めあぐねた結果、ボール保持率が上がっている場合

攻めあぐねた場合

【POINT】
攻守の局面が変わらないので、相手がブロックから動きにくくなる

 固いブロックに苦戦し、中々シュートまでいけない場合ですね。互いに攻める方と守る方の立場が変わらないので、相手はブロックから動く必要性がありませんよね。こちらが仕掛けないことで、場面が硬直化してしまいます。

 しかし、外側でボールは回せるし、相手は無理して奪いにこないのでボール保持率は上がります。ただこの数値が高いからと言って、マリノスが試合を支配していると言えるでしょうか。数字だけで判断できない状況がここにあると思います。

■チャレンジして失敗するも、即時奪回できた場合

即時奪回できる場合

【POINT】
攻守が入れ替わるので、相手に前向きのベクトルが生まれる

 自分たちが相手ゴールへチャレンジした場合、失敗して相手に奪われると攻守が入れ替わります。そうなると相手は攻撃へ切り替えるため、前方向への動きが加わります。その状況で即時奪回できたらどうでしょう?相手の陣形は崩れているので、構えられているときよりスペースがありますよね。そこを起点に崩しやすくなります。

1. チャレンジするも失敗して相手にボールを奪われる
2. すぐ取り囲んで即時奪回する
3. 再度攻撃を行う

 これを延々と繰り返せたとしましょう。盤面上は相手を押し込み続けている状況ですし、こちらのボール保持率も上がりますよね。これって先ほどの攻めあぐねている状態と似ていませんか?違うのは、攻守が目まぐるしく入れ替わっていることと、その影響で相手の陣形が崩れていること。これならマリノスが試合を支配してると言えますよね。

 無謀すぎるのは別ですが、果敢にチャレンジする姿勢はマリノスにとっていかに大事かがわかると思います。丁寧な攻めもいいですが、がむしゃらに攻撃して局面をグルグル回すことも大事。来季は怯まず攻める姿勢を多く見たいですね。

3.攻撃されることが悪いわけではない

 こちらが押し込まれるくらいなら、いっそのことカウンターを食らった方がいい。自分はそう考えています。なぜかというと、相手の陣形が縦に間延びするからです。距離の長い攻撃を互いに繰り返すことも、マリノスにとってはやりやすい状況だと言えるでしょう。ボスがオープンな展開を許容しているのは、そういった背景があるからだと思います。

オープンな展開

 例えばですが、ギチギチにブロックを敷いて守る相手にカウンターを受けたとします。相手は攻撃のため素早く前へ移動することに。すると縦に間延びします。それが戻る前にこちらがスピーディーに攻撃したらどうでしょう?広大なスペースを突くことができますよね。カウンターのカウンターってやつです。

 相手の攻撃がすぐ終わるのではなく、なるべくならこちらのキーパー付近までボールを運んでくれた方が嬉しいです。それだけ縦に間延びしますからね。こうやって長い距離をボールが行き来する展開こそ、マリノスが好む状況だと言えるでしょう。オープンな展開は組織的なものより、個の力が大きく影響します。チアゴで頑張って防ぎ、サントスやエリキで攻撃する。結構想像つきやすいと思うんですよ。

 なので、ボールを保持して相手を押し込むくらいなら、相手からカウンターを受けてオープンな展開にしたい。付き合ってくれるチームはそこまで多くないでしょうが、攻められるからといって必ずしも悪いというわけではありません。それと同様に、ボールを保持して相手を押し込んでいることが良いとも言い切れないです。案外攻められることも悪くないんですよ?

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