【感想】カタシロReflect 叶さん回を観て感じたコレコレ感とコレジャナイ感

本記事では、「カタシロReflect」及び、ディズム氏のチャンネルで公開されている「カタシロRebuild」「カタシロRebuild 侵蝕」のネタバレが含まれます。
これらをご視聴の上、本記事を読まれることを強く推奨いたします。







この度、にじさんじライバーによって「カタシロReflect」の、上演が行われることが発表された。

私は、ディズムさんのチャンネルで公開されている「カタシロRebuild」「カタシロRebuild 侵蝕」が大好きであり、にじさんじも大好きだ。
そのため、この大好きなもの2つの融合に大きな期待を寄せた。

あの舞台版のカタシロが帰ってくる!
しかも演じるのはにじさんじライバー
おもしろくないハズがない!

というようなメンタリティーで公演を心待ちにしていた。

なんだかんだあり、実際に公演を観たのは公開されてからしばらく経ってからになってしまったが...…

今回はそんな「カタシロReflect」の初回。叶氏が主演を務めた回に関しての感想を述べていく。



率直な感想

単刀直入に言うと、「期待し過ぎたなー」という感じ。決しておもしろくない訳ではなかったが、私が期待していたような部分とは一部違いがあり、コレジャナイ感を感じてしまった。

おもしろかった点

やはり、カタシロの醍醐味というのは「お話」や最後の選択を通して、主演の人物の考えを知れる部分であると私は思う。
今回の「カタシロReflect」でもその部分はしっかりと残っていた。この部分が記事のタイトルにも付けたコレコレ感。
今回だと、最後の選択の場面で、叶氏が自分が機械の体で生活するかもしれないという可能性を提示された上で、元の体よりも今自分が入っている機会の体の見た目を変えた方が良いという旨の考えを述べるシーンが印象に残っている。
なかなか今までの「カタシロRebuild」「カタシロRebuild 侵蝕」では見られなかった考えであるため、おもしろく、興味深い考え方であると感じた。

また、その後アユムを起こして体を得たいかどうかを問う場面で、やさしさからか「体が分裂した」という話をしたため、説明がダレてしまうという流れもおもしろかった。
緊張状態から説明がダレたことによる緩和が起こったため、不覚にもこの部分で笑ってしまった。こういったことは、即興劇だからこそ起こるものであり、舞台版カタシロの良さであると感じた。

う~ん...… と感じてしまった点

一方で、「う〜ん」と感じてしまった部分もいくつかあった。

・情報の入手方法の変更

「カタシロRebuild」「カタシロRebuild 侵蝕」では、引き出しからバインダーを入手し、適正率が書かれたデータを入手する流れであったのに対し、今作ではパソコンにパスワードを入力して適正率のデータを入手する仕様に変更されていた。
前の2作では、パスワードを使用して得れるものは電気銃であり、割と入手できてもできなくてもどっちでもいいアイテムであった。
しかし今回は、電気銃の要素が無くなり(叶氏が発見できなかっただけの可能性もあるが)適正率のデータを入手するのにパスワードの入力が不可欠となっていた。
パスワードはアユムの誕生日が設定されており、birthdayがアユムの誕生日ということにピンとくればなんて事ない仕掛けのように思える。

しかし、前の2作の様子を見ると、意外とこのbirthdayがアユムの誕生日だとすぐにピンと来ない方も一定数いるのだ。
前の2作において適正率のデータは、部屋を漁れば見つかるため、この情報を入手できないという人はあまりいなかった。

今作では、適正率データの入手にパスワードの入力が必要となったため、前の2作と比較し、適正率データが入手できなくなる可能性が増加したのではないかと思う。
この情報を入手することは医者に対する不信感を強めることにつながり、物語の進行を左右する出来事である。
この情報が手に入らないと、状況の把握が不十分なまま最後の選択の場面へ行ってしまう可能性もある(もちろんそれはそれでおもしろいが)。

しかし、ある程度医者やアユムに対して疑念を抱かせることが、カタシロにおいて重要な要素であると私は考えている。
疑念を深めることにより、主演のその後(2日目夜と3日目)の医者やアユムに対する対応の変化を見るということも、この作品の楽しい部分であると考えているからだ。
そのため、疑念を深めるこの情報が手に入る確率を下げるこの仕様変更は、少しどうなんだろう? と思ってしまった。

