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同人誌(TRPGシナリオ集)製作 覚書き

この記事は、「TRPGシナリオ」の物理本を作る時に役立つかもしれないポイントを書き連ねた覚書きです。
ディスコの個人サーバーで友人達向けに書いたメモやデータを、勿体ないので誰でも見られる場所に移しました。
※懇切丁寧なハウツー(指南書)では全くありません。

●そもそもこの記事は信用できるのか?

筆者制作物のクオリティについては写真とかリンク先の頒布物を見て、参考にして大丈夫そうかご自身で判断してください。
筆者は冊子デザインのプロではありません。一応5年以上TRPG本を作り続け、ド素人だったために苦労したり調べるのに時間を無駄にした事が多々あります。他の人ができるだけ同じ苦労せずに本を作れたら良いな~~っていうノリで公開した記事です。必要なところだけ拾い読みしてどうぞ。
https://hiranari.booth.pm/
https://conos.jp/product-brands/noi/

※TRPG関連の制作物を有料頒布を検討する場合は、SPLLについて確認推奨

TRPG二次創作ガイドライン http://www.arclight.co.jp/trpg-rights/
物理本は売上げ20万未満であれば対象外ですが(利益ではない点に注意)、同時に電子有料頒布も検討する場合はそちらだけ即・申請対象になります。
*電子データを物理本に掲載のパスワード付きで無料DLできるようにする、などは対象外。*詳しくは自分で調べて自己責任で。

●用紙見本請求をする。

印刷所様各社で、印刷する紙の見本を無料~低価格で取寄せできます。
なぜこれを先に書くかというと、入稿する段階になって 
紙…?何が良いかわかんない…でも見本取り寄せてる時間ない;;;;
とか、最後で陥りがちなミスなので。

また、印刷所によっては小説本向けに「フォント」の種類・サイズ・行間・余白の見本帳もあります。文字が多い本の読みやすさはこれらが全てと言っても過言では無いので、可能ならこちらも取寄せをおすすめする。

以下は一例。2~3社から取寄せしておくとGood。もう印刷所が決まっているならそちらに資料請求サービスがないか確認推奨。
(栄光印刷)
https://www.eikou.com/shiryou/
(ねこのしっぽ)
https://www.shippo.co.jp/myaon2/Items/item_detail/101276
https://www.shippo.co.jp/myaon2/Items/item_detail/101275

●神の本を参考にする

参考にしたい神の本を1〜3冊と定規を用意しましょう。本のサイズ・レイアウト決めや、前書きや奥付、印刷所選びの参考にします。

◎本のサイズ・レイアウト

見やすい神本は余白「上(天)・下(地)・ノド・小口」それぞれ何ミリか測ってみましょう。余白と文字サイズと行間が整ってるだけで本のクオリティ段違いになります。

*以下、参考までに自分の本のテンプレを載せておきますね。
*使用ソフトはindesign

程々に余白取りつつ割と文字数多めです。
フォントは現在はMS系から書籍用のものに変えてます。

◎奥付

頒布するしないにかかわらず、印刷所に依頼する場合は奥付記載が基本的に必須のはずです。必須事項は先に確認しておきましょう。
(参考:栄光印刷)https://www.eikou.com/making/printglossary/imprint/

◎前書き・注意書き

頒布する場合、各種説明や注意書きがなにかと必要になると思います。
TRPGシステムによっても必要な文章が異なると思います。
なるべくたくさんの本を参考にしましょう。

◎他

頒布する場合、マシュマロや連絡フォームのQRを載せたい人が多いでしょう。無料作成できるサイトがたくさんあるので作っておきましょう。
一例 https://qr.quel.jp/

●本を作るソフトを決める

◎文章冊子編集できる主なソフト 

・word
・一太郎
(どちらも 文章+ちょっとした挿絵挿入程度 でいいなら比較的難易度低く本が作れる。デザインを凝るのは至難)
・indesign
(高額。冊子編集専門ソフト。難易度高いがデザイン性高い本ならこれ)

いきなり購入するのではなく、無料体験期間などで自分が操作できそうか確認すると良いです。googleドキュメントで編集する猛者もいます。
使い方については指南書を買うなり検索するなり頑張ってください。

