基準五では「非原価項目」について具体例を挙げています。非原価項目とは、原価計算制度において原価に算入しない項目のことをいいます。
なお下図①のとおり、基準三では「原価項目」の「本質」を規定しているのに対し、基準五では「非原価項目」の「具体例」である点、ご留意ください。
では基準五の原文を見ていきましょう。
特に「(一) 経営目的に関連しない価値の減少」と「(二) 異常な状態を原因とする価値の減少」は、原価の本質を規定している「基準三の裏返し」になります。
(一) 経営目的に関連しない価値の減少
経営の目的は、製品やサービスを生産し販売することですから、経営の目的に関連しない財務活動や利益剰余金に関連する支出は原価ではありません。したがって、借入金利息、社債発行費、社債発行差金償却等の財務費用や未稼働の固定資産等に関する減価償却費、寄附金等経営に関連しない支出は原価ではありません(営業外費用)。また、法人税や住民税、配当金などは利益剰余金処分支出も、価値のない消費ではないため原価ではありません。よって「経営目的に関連しない価値の減少」は原価に算入しません。
(二) 異常な状態を原因とする価値の減少
原価は、正常な状態における経営活動を前提として把握された価値の消費です。通常生じる(つまり正常)範囲の減損や仕損は原価に含まれます。よって「異常な状態を原因とする価値の減少」は原価に算入されません。
<以上となります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。>