自己紹介、あるいは自分が何者であるかの備忘録
これを書いておかないと自分がなぜ小説や小説じゃないものを書いたりしているのか、目的や理由を見失うかもしれないので、自己紹介を兼ねて書きます。
2007年に『シャカンとすずちゃん』という本を自費出版しました。
これを書いたのは2000年です。出版にこぎつけるまで、友達に読んでもらって励まされたり、またあるときは落ち込んで、ダメだよね~友達以外誰も面白いと思わないよね~世に出すなんて夢のまた夢、と諦めようとしたり、振れ幅の大きい日々を過ごしていました。
思い切って新風舎に原稿を送ったのは2006年の秋でした。コンテストへの応募ではなく、原稿募集のお知らせを見て、原稿を送ってみたのです。反応があったのは翌1月の4日。忘れもしません。私のことを知らない人にも面白いと思ってもらえた。もしかしたら、本当に面白いのかもしれない。初めてちょっとだけ自信を持てました。自分が書いたこのお話は、本当に面白いのだろうか? たぶん、それが知りたかっただけなんです。
そこからはあっという間で、9月に出す予定が決まり、編集者さんとやりとりをして、挿し絵を描いてくれる人が決まり、内容も少し変更して、著者分の本が送られてきました。それを親戚や友達など、読んでほしいと思う人に送りました。
実は出版前に訴訟が起こされていました。
全国の書店に並ぶと言われたのに並ばなかった。そういう内容だったように記憶しています。このとき、まさか破たんに至るとは思っていませんでした。そんなことが起きるとは考えていなかったのです。けれども破たんして、『シャカンとすずちゃん』は絶版になりました。
しばらくのあいだ、私は打ちひしがれていました。破たんしたこと自体ではなく、破たんに至るとは思っていなかったのに破たんしたこと、に対して無力感を覚えていたのです。
私のことを知らない人にも、私の書いたお話は面白いと思ってもらえた。そう感じて嬉しい気持ちになったのに、やっぱり違ったのかもしれない。もうお話を書こうなんて考えてはいけないのだ。そう思いました。実際2年近くのあいだ、何も書けませんでした。
その2年の間、『シャカンとすずちゃん』を送った友人たちから、作品について好意的な感想をもらっていました。小学校低学年から、となっているのですが、ちょうどそのくらいの娘さんが読んで本が大好きになったとか、新しい生活を始めるときに読んで一歩踏み出す勇気をもらったとか、今なら飛び上がって喜ぶような感想をいっぱい寄せてくれました。それでも、またお話を書こうとは思えなかったのです。
書くことができたのは2009年。
初めて小説講座に行ったことがきっかけでした。それから6年ほど、受ける講座は変わりつつも途切れることなく通いつづけ、2015年の3月でいったん通うのをやめました。それ以来、講座には行っていません。
通い始めたときは何となくですが、小説家になりたい、なるものだと思っていたような気がします。講座に通いながら、ときどき賞に応募しましたが、どれも一次選考にも残らず、さすがに危機感を覚えました。
講座に通うのと並行して、パブーで作品公開を始めました。
最初に公開したのはカフェの連作。講座で書きました。次に書いたのはクマと人間のお話で、作者が物語の中に入ります。
カフェの連作はとても短いのですが、講師の先生に褒めていただき、「短いほうが向いているんじゃないか」と言われました。でも小説家になるんだと思っていましたから、新人賞に出すには長いものを書けなくてはいけないし、褒め言葉として受け取るのはちょっと難しかったです。(先生、申し訳ありません)
しかし落選を繰り返したことで、作品の質を高めようと、短いものを書くようになりました。そのとき最初のクラスはなくなっていて、カフェの連作を褒めてくれた先生ではありませんでしたが、書いたものを提出して講評を受け、それからパブーで公開するようになりました。やはり先生が言ってくれた通り、短いものを書くのが向いていたようです。
パブーで公開して閲覧数が増えると、それだけで満足するようになりました。
アウトプットしたものを読んでもらえるだけでいい。結局のところ、私が目指すのはそこだったようです。小説家にはならなくていいや、と思いました。それで講座をやめ、何をしようか考えているときにZINE(小冊子)を知りました。
ZINEを初めて作ったのは2015年の秋です。
小説講座に行かなくなって半年後のことでした。パブーで公開中の『ネギ戦隊タベルンジャー』という、ネギの消費拡大を目指すご当地戦隊のお話がそこそこ評判良かったので、これをZINEにしようと決めました。でも何をどうするのかがまったくわからず、ZINEスクールに行くことにしました。
約2か月間、同じようにZINE製作をする人たちと、ああでもないこうでもないと意見を交わし、できあがったときは本当に感動しました。これで、手に取ってもらえるようになる。まず思ったのはそのことでした。
パブーで作品を公開するようになって、新風舎の破たんで私を心配してくれた人たちに、元気でやってますと言えるようにはなりました。でも、その当時は電子書籍もあまり普及していなくて、手に取れるものがあれば読んでもらえるかもしれないし、そのほうがいいなあと、思うようになったのです。
初めてZINEを作ったのは2015年。それから2017年まで、半年ごとにZINEを作りました。約2年、お休みしていましたが、2019年の秋に作ったZINEを東京のMOUNT ZINE Shopで展示販売してもらっています(※2020年11月現在、ZINEは別のものになりましたが、引き続き置いてもらっています)。機会がありましたらお立ち寄りください。
ここからいくつかリンクを張ります。
よかったらぜひ。パブーの作品はすべて無料です。
✴カフェの連作
✴クマと人間のお話『ある戦いの物語』
✴『ネギ戦隊タベルンジャー』
そのほかの作品も、こちらの一覧からご覧いただけます。
そもそものきっかけになった『シャカンとすずちゃん』はこちら
シャカンとすずちゃん https://www.amazon.co.jp/dp/4289027008/ref=cm_sw_r_cp_apa_i_WwyhEbVVCKXG7
これからもZINEを作ります。
パブーでも作品を公開して、本も読んで、がんばっていきたいと思います。
ZINEを作りつづける理由は、知人に読んでほしいというだけではなく、小説を読まない人にも小説の面白さを知ってもらいたいと思うからです。
私のことを知らない人は面白いと思ってくれるのか、という疑問には、初対面の人にも面白いと言ってもらえている現状をふまえると、ある程度の回答を得られたと言ってもかまわないでしょう。
最後に、なぜ新風舎が破たんしてしまったのかはわかりません。理由などなくても、さらに意味もなかったとしても、私には意味があったのだと思います。人間はどんな事象にも、何らかの意味を見いだす生き物ですから。
最後まで読んでくださってありがとうございました!
🐚おしまい🐚
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