◎冊子テンプレート

boothで「テンプレ」 + indesignとか + word で検索するとたたき台にできるテンプレが見つかります。同人ライフハック。

◎本文の文章デザイン・装飾

文章を流し込む前に ↓このくらい は用意しておくと良い。

●indesignを選んだ人向け参考データ

B5サイズ・横組み・2カラムのシナリオ本を作るテンプレデータです。
pdfを見て利用できそうだったら、inddデータも持っていってください。
シノビガミというシステムで本を作る友人のために用意したので、それ以外のシステムで遊ぶ方には不要な部分もありますが、適宜削除したり書き換えたりして都合良く使ってください。

●素材サイト活用

フォントや罫線やアイコンをデザイン性あるものにしたい場合、素材サイトを活用すると良いでしょう。
同人誌に使っていいかなど、規約はご自身で確認必須。
・例 BOOTHでフォント検索

・例 筆者の推し素材サイト
http://free-line-design.com/
https://frames-design.com/
https://icooon-mono.com/
https://pictogram2.com/

●シナリオ文章をメモ帳で整える。

※編集ソフトに流し込むのは修正作業が終わってから!!!!!!!

◎シナリオ文章を区切る。

まずは全人類が見てもOKなネタバレ無しの「シナリオ事前公開情報」と、GM(KPなど)が見る「シナリオ本文」をきっちり区切りましょう。

*昔はこの辺りの境が曖昧な本が多かったのですが、現在は割と顕著に嫌われます。きっちり分けておくと喜ばれます。

◎演出例などとシステム処理はできる限り分ける。
 処理はなるべく簡潔に箇条書きにする。

「〜をして〜したら〜を行い〜の場合、~は〜を行う」のような長っちりの文章で処理が書いてあると分かりづらい。処理抜けや処理誤りが発生する。
HOがあるシステムの場合、HO内の文章も同様に演出文と処理を分ける。

◎プレイログでPLからされた質問を拾う。

シナリオを実際に遊んだときにPLから質問された部分は、どんなに小さいと思う事でも説明を追加しましょう。作者が回す時はその場で臨機応変にさらっと対処されていても、他人が回す時は困る内容が大半です。

*テキストログを「?」とかで文字検索すると少し楽。
ボイセ派の人は気合いで思い出すか、遊びながらメモりましょう。

◎プレイログから描写やセリフを拾う。

どんなノリで進行するシナリオなのかが分かるし、初見で回すGMの労力が減ります。描写例をマネするだけである程度回せるととても親切。

◎漢字や外国語名称にルビを振っておく。

NPC名や、シナリオオリジナルの場所、建物、アイテムなど。
初登場時の描写文章内とか、HOがあるシステムならそこなどに、()書きで載せると良いでしょう。他人には読めなくて割と困る。

◎エネミーデータや特殊ルールの掲載ページを併記する。
◎改変データやオリジナルデータならそう書いておく。

※サプリなど、関連書籍複数冊にまたがる場合は特に記載した方が良い。
※特にCOC(クトゥルフ神話TRPG)なんかは神話生物や呪文の情報があっちこっちに分散しまくりで記載ページを探すだけで時間を無駄にします。
ページを書いておくだけで進行速度が段違いです。
※改変したなら改変データだと書かないと、他人には作者が間違えたのか否か区別がつきません。
※オリジナルデータならそう書かないと、他人はそんなこと知らないので公式掲載ページを探して時間を無駄にする可能性があります。

◎他の人にチェックをお願いする。

シナリオ修正が終わったら、可能なら誰かにチェックをお願いしましょう。 誤字脱字と、作者以外の他人が問題なく回せそうかをチェックしてもらいます。 シナリオを遊んだ事がない人だと最良ですが、無理なら遊んでくれたPLにお願いしましょう。

*チェックを頼むときは、googleドキュメントがおすすめ。
共同編集可能にした文章を見てもらい、誤字脱字に蛍光色でマーカーをつけてもらったり、疑問点があったら蛍光色マーカー付きで記入してもらうという方法だと、読み進めとチェック記入を同時にできて相手も楽です。

*お願いした側なのだから、指摘されて機嫌を悪くしない。
どれだけ懇切丁寧に書いたつもりでも、なにかしら指摘が発生します。
最初から完全な作品は作れないと思って頼みましょう。

●余談:他人のシナリオをチェックする側になったとき

*作品について明け透けにツッコミを入れられる仲であることが前提。
指摘されると機嫌を悪くしたりショックで凹んでしまうタイプの人もいるのでその辺りの塩梅は自己判断で。

