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どうやら2代目襲名らしい。

「この社会そのものが大きすぎる装置でさ、バブルなんだよ。つまり夢。だから夢の中で夢をつくってもそれはまやかしなんだよ。だからまず夢から覚めて、本当の夢を作らなきゃな!」

…何を言ってるのか分かるような分からないような、お前は映画マトリックスのモーフィアスかよ!って突っ込みたくなるようなセリフを、中老の男(70)は手をブンブン振り回しながら僕に言った。

今朝のモーニングコーヒーはやけに苦い。ハードな1日になりそうだ。今日は中老の男の生前贈与シリーズ。お金はないけど人脈をくれるってことで、なんか得なことがあるといいなと思ってそそくさと目黒にやってきた。

待ち合わせ場所に着くといきなり「よう!平野!こいつ、ジャンボ!ジャンボ、こいつ平野!」と大きな紳士を紹介された。
いや、ジャンボって言われてもなんて呼んでいいか困る…。

するとジャンボさんは「俺、橘川さんの助さん角さんの1代目。40年来の付き合いだ。よろしく、2代目!」。

え!ちょっと待って、僕何かの2代目を今襲名したの!?しかも40年ぶりなの?いきなり情報多すぎ…。そしてジャンボさんから3枚の名刺もらったけどそれもFacebookで勝手に書けない話が多すぎてヤバすぎで、とにかく凄い。

思わず「えっと、大変失礼ですけど、お二人とも、これ詐欺じゃないですよね?」と聞いたら「諦めろ。もう二度と普通の人生には戻れないだろ?面白くて!わははは!」と豪快に笑って、そのあと身長を聞かれた。どちらの御仁も会話がキャッチボールではなく豪速球で、まったく何が何だか分からない。

政治、宗教、学術研究に関する大切な資料をいただいたのでザッと目を通してると、「なあ、そんなの後で読めばいい!それよりな」とまたまたFacebookに書けないことを話し始めたジャンボさんに僕は必死にコクコクと頷きながら思った。

「すげえ…年齢関係ない。この日本には自分なんかじゃ頭の回転が追いつかない超アクティブシニアで溢れているのだ!」と僕は心の底から感動していた。若い奴からシニアまで、好奇心旺盛でどんどんアクションを起こしていく人たちと出会ったら、メチャクチャ楽しいことができそうだ!これは希望だ!

感極まった僕は中老の男に「いつも言ってる換骨奪胎で社会を変えるぞっていう規模が分かりましたよ」と言ったら、ジャンボさんは突然真顔になり、グイッと僕に顔を近づけると「橘川さんがそう言ったのか?」と僕に尋ねたので、小さく頷いた。

「そうか…換骨奪胎か。くくく、やろう」とジャンボさんは大きく頷いた。

中老の男は「俺たち今70じゃん?で、ハタチじゃん?あと30年、頑張ろうぜ!」って、おい、君たち全然暴れるつもりじゃん。生前贈与じゃなくて手下にされた感があるんですけど…大丈夫かな。やっぱり不安だ。

◎換骨奪胎(かんこつだったい)
〈すでにある作品を作り替えて、新しい作品を生み出す〉こと。この会話では、これまでの社会や会社や学校の仕組みに一見見えるのだけど、実は中身が全て入れ替わっているゲリラな社会革命のことを指している(のだと思う。多分…)。

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さまざまな私塾がネットワークされたYAMI大学。橘川幸夫が学部長の「深呼吸学部」もその一つです。深呼吸学部の下の特別学科の一つが「旅芸人の…

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