摂取は危険、大麻グミ成分規制へ。同じく大麻由来の成分CBDについても、一緒に解説

薬機法規制は「広告について」だけではありません。
薬局をつくるときや、化粧品を製造するとき、危険な薬物を取り締まるときのルールも定められています。

今日は違った角度の薬機法のお話しです。
(一応広告の話も出てきます)

元化粧品メーカー広告・薬事チェック担当/薬機法専門行政書士によるニュースの解説です。ご質問・ご相談はこちらまで!

救急搬送相次ぐ、合成薬物成分が検出された大麻グミ


巷ではここ最近「大麻グミ」が大変注目を集めています。

今月に入ってから、東京や大阪などでグミを食べた人が体調不良を訴え救急搬送される事件が相次いでいるからです。

原因とされる「大麻グミ
大麻由来の成分に似せた合成化合成分「HHCH」を含んだものだったということが厚労省の検査によってわかりました。

厚労省からは、危険なので摂取しないようにとの注意喚起が出ています。
ただ、そもそもそんな危険な成分が入っているにも関わらず市場に流通しているのは何故でしょうか?

それは「HHCH」という成分については規制が及んでいないからです。


※2023年11月21現在、明日にも指定薬物に「HHCH」が指定されることが了承されたため、10日後には所持・使用・流通が禁止されます。


「HHCH」は、大麻に含まれる成分「THC」を真似してつくられた合成成分です。

THC」は大麻に含まれる成分で、幻覚作用や記憶への影響、学力低下などを引き起こすことから、指定薬物として規制されています。

「HHCH」は規制されていないから安全なのではなく、THC同様に人体に危険な作用を及ぼす可能性があります。危険性の懸念から先に規制したいところですが、合成成分のため、先に規制することが出来ず、対処が後手に回ってしまうのです。

最近では2023年8月4日から、THCHを「指定薬物」として指定する省令が施行されました。
それ以前にも「THCO」「HHCO」を2023年3月20日、「THCP」「HHC」を2022年3月17日に、指定薬物として指定する省令が施行されています。

このような事情から、厚労省は「HHCH」を指定後に類似の合成成分が出回る可能性を踏まえ、類似の構造をまとめて禁止する「包括指定」も検討しているとされています。


CBDと大麻取締法の関係

大麻に由来する成分というと、近年流通が拡大している成分があります。
「CBD」です。

確かにCBDも大麻成分ではあるものの、規制はされていません。
CBDはTHCと化学構造は似ているものの、人体への影響は異なり精神作用がないとされてるためです。

CBDは人体に有害な影響が認められる成分ではない


海外では、CBDを有効成分とする医薬品も医療に用いられており、日本でも医療用大麻の解禁として法改正に向けて動いています。

大麻グミに含まれる「HHCH」は人体に有害な影響を及ぼす成分として規制が見込まれ、規制されると販売も所持もすることができません。

「CBD」は同じ大麻由来成分ではあるものの、人体に対して有害な成分ではないので今後も販売可能です。

CBDグミやチョコといった商品についても危険だから食べてはいけない!というわけではないのです。

抽出部位に規制がある


大麻取締法では、大麻を部位によって規制しています。
「大麻」は法律上「大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く」と定義されています。

部位ごとに規制されています。

大麻取締法による規制部位 (厚生労働省資料より)


CBD製品でも、大麻草の成熟した茎又は種子から抽出されたCBD製品は販売することができますが、規制される部位(葉、花穂、枝、根等)から抽出・製造されたCBD製品は、「大麻」に該当してしまいます。


CBDと薬機法広告規制の関係


CBDにはストレス軽減、リラックス効果、抗酸化作用、抗炎症作用があるとされています。ただし、商品広告でこれらの効果をそのまま謳えるわけではありません。

医薬品としての認証を経ていない“未承認医薬品”の広告において、医薬品かのような誤解を与える表現をすることを薬機法が禁じているからです。

CBD製品のうち、食品では医薬品かのような誤解を与える表現をしないようにしながら広告を考える必要があり、化粧品では化粧品として販売するにあたって認められている表現の範囲を超えないようにしながら広告していく必要があります。

広告というのは、ネット上だけではなく店頭のPOPやチラシも含みます。

食品なのに病気を予防する薬かのように広告して店頭で販売していたことから薬機法違反として逮捕者が出た事例もあります。

CBD成分は危険なものとして規制されるものではありませんが、販売するとき、とくに広告表現を考えるときには工夫が必要です。


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ひらさこ


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