基準二〇で以下の「製品別計算の形態」の類型に区分し、基準二四までで、(一)(二)(三)まで規定しています。
(一) 単純総合原価計算
(二) 等級別総合原価計算
(三) 組別総合原価計算
(四) 個別原価計算
そして基準三一から「(四) 個別原価計算」の規定されています。よってこの間の、基準二五~三〇が「総合原価計算」の残りを規定しています。
基準三一~三六で「(四) 個別原価計算」を規定していますが基準三一~三三のみご紹介し、個別原価計算の概要・考え方を説明してまいります。
個別原価計算とは、顧客の注文に応じて製品を製造する受注生産形態に適用される原価計算方法をいいます。下図①のとおり、顧客から注文を受けると、注文内容を記載した製造指図書が発行されますが、工場ではこの製造指図書に基づいて製品の製造を開始します。
製造指図書の発行と同時に原価計算表が作成されます。原価計算表は、製造指図書ごとに原価を集計する表で、原価計算表に集計された原価が各製品の原価となります。
上図①より、製造原価のうちピンク部分の製造直接費(直接材料費、直接労務費、直接経費)はある製品にいくらかかったかが明らかな原価なので、製造指図書ごとに個別に集計します。これを賦課(または直課)といい、基準『三二 直接費の賦課』で詳細を規定しています。
上図①より、ブルーの間接費(間接材料費、間接労務費、間接経費)は、ある製品にいくらかかったかが明らかではない原価なので、製造指図書ごとに個別に集計することができません。そこで作業時間や直接労務費(金額)など何らかの基準に基づき振り分けますが、これを配賦といい、基準『三三 間接費の配賦』で詳細を規定しています。
ところで「個別原価計算」の特徴を知るには「総合原価計算」と比較することで、その違いが明確になるかもしれません。下図②をご覧ください。
「個別原価計算」は、仕事(オーダー)ごとに発行された製品オーダーに原価を集計する計算方式で、特定の製品を作るために用意したトロッコ(製品オーダー)に積まれた原価を計算するイメージになります。
これに対し、「総合原価計算は会計的だ」と説明される場合があります。というのも、生産は一定期間継続して行われ、全ての生産が完了するまで生産数量は確定せず、一定期間(1ヶ月や1年間)で区切って、この期間を原価集計単位として、人為的に製品原価を計算するので「会計的」だと言われます。更には製品原価の後ろに生産物が存在しないのも特徴的です。
「総合原価計算」は上図③のとおり、月末仕掛品がある場合、製造原価を直接材料費と加工費に分けて計算しますが、詳しくは基準『二四 総合原価計算における完成品総合原価と期末仕掛品原価』で規定しています。
<以上となります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。>