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【2019 J1 第34節】横浜F・マリノスvsFC東京 きまぐれマッチプレビュー

1.はじめに

 前節、王者川崎フロンターレを4-1の快勝で撃破。首位を堅持し、臨むは最終節。その場所は "久しぶりの我が家" 日産スタジアムです。チケットは既に完売。満員御礼の中迎える天王山。実はFC東京は前半戦も天王山だったので、これが2回目だったり。あのときやられた分はやり返さねばなりません。そんなFC東京に勝つため、どのようなサッカーをするのか見ていきましょう。

2.予想スタメン

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■横浜F・マリノス

扇原がイエローカード累積警告により出場停止
・代わりの先発は皓太になる見通し

■FC東京

室屋がイエローカード累積警告により出場停止
・代わりに右SBに入るのはオ・ジェソクになる見込み
・前節でディエゴが膝を痛め、永井が脱臼。2トップは誰になるか読めない

3.FC東京4局面での狙い

  それでは、FC東京の狙いをサッカーにおける4局面ごとに分けて見ていきましょう。

■ボール保持時

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・橋本が下りて3バック化
・相方の高萩はフリーロールで自由に動く
・両SHが中に絞り、空いた外側を両SBが上がって使う
・2トップの主な狙いはディフェンスラインの裏抜け

 東京のボール保持時は割とオーソドックスな4-4-2の振る舞いになります。両CBが開いて間に橋本が下りる。両SHは内側へ絞り、空いた大外を両SBが上がって使う。ただし、このSBの上がりはかなり慎重で、後方で安全にボールが持てることを確認してから前へ進みだします。安全性重視なのでしょう。

 もう片方のボランチである高萩はフリーロール。下りてビルドアップを助けることもあれば、前に出て崩しを担うことも。また、ボールがあるサイドに流れて数的優位を作ることもしばしば。東京の攻撃における潤滑油は彼でしょう。

 2トップの役割は、永井は裏抜け、ディエゴは下りて組み立てに参加したり、サイドに流れてボールを引き出したりもします。しかしこの試合では出れない見込み。想定される田川やナ・サンホはスピードと立ち位置の良さを生かした裏抜けが得意な選手です。永井と似たプレーになるので、2トップはディフェンスラインの裏を狙うことが多くなるでしょう。

■ネガティブトランジション

 前線にいる選手たちで即時奪回を狙う。第一プレスをいなされた場合はミドルサードまで撤退し、4-4-2のブロックを構築する。

■ボール非保持時

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 東京のボール非保持時は、縦横に圧縮した4-4-2をミドルサードに作り出して相手を待ち構えます。このコンパクトなブロックはボールがある方へ寄せることが特徴。

 中盤を突破された場合は自陣にリトリート。この時ディフェンスラインの選手は滅多に前へ出ません。ラインを下げて中盤の選手が戻ってくるのを待ち、ディフェンダー陣と挟み込む。後ろに隙間を空けないことを第一に考えた守り方です。

 大外を駆けあがってきた選手への対応もちょっと特殊。SBが前に出て対応するのではなく、SHが外に戻って対応するルールになっています。これも後方を空けないための行動。なので、FC東京中盤の選手たちは試合中の走行距離が伸びやすいです。

 『中央を封鎖しつつ、コンパクトな陣形で後ろを空けない』これがFC東京守備の特徴でしょう。

■ポジティブトランジション

 まず最初に最前線の2トップに出せるか確認。出せるのならロングボールを蹴る。出せないのなら2列目、3列目とどんどん下がり、最終的には後方でボールを回して上がる時間を作る。

4.FC東京が考える2つのプラン

 この試合へ臨むにあたって、FC東京は2つのプランを考えていると個人的に思っています。最初はプランA、ある条件を満たした場合プランBに切り替えるというものです。まずはそれぞれのプランを見ていきましょう。

■プランA ~いつも通りの堅実なカウンター~

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・2トップはCHを切ることを最優先にする
・中盤とディフェンスの8人はボールサイドに寄せるゾーンディフェンス
・中央封鎖を強く意識し、U字で回すことは許可する
・逆サイドのWGはフリーになる

