ペットサプリに措置命令が出たので、ペット×薬事についてまとめる
2023年6月14日
景表法に違反する広告表示をしていたことを理由に福岡市のペットサプリを販売する会社に措置命令が出ました。
「へ~悪いことしちゃったんだね。」で終わるのはもったいない!
日頃ペット商材を扱う方や広告に関わる方と自分の記録のためにまとめました。
ペット事業に興味があるという方も、知っておいて損はない内容であります。
解説するのは、行政書士兼薬事コンサルのひらさこです。
ペット用品は今回の商品のようなサプリメントや、雑貨の販売について薬事相談・届出対応・広告チェックをしたことがあります。
今年はじめから、ペットスキンケアの開発にも関わっています。
以上、権威性をお伝えしました。では、いきます。
どのような表示が問題になったのか
消費者庁からのリリースで問題となった表示として挙げられていたのは大まかに2つです。
(1)病気・症状の改善・治療効果を得られるかのような表示
(2)誤認を与えるNo.1表示
(1)病気・症状の改善・治療効果を得られるかのような表示
・自社ウェブサイトで症状の改善とおぼしき表示
商品の摂取で、白濁した瞳が改善する(=症状の改善)かのように表示している箇所が見受けられたようです。
景表法上、広告表示する内容には合理的な根拠が求められますが、今回の件については合理的な根拠は認められなかったので
この表示は景品表示法上の不当表示(優良誤認)にあたるとされました。
優良誤認とは、商品を実際よりも著しく優れたものだと誤解させるような表示を言います。
今回の場合、合理的な根拠なく、症状の改善を広告で表示するというのは商品について著しい誤認を与えますよ!と言いたいのです。
他にも問題となった表示があるので続けます。
・アフィリエイトサイトで病気が治るとおぼしき表示
アフィリエイトサイトでは、商品の摂取で白内障が治るかのような表示もされていました。
あくまでサプリメント(食品)としての販売ですが「薬」かのような期待をかけてしまいます。
POINT
景表法では、合理的な根拠の有無が問われる。
「症状の改善表示をしてはいけません」ではなく
「根拠もないのに表示してはいけません」が景表法です。
(2)誤認を与えるNo.1表示
よく使われるコンテンツなので、(1)以上にどういった視点で不当とされたかを理解しておく必要があります。
不当表示として指摘されたのがこの表示です。
よく見る表示のように思われますが、問題はその内容です。
見たところの印象は、商品が7項目に対してそれぞれの第1位!かのような表示です。
ウェブサイトを見た人からすると
「この商品、いろんなランキングでトップになっててスゴそう!」
かもしれません。
実際には、他の事業者の販売商品を含むウェブサイトの印象を問うものでした。
また回答者についても事業者の会員全員に対しておこなわれたもので、他の条件をつけておらず客観的な調査とは言えないものになっていました。
ランキング表示に対する措置命令は他にも出ていて
2022年6月
㈱PMKメディカルラボに対する措置命令
こちらはエステに向けて出された措置命令。
表示されているNo.1と調査が嚙み合っていない内容だった。
実際の順位は1位ではなかった。
2023年3月
㈱LAPREに対する措置命令
こちらは整体院に向けて出された措置命令。
『日本で唯一の認知症が改善できる施設』などと表示していたものの、実際に第三者の調査を経たうえでの表示ではなく“自称日本で唯一”
2つ目の㈱LAPREについては埼玉県の事例ですが、いずれにせよ問題視している感が伺えます。
そして、何より報道を通じて「No.1ってなんだか怪しい」という印象になりませんか??
なくなることはなくても、オワコン化とでも言いましょうか…
消費者にとって「No.1か~!じゃあ買おう!!」とはならなさそうです。
ペットと薬事
「ペットと薬機法は関係ない」と言われたりもしますが、関係大あり。
ではどう関係があるのか、がんばって説明しますのでついてきてください。
※まいどおなじみ、わかりやすさ重視、正確さに欠ける部分があるのでより深く理解したいときは自分で調べることをおすすめします
薬のことは、人もペットも薬機法
人の活動は、各分野に分けて担当する省庁が統治しています。
国の平和を守る、防衛省
外国とのやり取りの窓口、外務省
教育やスポーツの振興、文部科学省
そりゃそうだという感じですね
同じようにペットの活動も、各分野に分けて担当する省庁が統治しています。
ペットに関係する省庁と分野
環境省・・・ペットの飼い方
農水省・・・飼料(ペットフード)
厚労省・・・ペットの薬
動物愛護管理法という法律を環境省が管理し、ペットの飼い方を統治。
ペットの飼い方として、食事の話になるとペットフードの表示や製造が・・・となり、農水省も関連してくる。
ペットが病気になったときに使う薬そのものについては、おなじみ薬機法を管轄する厚労省の出番。
病気の治療や予防を目的とするのなら、動物用医薬品
他にも動物用医薬部外品、動物医療機器とありますが、これらは国の商品を経てから販売しなくてはいけません。
国の承認を得ずに、動物医薬品を広告・販売することは薬機法違反です。
今回の措置命令は薬機法違反?
薬は、人もペットも薬機法が統治している。
薬として販売するためには、国の承認が必要。
これを踏まえて今回の措置命令を見てみると
今回の措置命令は、景表法違反ですが、同時に薬機法違反でもあります。
だって、
動物用医薬品として承認を経ていません。(食品としての販売です)
でも広告では病気が治るかのように謳っています。(白内障が治る)
景表法として根拠を持たず広告している点と併せて
薬機法として「医薬品ではないのに、医薬品のように見せるな!」と怒られることもしています。
先にPOINTで書きましたが、薬機法と景表法では違反の判断基準が違います。景表法と薬機法の違いを知りつつどちらもケアできるのが理想です。
参考にしたいガイドライン
ペットと薬機法との関係性がわかったところで、実際の広告制作に役立つガイドラインのリンクを貼っておきます。
ペットと薬事の前提を掴んだ上で、このガイドラインを一通りさらえば、広告制作は怖くありません。
ガイドラインはペットフード公正取引協議会が農水省の指導のもとに作成されています。
不適切な事例と、適切な事例が書かれていますが制作のポイントとしては
POINT
医薬品的な効果にならないように「健康維持」の範囲で効果を表現する
です・・・!
さいごに
ペット関連はここ数年ご相談が増えている印象です。
薬機法との関わりについて、今回の措置命令で気にされるようになったという方もいるかもしれません。
今回はここまでにしておきますが、別途詳しい説明も今後していこうと思います・・・!
もし今すぐ解決したい不安があれば代替表現の提案など行っていますので、フォームからお問い合わせください→お問い合わせ
今日はがんばったのでもう休みます。睡眠の質向上のための♡いただけるととてもやる気がでます。
ひらさこ
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