えいがのはなし　2023.11月号

今月（先月）は以下の２本。
『ゴジラ－1.0』
『スラムドッグス』（Strays）

※ネタバレ注意。

ゴジラ－1.0

ぶっちゃけよう。
これまで、ゴジラ作品をまともに観たことがなかった。
それは日本産か海外産かに関わらず、あの『シン・ゴジラ』も例にもれず観ていないというレベルなのだけれど、じゃあなぜ今回観に行ったのかといえば、その設定と評判に興味を惹かれたからに他ならない。
「戦後間もない日本」という設定。
「ゴジラを主役として観に行くものではない」、
それでいて「面白かった」という高評価。
観終わってからパンフレットを読む機会があったが、それは山崎貴監督が狙って――というよりは、自分の強みを生かそうとしてああなったのだと知って、なるほど、と腑に落ちた。ドラマにせよ映画にせよ、あまり実写の日本作品を観る方ではないけれど、監督が取り扱ってきた作品と、今回選抜されたキャストの面々を考えれば、面白くないわけがなかった。
良かった点で言えば、ゴジラというキャラクター……というよりは、ゴジラが生み出された経緯、ゴジラに託されている想いが、自分の中で抱いていたイメージと合致したのが、『-1.0』を楽しめた理由の大きなひとつだろう。
ゴジラはれっきとした生物だが、それと同時にある種の災害であり、神様であり、因果応報の象徴でもある。そんな存在を相手にして、それでも人々は生きることを諦めない。護ろうとすることを諦めない。
そうしたメッセージ性が皆のイメージに通ずるところがあったからこそ、今回のゴジラの高評価につながったのではないかと、観終わった今は思う。

スラムドッグス

はっきり言ってやろう。
この映画はクソだ。クソ下品だ。
ストーリーもあるにはあるが、この映画のメインはそこじゃあない。
「人間にもいい奴と悪い奴がいる」
「犬たちの間で育まれた確かな絆」
ちゃんと語れるテーマなんてのはせいぜいこのくらいだがな、この映画を観た俺はそんなものを語るつもりになんてこれっぽっちもならねェってのが一番重要なテーマだ。
アホな作品を「くだらねえぜ」と鼻で笑うのが一番いい観方だ。
ちなみに吹き替えで観たんだがよ、ロバート秋山に「おち○ぽ様」って連呼させたり、森久保祥太郎に早口で汚ねえ言葉をまくし立てさせるのはな、ありゃあズルだぜ。いっそドラマＣＤとかオーディオコメンタリーとかで良かったんじゃねえかって思うほどにはな！
あとそこのお前、ひとつ忠告だ。
家族連れやカップルで観るんじゃあねえぜ。