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楽園

茅ヶ崎の楽園に行ってきた。

楽園は、友だちのゆーやくんのラクサのお店、いただきます食堂の2号店。

ゆーやくんが研究と試行錯誤を重ねて生み出したラクサは、すごく美味しい。
そして、食べに行くたびにもっと美味しくなっている。
それって、すごいことだと思う。同じ味をまもろうとするのではなくて、進化し続けているのだ。

しかも、その味と体験をしっかりと受け渡して、自分がいなくても再現できるようにしている。それは、感覚でやっていることまでも精密に客観化しないとできないことだ。

自分が時間と努力を費やしてたどりついた素晴らしいものを、自分だけの技として抱え込むのではなく、惜しみなく先に伝えていく。それは大きな愛だと思う。

ゆーやくんが、そうやって抱え込まずに自分を動けるようにしているから、この楽園みたいに新しいものが生まれていく。ラクサの美味しさとか、働いている人がみんな楽しそうなカラフルで居心地のいい素晴らしい空間とか、よろこびがもっともっとシェアされていく。

ゆーやくん、すごいなあ!
進化し続けている、生きている。
私は茅ヶ崎から結構遠いし、ラクサは一年に数回、食べに行くくらいだけれど、行くたびに、ゆーやくんと顔を合わせるたびに、心からそんなふうに感じて、同時に自分も生きねば!と、背筋が伸びる。

そんな彼が仲間と手と体を動かしてつくった楽園の店内は、いただきます食堂と同じように、カラフルで、よろこびと楽しさと力に満ちた空間だった。
一歩中に入ったら、もう日本じゃない感じ。だからといってどこの国でもない、まさに楽園にいる気分になる。

ラクサはもちろん、すごく美味しかった。
やっぱり前回よりも、さらに美味しくなっている気がした。

そして何よりも心を揺さぶられたのは、スーパーや薬局やチェーン店が並ぶ「普通」のショッピングモールの中に、この楽園が存在することだった。

スルガ銀行の隣に、ばーん!と、このエントランスがあるのを見た時には、嬉しくて興奮した。

こんな景色をつくっちゃうなんて、やっぱりすごすぎる!と、思った。

通りかかったおじいちゃんやおばあちゃんたちが(平日の昼間で、お年寄り率が高かった)、興味深そうにお店を覗いて、入り口のラクサの説明書を読んでいく。

これからこのモールでは、これまでラクサなんてもしかしたら全然縁もなかったかもしれない人たちが、買い物帰りに「楽園寄って、ラクサ食べていく?」なんてことが増えていくかもしれない。
楽園に来るために、これまでこのモールにはあまり来なかったような人たちが、来るようになるかもしれない。

そうやって、ゆーやくんのラクサとこの空間の持つカラフルなハッピーさが、この辺りに住む人たちの生活にじわじわと広がっていく。そんな光景が想像できて、すごくわくわくした。

ゆーやくんは、ラクサで愛を世界に広めている。

楽園の居心地がすごく良かったのと、連れていってくれた友だちがゆーやくんと仲良しの顔馴染みだったこともあり、ランチの後も居合わせた人たちとおしゃべりを楽しんですっかりくつろいで長居をしてしまったのだけれど、帰り際にスマホを見たら、遠くの友だちから「生まれたよ!」と、新生児の写真が送られてきていて、びっくりした。

出がけに「陣痛がきた」と連絡は来ていたのだけれど、長丁場になるかと思ったら、数時間のうちに分娩は終わっていたのだった。

私が楽園でラクサを食べている間に、ひとつの命がこの世にやってきた。
その巡り合わせが何だかめでたくて、とても嬉しかった。

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