 プランAは前述しました4局面での狙いになります。中央封鎖を強く意識し、外側に追い込んでいきます。中盤の4人とディフェンスの4人はボールサイドに寄せるゾーンディフェンス。縦横圧縮しつつパスコースを消してきます。外側で回す、いわゆるU字ビルドは許容する守り方です。

 サイドに大きく寄せるため、逆サイドの選手は空くことになります。マリノスで言えばWGの選手ですね。そこへロングボールを出すことができればいいのですが、得意としている扇原は出場停止。絶妙に痛いです…

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 この守り方は自陣低くに相手を引き込むことが多いため、攻撃時の狙いは必然的にロングカウンターが主になります。2トップの狙いは高く上がったSBの裏。ボールの出所は主に高萩と森重になります。ボールロスト時に彼らへすぐ寄せられるかは重要になるでしょう。

■プランB ~前から激しく、そして速く~

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 プランBはリスクを覚悟したオールコートマンツーマンになります。人をガッチリ捕まえ、相手に激しく寄せます。マリノスのビルドアップはこれを回避できるか。そこが見どころになるでしょう。

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 高い位置でのボール奪取を目指すため、攻撃時の狙いはショートカウンターになるでしょう。2トップはCB間やSB-CB間を裏抜け。両SHはSB-CB間を裏抜け。マリノスのハイラインの裏を取り、一気にゴールへ迫ってくるはずです。

 サイドに速い選手がいると、より効果的になってくるのがこの攻撃。プランAにおける中盤選手たちの負担を考えると、両SHにスピードのある選手(ナ・サンホやユ・インス)を投入することがプラン変更の合図になるかもしれません。

 このプランAとB。使い分けは以下の条件のどちらかを満たしたときになるはずです。

1. n失点したとき
2. n分経過したとき

 この数値の設定がどうなっているかが注目ポイントの1つでしょう。個人的には、失点は1点、時間は後半になったときだと思っています。もしくは最初からプランBかもしれませんね。雨ということもあり、とにかく自陣深くでのビルドアップはいつもより慎重に行うことが肝要。相手が高い位置からガンガンくるため、いざとなったら蹴って裏を狙っていいと思います。

5.FC東京全得点の傾向

 第1~33節までの全ゴールにつきまして、そのきっかけとなったシチュエーションを集計しました。

 例えば、クロスに合わせたヘディングを相手GKが弾いてこぼれ球を決めた場合は、クロスとして数え上げています。

得点のきっかけ

 内訳を見ると最も多いのがクロス。次に多いのがロングカウンターやショートカウンターになりますが、これといって何かに偏ってるということはないようです。

 ざっくりとですが、ロングカウンターとショートカウンターでカウンターからの得点。クロスとセットプレーはクロスからの得点このように区分けしてみます。

 まずはカウンターからの得点ですが、こちらはロングカウンター、ショートカウンター問わず、ボールを前進させている主な選手はディエゴと永井の2トップでした。ロングカウンターの場合は彼ら目がけてロングボールを蹴り、おさめて前進してもらう。ショートカウンターもディフェンスラインの裏目掛けて、中央サイド問わずボールを蹴り出して2トップが抜け出す。ディエゴと永井の負傷は東京にとって大きな痛手でしょう。

 クロスに関して、まずは上げている選手が誰かを見ていきましょう。

クロスを上げた人

 少しだけの差ですが、多目に上げているのはSHやSBの選手になります。相手を押し込んだ場合はSB。カウンターの場合はSHがクロスを上げていることが多い。当たり前の情報なので、これを持ってどこを警戒すべき。ということは言いづらいですね…

 次に、クロスの種類などについて見ていきましょう。

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 クロス種類に関しましては、大雑把にこのように区分けいたしました。

得点_クロス種類 _クロスエリア

得点_クロス高さ_シュート箇所

 クロス種類に関しては偏りが見られませんでした。シュート箇所も同様ですね。ただ、クロスを受けたエリアとクロスの高さに特徴がありました。

 クロスを受けたエリアについては、ニアや中央がほとんどで、ファーで合わせたものがあまりありませんでした。これは攻撃でも幅を使うことが少なかったり、人数が少ない状態で攻めているからでしょう。クロスが上がったとき、ファーに入る可能性があるのはSBなので、そこだけを気にすればいいのは守りやすいかもしれないです。