・作品に手を入れることに事前許諾をとる。
・人様の作品を編集することに遠慮しない恐れない。
・自分が実際回すつもりでシナリオを読み、疑問点は全部突っ込む。
・読みにくい・意味が通らないなと思ったところはガンガン直し補足し要約し分割し箇条書きにする心意気で。


そもそも素人が試行錯誤しながら書いた文章は、読みづらくて当たり前です。作者の頭の中には文章化されてない設定とかがあるので、説明不足にも気付けないものです。
他人が読んだら疑問だらけな状態なのが当たり前と思いましょう。
だからチェックを頼んでいるのです。

●編集ソフトに文章を流し込む。

シナリオ文章チェックなどが全て終わってから、編集ソフトのテンプレートに文章を流し込みましょう。

◎「シナリオ事前公開情報」「シナリオ本文」ページを分ける。

シナリオの事前情報だけを見たい人が、ネタバレを見ないよう配慮する。
シナリオが複数入っている本だと、冒頭に全シナリオの公開情報をまとめてあることもある。
やらなければいけないわけではない。どこまで親切な本にするかは作者次第なので、神々の本を参考に自分好みに作りましょう。

◎文章を装飾する。

・見出しをわかりやすく装飾する。
・システム処理は太字のゴシック体などで目立たせる。
・まとめたい文章は枠で囲う装飾などをする。
これだけでも相当読みやすい本になります。

◎HOがあるシステムの場合 装飾方法例

・wordや一太郎
HOの表・裏それぞれ用に文章装飾を作るのが簡単でしょう。
他の方法は自力で模索してください。ソフト自体が画像編集に向いてないのでデザイン性高くするのはそもそも限界があると思いましょう。

・indesign
用意したカード画像に文章を載せたり、図形ツールや素材を駆使してソフト内でカードを作って文章を載せるなど、表現したいことに合わせるとよいでしょう。慣れれば文章の下に画像を挟むのも容易です。

左インデザイン 右一太郎

●物理本のおまけとして、
オンラインDLデータを用意したい場合

シナリオテキストやNPC画像などを、オンラインセッションで遊びやすいように用意する方々が、現在はたいへん多いです。
以下は用意方法の一例です。

◎DL用データを入れた、パスワード付きzipを用意する。
◎DLデータが置いてあるURLを用意する。
◎本にURLやパスワードを掲載する。

DLデータ置き場として、
「BOOTH」「各種アップローダーサイト」「Googleドライブ」などがよく利用されています。どこを利用するか、ご自身で決めてください。
(特にBOOTHは店舗開設なので規約ちゃんと読みましょうね。)

置き場所が決まったら、パス付きzipをアップします。
0円で誰でもDLできるようにし、本の購入者専用データであることや、本記載のパスワードがないと開けないと補足も書けたらなお良いでしょう。

問題なくDLできるか、パスワードで開けるかも、できれば他の人にチェックをお願いしましょう。
問題がなければ、本に、DLデータの置いてあるURL(できればQRコード画像も)とパスワードを載せましょう。

●表紙・裏表紙画像について

最低限「本のタイトル」「システム名」「シナリオ集」「筆者名orサークル名」は載せると良いでしょう。「オンライン対応」してるならそれもアピールポイントなので載せると良いと思います。
あとは神の本を参考に見ましょう。

自作が難しい場合はskimaなどのコミッションに依頼するのも方法ですね。自己責任でどうぞ。

●おわり

印刷所に依頼するまえに、出力した原稿PDFをコンビニ印刷してみるのもおすすめですよ。

いろいろ書きましたが全てあくまで一例ですし、そこまでやらなくて良くね?って思うとこは無視しましょう。あなたの役に立つところだけ参考にしてください。

頒布方法は、ゲームマーケットのような同人参加できる即売会、BOOTHの通販、ボドゲやTRPG専門ストアへの委託など様々です。このへんはこの記事に書きませんが、初っ端から大赤字にならないよう楽しんでください。
TRPGの需要ってシステムによって全然違うしマジでわかりにくいので。
BOOTHなら予約販売機能である程度需要確認もできたりしますが、最初はそのへんもよくわかんないと思います。
ともかく、赤字になっても趣味代だと割り切れる範囲で印刷しましょう。

よき同人ライフを~~~~。

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