薬機法専門行政書士がまとめて解説!薬機法NG→OKな表現に言い換えるとこうなる

このnoteは、化粧品の広告で「薬機法に気を付けなきゃ…」と思い始めた方にぴったりの内容となっています。

筆者は、薬機法専門行政書士&元化粧品メーカー広告制作・薬機法チェック担当をしていました。
薬機法を守る視点と販売する視点、どちらにも寄り添えるようになるためにたくさん実務を重ねてきました。
年間にチェックした広告は300件を超えています。
化粧品以外にも、健康食品や美顔器などの雑貨など女性向けの商品を中心に商品開発かSNS投稿作成まで…幅広く広告に携わってきました。

今すぐ使えるOK表現の言い換えと、なぜNGなのかがわかる解説です。
勉強と制作が一気にできるようになるので、時間がない方に読んでいただきたいです。



化粧品の効能効果範囲表を確認しよう!

化粧品はこれがすべて


化粧品の広告表現を検討するときには、厚労省が出している化粧品の効能効果範囲表に照らし合わせてOKな表現か?を検討すると良いです。

ここに書かれている効能効果については化粧品として標ぼう可能ですよ!という表なので非常に重要です。

56個の効能効果が書かれていますが、使用するパーツごとの効果に別れています。

化粧品の効能効果範囲表



①「肌の保湿力を高めてくれる」を言い換えるには?


「肌の保湿力を高めてくれる」はNG

肌の保湿力を高めるとの表現は化粧品の効果効能として認められる範囲を超えているためNGです。

OKな表現

・保湿力に優れた〇〇(成分)を配合
であればOKです。

②「ターンオーバーを整え、正常化」を言い換えるには?


「ターンオーバーを整え、正常化」はNG

肌の機能にターンオーバーを整えるという変化を与える効果は化粧品の効能効果範囲として認められていないためNGです。

OKな表現

・ターンオーバーをケア
であればOKな表現です!

③「美容師おすすめ」を言い換えるには?

「美容師おすすめ」はNG

医薬関係者(医師・薬剤師・看護師など)や美容師など国家資格者が商品の効果効能を推薦する表現は広告において禁止されています。

医薬関係者等の推せん 医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、薬局、その他医薬品等の効能効果等に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は学会を含む団体が指定し、公認し、推せんし、指導し、又は選用している等の広告を行ってはならない。ただし、公衆衛生の維持増進のため公務所又はこれに準ずるものが指定等している事実を広告することが必要な場合等特別の場合はこの限りでない。

医薬品等適正広告基準より

推薦(=おすすめ)もNGですし
選用(=✕✕愛用)もNGです。

医師(医療のプロ)や美容師(髪やメイクのプロ)の発言は影響力が高いです。

「医師が言うんだから間違いない」
「美容師が薦めるんだから良い物なんだろう」

と思ってしまいますよね。
医師や美容師が効能効果などに関して推薦することで、その効果が保証されたように認識される可能性があるため禁止されています。

OKな表現

・スタイリストおすすめ
であればOKな表現です。


④「幹細胞コスメ」を言い換えるには?

「幹細胞コスメ」はNG

幹細胞という言葉そのものがNGというわけではなく、幹細胞というワードを用いることで事実と異なる印象になる表現がNGです。

例えば、配合されているのは幹細胞抽出エキスであるのに、単に「幹細胞配合化粧品」としてしまうと幹細胞そのものが入っているかのような、事実と異なる印象を与えます。

また、肌の細胞(幹細胞)に対して効果があるかのような表現もNGです。

OKな表現

省略せずに、幹細胞抽出エキス配合と誤解を生まないように書けばOKです。


⑤「肌の疲れを癒す」を言い換えるには?


「肌の疲れを癒す」はNG

化粧品の効果効能範囲には、肌の疲労回復効果は含まれていません。

他にはこのような表現もできないものとして
化粧品等の適正広告ガイドラインに載っています。


「顔に出た仕事の疲れに」
「目のまわりの疲れをやわらげ」
「肌の疲れをとりたいあなたに」


OKな表現

・肌のダメージをケア
であればOKな表現となります。


薬機法を守ることが損だと思うのは理解と工夫不足

5つの事例で、ワードの言い換えを見てきました。

では次の表現のうちあなたが買いたくなる表現はどちらですか?


買いたくなるのはどちらでしょう??

A 化粧品Xで、肌が再生します
B 化粧品Xで、肌のキメが整います



多くの方が買いたくなるのはAの表現だと思います。
まるで医療のように肌の再生という変化をもたらしてくれる化粧品があるのなら、飛びつく人は多いでしょう。

どの商品も似たような訴求の化粧品が並ぶ中で「肌の再生」を謳うことは、消費者にとっては他の商品との違いが明確になり、魅力的に映ります。

魅力的に映る理由は、広告ルールを無視した訴求をしているからですが、消費者にとっては「こんな商品を求めていた!」で終わってしまう可能性があります。
ルールを無視した広告をしてまで売ろうとする事業者が消費者の悩みに誠実に向き合っているのかどうかは疑問でもそこは別問題。


真面目にやっている事業者からすれば「ずるい」「ルールを守っている方が損をするなんてバカバカしい」と思うことでしょう。
ルールを守るために社員に勉強させたり、外注でチェックを行ってお金をか
けているのに、ルールを守らない方が売れるなんておかしいですよね。

しかし、売れている商品の中にはルールを無視しているわけではなく、巧く味方につけて表現をしている場合もあります。
単なる違反ではなく、ロジカルな装備を整えたうえで訴求している場合です。
このような場合には、ズルくも何ともありません。
ルールを踏まえた上で広告制作を創意工夫し向き合った結果です。


①~⑤の事例を見ると、言葉の言い換えは訴求力を落とします。
言葉を抽象化し、商品効果の範囲内に留めるからです。

訴求力をなるべく落とさずに薬機法を守るにルールをうまく使いこなしながら工夫する必要があります。

販売に広告を欠かすことはできません。
是非、ルールを使いこなして堂々と売れる表現で広告してください。


顧問先の事業者さまには、お悩みに合った訴求提案や商品開発のヒントもお伝えしています。
「言い換えだけ」に限界を感じたら、ぜひお問い合わせください。

ひらさこ

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