 クロスの高さについては、浮き球のものが多かったです。アクロバティックなシュートを決めることもできる2トップだからこそなのかもしれません。また、ディエゴは上背の割に高く跳べるので、彼の空中戦での強さもあるのでしょう。ボールウォッチャーになるのではなく、相手にちゃんと寄せて対応したいですね。

6.FC東京全失点の傾向

 得点と同じく、第1~33節までの全失点につきまして、そのきっかけとなったシチュエーションを集計しました。

失点のきっかけ

 こちらは得点と違い、明確な傾向が見られました。一番多いのはクロス。次に多いのはミドルシュートになります。それではこちらも集計を見てみましょう。

失点_クロス種類_クロスエリア

失点_クロス高さ_シュート箇所

 シュート箇所だけは偏りがありませんでしたが、他は特徴が出ています。

 クロス種類については、アーリーや通常からがほとんどで、ローポストは1つだけ。(この1つはマリノスが挙げたゴールだったりするのですが…)敵陣深くに侵入するより、浅めの位置からクロスを上げることが効果的なようです。

 また、クロスに合わせたエリアについては、ニアが少なく、中央やファーが多いことになります。

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 こちらが東京に対してサイド深くまでえぐったときの状況になります。

 サイドを深くえぐられた場合、東京はSBが出ていき、SHが戻って2人で挟み込むように寄せます。また、SBがいなくなって空いたハーフスペースにボランチが落ちることも。そうするとニアを中心としてゴール前に多くの人を割くことになるため、ローポストからのクロスは弾きやすく、ニアへ通りにくいことになります。

 また、ボランチがよくディフェンスラインに吸収されるため、ゴール前がぺったんこになる状況が発生。そうするとペナルティエリアの入口付近であるバイタルが空くため、ミドルシュートを撃つためのスペースが出来上がります。ミドルによる失点が多い理由は恐らくこれでしょう。敵陣深くまでえぐったらマイナスのクロスか、バイタルからミドルシュートを積極的に狙いたいです。

 今度はクロスの高さに注目してみましょう。グラウンダーより浮き球の方が多く失点に繋がっています

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 東京の守り方は基本的にゾーンです。自分の範囲外のボールは見送るため、落下地点から離れている選手はボールウォッチャーになりやすい。ボールが入った先も守る側はボールを凝視しているため、死角から飛び込みやすい状況となります。

 また、ゾーンということを利用し、ちょうど間に入り込むとマークにも迷いを与えられるでしょう。相手の守備人数が少ない浅めの位置から、フワッとした浮き球をゾーン間に落とすように上げると効果的な攻撃になるかと思います。

 これらをまとめると、クロスを上げるときは『深くからマイナス。浅めからふんわり』ということを覚えておくといいでしょう。

7.おわりに

 さて、色々書いてきましたが、状況が特殊なだけにFC東京がどのように試合へ入ってくるかが予想しづらいです。ただ、湘南戦や浦和戦でビハインドだったとき、慌てて攻勢を強めるわけではなく、いつも通り失点しないことに比重を置いた落ち着いた試合運びをしていました。それを見て、プランAからのプランBという予想を立てましたが、どうなるでしょう…

 今回、最終戦を迎えるにあたって、自分の方でマリノスの選手紹介を書きました。また、太古の森と漆黒の獣さん(@nemuranaimati)にFC東京の選手紹介を書いていただきました。こちらのプレビューと併せますとより面白く試合が見れるようになると思いますので、選手個人に興味のある方はぜひお読みください。

 自分としては #すべてはマリノスのため #やれることやれ の精神で #最高の最終戦 を迎える準備をしたつもりです。そうしたのも、FC東京に勝って優勝を掴み取るため!!我らは天皇杯、ルヴァンカップと、直近でタイトルを懸けた戦いを経験しています。この大舞台に選手もある程度慣れているはず。そして満員の観衆で相手を圧倒しようではありませんか!最高のチームで戦えるのもこれが最後。精一杯戦い、応援し、そして何より楽しみましょう!!

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