映画「バービー」の感想、企業理念の意味。

映画「バービー」の感想、企業理念の意味。

映画「バービー」を鑑賞して、大変、感心しました。2回、吹き替え版、字幕版、両方観ましたが、出来は吹き替え版のほうが良かったですね、字幕版は解釈がイマイチでした。とても大切な部分が二ヶ所抜け落ちておりました。

さて、以下、ネタバレを含みますので、観たくない方はここから下はよまずに、鑑賞後に見てください。気にしない人は見ても大丈夫。

さ、良いですか??

始めます。

予想に反して、世界的なヒットを記録している「バービー」

子供向けのコメディなのかと思ってみたら、まあ、そうなんですが、メッセージが深すぎて、本当に素晴らしかったです。

僕の中では「TAR」に匹敵する素晴らしさで、暫定今年見た映画ナンバーワン、、ま、個人的な思い入れは「TAR」の方があるんですが、、、「TAR」については、また後日詳しく書くとして、、、

 基本的には「バービー」はフェミニズム映画としてのスタイルをとっておりますが、最後の最後まで見ると、それは「魂のあり方」という壮大なメッセージに帰着するという、深い祈りが込められていて、涙を禁じ得ない、なぜか号泣させて終わる、という内容です。泣けない人ももちろんいるでしょうが、特に子育ての経験がある女性は結構泣けるんじゃないだろうか、、、あれは「アンコントローラブル」なるある女性のラストの発言が、どれほどの生きることの困難さと、深い愛情を含んだセリフであるかを、身をもって体験したものにしか理解できないのかもしれません。

 「自分の作った人形でも、コントロールなどできない、子供を育てる時もコントロールなど決してできないのと一緒、だから親は、その子の背中を見守ることしかできない」

「バービー人形の名前は、娘のバーバラ、からとったのよ」

この二つのセリフが、僕のいう、抜け落ちたふたつセリフ。

 現実のこの世界は、「特に女性は、、」生きることの困難さに満ちている、だからこそ、その困難さと戦うために「バービー人形」生まれた。女性は「お母さん」や「お嫁さん」だけではなく、医者や学者やパイロットや、大統領にだってなれるんだ、だから人生の可能性を信じて生きる勇気を持とう、、そんなメッセージが「バービー人形」には込められていた。それは創業者で母でもある女性の娘に対する祈りでもあったのだ。というところで、もう号泣必至なのです。

 「バービー人形」という商品は「マテル」という会社が作っている。映画にも出てくる、アフリカ系、ラテン系、アジア系、など、多種多様なビーバー人形も実際に商品として存在している。映画からは離れるが、僕は興味を持って調べてみたが、劇中に登場する車椅子のバービーはもちろん、手や足のないバービー、ダウン症のバービー、太ったバービー、背の低いバービーも実際に存在し販売されている。僕は、これほどまでに「企業理念」を感じる会社を知らない。

 昔、僕がまだ経営者を目指していた頃、「企業理念」というのは、従業員をコントロールするためのテクニックの一つである、と教えてもらったことがある。もちろん、いい意味でも悪い意味でも、それは事実だ。しかし、真の企業のあるべき姿を、「マテル」から我々は学ぶべきではないだろうか。

 世界は悲しみに満ちている、生きることは困難だ、しかし、悲しみや困難さの中にいる人々に、生きる勇気という武器を与える、「あるいは具体的に栄養や薬や温かさなど、命の継続を与える」ことこそが企業という組織の本当の意義ではないだろうか。

 世界中の悲しみ、痛み、を少しでも消していくことが、企業の本来の目的であり、企業理念とは、人間そのものへの、祈りなのだと、この映画には心底、啓発させられました。

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