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春に教わった本(「塔」2024年1月号 掲載歌)

「塔」の1月号が届きました。
いろんな方に自分の歌をご覧いただければと思い、掲載歌をnoteに記録しています。

2024年最初の号です。
主宰・吉川宏志さんの年頭所感「文化的な空間を手作りする」において、島根県松江の「書架 青と緑」さんについて触れられていました。
〈文化的な空間を、自分の手で作り出そうとする若い人々が存在していることに、胸が熱くなってしまいました〉と述べられており、こちらまで胸がじんとしました。
「書架 青と緑」は塔会員の日下塔子さんが運営されており、僕も松江に行った際、オープンして1週間ほどという貴重なタイミングで訪れることができました。
東京にいて遠く離れてはおりますが、訪れるお客さんや手渡されていく本、新しくやってくる本、そして繋がっていく人や物事を、日々のXの投稿などからうかがい知ることができます。
また訪れることができたら。あれから何度もそう思っています。

捨てられた旅行鞄を野良猫が覗いた朝に通りかかった

喫茶店を心の中に開きます 立ち寄る人がいると良いけど

若いころ怪我して握れなくなった指も全部で生活をする

へんなひと、かわってるね、と言うきみにきみもそうだと言えた街角

コーヒーを置いていた場所あたたかく今とかつての接点である

ベランダを出たことのないサンダルがきみに履かれてコンビニにいる

夏に読む本、秋に積む本、冬に売る本、春に教わった本

「塔」2024.1月号 P.184

「十一月号 若葉集(小林信也選)評」では、宮脇泉さんに突風の歌を引いていただきました。
突風がぶつかったのが閉じた窓であることを見逃さずバリアの中にいるようだと指摘していただき、自分でも驚きました。やはり歌は評者、読者と一体なのだと思いました。

これで若葉集は残り2回の掲載です。
月詠の送付はすでに作品2へ移行しています。

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