元ラジオパーソナリティから見たClubhouseとラジオ論

元ラジオパーソナリティ的には、俺の時代が来た的な感覚よりも、本当に芯と技を持ってないとなんの意味もないのだなとやや怖い。

いわゆる電波のラジオはブッキングされてしまえば自動的に聞いてくれるリスナーがいた。ひとりで全部回せるから僕にとっては得意分野だけど「じゃあ何がやりたいんだ」って問いを突きつけられてる。やれちゃうから。

結局、これまでもラジオは「リスナーとの関係性」だったわけだけど、それは「ラジオ局ごっこ」の上に成り立っていた。でもラジオ局がなくなっちゃった。だから「ごっこ」をしてても仕方ない。やっぱ本当に「関係」を作っていかなきゃならない。じゃあ何のためのどんな関係をつくる気があるの?ってなる。「たくさん聞いてる人がいればいい」を目指していいわけない(そんなのすぐ飽きる)。だから結局、本気の問いを突きつけられてる。

いわゆるラジオ局の中の人を知ってる者としての視点で言うと、人と繋がる、リスナーとの関係性を創造する、プロデュースするプロの人たち、それで食べていた人たちは、才能があって本気であればあるほど、もう「ラジオ会社」に勤務する必要がないのではないか。

これは凄まじいインパクト。

技術的に簡単になったとかって次元で勘違いしてはいけなくて、重要なのは「喋り手」が全員ノーギャラでCLUBHOUSEの世界に一瞬で移行しちゃったこと。そこに「ラジオ会社の社員」はほぼ関わってない(連動企画とかはあるけど会社としては関わるポイントすらない)。

ちなみにCLUBHOUSEは既存のとある音声配信の基幹サービスを使っていて、これをプログラマー数人で組み合わせればすぐに同じサービスは立ち上げられる。僕みたいな一時期デジタルの世界から足を洗っていた人間ですら、すでに同社の資料と料金表などを持っている。やろうと思えば2〜3ヶ月でCLUBHOUSEと同等かそれ以上のサービス開発はできてしまうと思う。

なので技術的にはそれほど凄くないからむしろ厄介だ。各ラジオ会社が似たサービスを立ち上げて追いつこうとしても、そんなところに価値はないのでは?

「関係を作れる才能を持ってる人を持ってる会社」でないかぎり、会社としてはこの流れと戦えないし、存在意義がものすごく低い。

よって、同種のサービスは乱立するので、今、先行者メリットでフォロワーを取りに行っても、一年くらいで意味がなくなるのではないか?と推測してる。で、結局は「関係つくりのうまさ」だけが残るはず。。。

最後に、「ラジオ会社いらないかも」の視点で考えすぎたから最後に逆から考えてみる。

僕は思い返せば、AirG→TOKYO FM→ニッポン放送→J-Waveと結構な数のラジオ局に番組を持たせてもらい、ニッポン放送ではオールナイトニッポンや編成のデジタルプロデュースまで関わらせていただいてきたわけで、意外とラジオ局の内部には詳しいのかも知れない。

その頃からずっと思っていたのだけど、ラジオ局ってサイズがインターネット的だと思ってた。大きすぎず小さすぎず、だけど部署はたくさんある。イベントも本も販売も営業もある。多様性がある。

なのになぜ電波にこだわるのか意味が分からなかった。つまりラジオ局はCM売りに依存しないやり方を見つけられたら「インターネットコンテンツ商社」になれるのでは?と思っていた。

でもそれはAmebaにやられた。
でもまだまだ未開拓の空き地だらけだ。結局は収益がどこからきているか、そこをダイナミックに転換できず、ラジオ局がラジオ局のままここまできてしまったのがもったいない。

よってラジオ会社はその小ささと人材とネットワークを活かして、ゼロから事業を設計し直すべきだ。なぜなら電波以外の出力だけではなく、制作までもが民主化された。

これはチャンスだ。

個人で名番組、名コミュニティをつくれるけど、5〜10人くらいのチームを編成し、営業部や出版部やイベント部を持っている会社は、ラジオ会社しかないはず。

ここに大きな可能性がある。やらないなら僕がやっちゃうぞ😝

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