マリノス現地観戦の手引き~攻撃編~
さて、前回の試合前編に続き、今回は攻撃編になります。マリノスの攻撃で見るべきポイントはどこか。簡単に整理していきます。
1.相手がどこまで前にくるか見よう
ご存じの通り、マリノスは低い位置から丁寧にボールを繋ぐチームです。そんな我らへの対応は、以下の3つに分類されます。
1. パギまで追いかけてくる『ド根性百姓一揆スタイル』
2. パギやチアゴは放置するけど、そこから先がダメな『計画的犯行スタイル』
3. 自陣まではどうぞどうぞと引きこもる『ダチョウスタイル』
ここで書くパス回しの目的は『敵陣までボールを運ぶこと』としましょう。では、それぞれのスタイルについて見ていきます。
■ド根性百姓一揆スタイル
「うりゃあぁぁあ!!どんどんいくぞ!!」
「後ろも続くぜ!立ち向かええぇぇええ!!」
「オラたちの年貢を軽くしろおぉぉぉお!」
「ついでにボールよこせええぇぇええ!」
前からめっちゃガンガンくるスタイル。後方から怒涛のように押し寄せてくる姿や、若干ヤケクソ気味なところから、百姓一揆のような雰囲気を醸し出しています。
このときの相手は、『マリノスに絶対ボール持たせないマン』と化している状態。見るべきポイントは "前からくる相手をかわしてボールを進められるか" になります。相手に引っ掛けることがあればうまくいっていない。かわし続けて相手が諦めたらうまくいっていると見てください。
■計画的犯行スタイル
「別にキーパーとかセンターバックはボール持って構わないよ」
「そこから先のパスコースは全部塞げ!」
「ふふふ…計画通り…」
「まだ笑うな…堪えろ…ボールを取ろうとするところにくるまでは…」
相手がお許しをくださる選手たちは自由にボールを持てます。しかし、禁忌に触れる選手たちにボールが渡ると天罰が下ります。この計画性の高さから、某新世界の神が想起されます…
このとき見るポイントは、自由を与えられた選手が相手を引っ張り出せるかどうかです。ドリブルして前に進む "チアゴアタック" なんかはその典型例ですね。引っ張り出せずに手をこまねいてると、うまくいってないことになります。
■ダチョウスタイル
相手「そっちの方(敵陣)はどうぞどうぞ」
マリノス「え?ほんとに?行っちゃうよ?」
相手「どうぞどうぞ。その代わり自陣はしっかりと陣形整えるんで」
マリノス「え?え?じゃあ…いっちゃうか」
こちらの陣地に全くこないパターン。譲るという日本人の謙虚さがにじみ出てますね。3人揃って譲り合いをする某お笑い芸人さながらです。
このときは何もせずに敵陣まで到達できるので、自陣におけるパス回しは見るべき点がありません。熱湯風呂に入ったり、熱々のおでんを食べたりするような危険性は特にないので、安心して試合をご覧ください。
2.マルコスへの対応を見よう
マリノス攻撃のキーマンはもちろんマルコスです。彼がどれだけプレーに関われるかで、チャンスの多寡が決まると言っても過言ではないでしょう。そんなエースへの対応を見ることも大事だったりします。
■マルコスへのマーク確認
・べったりとマンマーク
・みんなで役割分散するゾーンディフェンス
・無視し続ける放置プレイ
マルコスへのマークの仕方は、ビタッとつくマンマーク。担当エリアを決めたゾーンディフェンス。いっそのこと開き直って無視する3パターンがあります。
このマークのつきかたによって、『マルコスを完全に消そうとしているのか』がわかります。マンマークは最上級に警戒してると言えるでしょう。
■マルコスがボールを受ける位置
マルコスがボールを受ける位置も大事です。低い場合と、高い場合に分けて見てみましょう。
・低い場合は、相手を釣っているか、後ろのパス回しがうまくいってないとき
◇相手を釣ってるパターン
マルコス「ほれー、こっちこっち」
相手「やばっ!?マルコス下がったぞ。ボールをもらうつもりだな。させん!」
最近のマルコスは、相手を引っ張ろうとする意志が見えます。彼がもの欲しそうに下がったとき、相手がついてきたら良い傾向だと思っていいでしょう。というのも、彼が引っ張った後に守備陣の前がポッカリ空くからです。ここにフォワードが下がってくるもよし。ボランチが上がってもよし。味方が動く隙間を作り出していることになります。
◇後ろへのヘルプパターン
後ろに下がるけど相手がついてこないときは黄色信号だと思ってください。なぜかと言うと、後ろでのパス回しが手詰まりになり、マルコスが助けにいってるからです。相手がついてこないのは、別に低い位置で持たれてもそこまで脅威でないと感じているため。
反対に、これと入れ代わりでボランチやサイドバックの選手が上がっているなら悪くありません。上下方向に選手が入れ替わり、相手のマークを攪乱させることができています。少し難しいですが、マルコスだけが下がってきたときは、彼の周囲も確認してみてください。
・高い場合は、無視する相手の裏をかきたかったり、チャンスを作り出したいとき
マルコスが高い位置にいるときは大体下がることを我慢しています。そうすることによって、相手のマークを下げさせない。または、自分を無視するなら間でボールを受けられるからです。
「マルコスは間で待ってるんだけど、そこまでボールがいかないんだよなぁ…」
こんな状況のときはあまりうまくいっていません。しかし、1度でも彼にボールが渡っていたのなら、それはマルコスの我慢勝ちとなるでしょう。高い位置にいるときは、そこまでボールを届ける手段があるかに注目です。
3.次のパスを予測して見てみよう
余裕があれば、ボールを持っている選手が次に出しそうなパスコースを予測してみましょう。現地ならどこを見ても自由なので、遠いところでも確認できます。
これは例として、扇原がボールを持っている場合になります。
まずは彼の周辺を見てみましょう。マルコスと渓太はマークにつかれているので出すことができません。しかし、ティーラトンと槙人はつかれていないので出すことができます。この時点で2択。また、扇原は長いパスも出せるため、反対側にいる仲川もパスコースとなり得ます。これで3択です。
次のパスコースを予測し、何択かを確認することが肝です。前に出すところがなく後ろだけなら、バックパスはやむを得ないものとなるでしょう。また、前への選択肢はあるけど1つだけの場合。これは読まれやすいので、出さない方が無難なこともあります。このようにしてパスコースを予測するのも楽しいですよ。
さて、攻撃に関してはまだまだ語り足りないですが、最低限のポイントはこんなところだと思います。次はわかりにくい守備編になります。またそのときにお会いしましょう。
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