2020_05_05

昨日、生きていれば71歳の誕生日を迎えていたはずの父親は4年前に他界した。余命を宣告された末期癌を患ってのことだったので、不思議と悲しみはなかった。もちろん澄み渡った秋空に向かって泣きべそをかいた記憶はあるけど、ただそれだけで、ココロの中を構成するピースがひとつ、大切なひとつではあるのだけど、その欠片がボロッとこぼれ落ちたという感触だった。とても自然に、命がその寿命をまっとうする姿を見届ける、その魂を慈しむ、というシンプルな気持ちで満たされていた。ありがとうの気持ちがほとんどだった。

そんな親父が残してくれた実家を売却した余剰金を基に、一族総出でハワイ島に旅をした。果たしてお祭り好きな血筋なのだろう。きっと親父もそれを望んでいるだろうと皆で話し合い、ボクらは生後4カ月の第4子も抱えて出かけた。そんな旅の街角、古本屋で遭遇したのがこのジャックロンドンのハワイ本。しかしこの人は100年以上前にどんだけ世界中を旅して小説を書いたのだろう。そんな猛者がハワイを旅した小編を、ハワイ島コナの古本屋で買った記念、親父が連れって行ってくれた記念でもある。

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