・ベッドで寝ているものは…

ここが私が1番コレジャナイ感を感じてしまった部分である。
今作のアユムの部屋のベッドで寝そべっているのは、主演とそっくりそのままの姿をした元の体である。
前の2作とは、主演の元の体が寝そべっているという点に変わりはないが、元の体がそっくりそのまま主演の姿をしているという点が異なっている(前の2作では、体に包帯でぐるぐる巻きにされて姿が確認できないようになっていた)。

前の2作は実写・3次元の世界で行ったため、当然主演を務める人物とそっくりそのままの存在をベッドに寝かすことはできない。そのため、姿が見えないようぐるぐる巻きにした人形をベッドに寝かせていたと推察できる。
今作はバーチャルの世界で行われるため、主演とそっくりそのままの姿をした存在をベッドに寝かすことが可能であるため、このような演出になったのだろう。

しかし、私はこの部分に関して前の2作に習い、人物を特定することができないような状態のものをベッドに寝かせた方がよかったのではないかと思う。
というか、仮に現実世界・3次元で主演の方と全く同じ姿のもの(人形等)を用意できたとしても、包帯でぐるぐる巻きになった人形をベッドに寝かせた方が良いのではないかと私は考えている。

人物を特定することができないような状態のものをベッドに寝かせる利点として、主演に対してミスリードを誘うことができる。

前の2作では医者が
ベッドで寝そべっているものを指し、「誰だと思う?」という旨の質問をする

主演が「アユム」の体ですか? と答える

医者が「君の体だ」という旨を告げる

というのがお決まりのパターンとなっていた。
即興劇のカタシロの見所の一つとして、主演のリアクションというものがあると思う。
台本が渡されていない中でアユムや医者と会話を行う主演は、様々なリアクションをする。中でも、「アユムの体だと思っていたら自分の体だった」というこのシーンはリアクションの目玉となるようなシーンであった。

私は、アユムの部屋に入ってからリアクションの目玉となるタイミングは3つあると思っている。
それは、
①アユムが脳しかないことを理解するタイミング
②ベッドに寝そべっている体が自分のものであると気づくタイミング
③医者から体を譲ってほしいと頼まれるタイミング
の3つである。

①、③に関しては既に感づいていて冷静な反応を見せる主演も一定数いる。しかし②に関して、最初からベッドに寝そべっている体が自分のものであると気づく主演はほぼいない。
そのため、主演が冷静沈着で普段は驚く・慌てるといった様子を見せない人物である場合でも、かなりおもしろく・新鮮なリアクションを見ることができる。

本作においては、自分と同じ見た目をした人物がもう一人存在することに主演は驚きつつも、割とその後も淡々と物語を進めている印象であった(主演が叶氏であった影響も少なからずある)。
個人的には、「アユムの体だと思っていたら自分の体だった」という出来事を叶氏に体験してほしかったなぁと感じた。また、その時の叶氏のリアクションを見たいとも感じた。

上記ののような印象や考えから、ベッドで寝そべっているものに関して、個人的にコレジャナイ感を感じてしまった。
しかし、先述した様にVチューバーが行う舞台であるからこそ、主演とそっくりそのままの姿をした存在をベッドに寝かすことが可能になるという側面もある。
ここで急に手のひらを返すようになるが、この部分に関しては、コレジャナイ感を感じつつも、「カタシロReflect」の特徴として受け入れるしかないのかなぁとも思っている。

・健屋花那 氏の医者役としての演技について

今回の健屋花那氏の演技に関してだが、「カタシロRebuild」「カタシロRebuild 侵蝕」のディズム氏の演技にかなり寄せていた印象を受けた。

この点に関して、特段問題にする必要もないのかもしれないが、私は前2作のおもしろかった点として、タイプの違う医者役が登場するという点があったと考えている。
様々な人物が医者役を演じ、役割が同じにも関わらず、全く違うタイプの違う医者像が形成されるというのが、医者役が変わることのおもしろ味である。

話が脱線するが、「カタシロRebuild 侵蝕」で朝日奈丸佳氏が医者役を務めた回を未視聴の方がいらっしゃったらぜひ視聴していただきたい。
基本的に明るいトーンで話しつつ、時折見せるダークな雰囲気とのギャップがとても良い!


話しを元に戻す。今回の「カタシロReflect」において、健屋花那氏の演技はかなりディズム氏の医者像を意識したものとなっていた印象を受けた。
ディズム氏が演じる医者には安定感と程よい胡散臭さがあり、良いキャラクターであると思う。そして、健屋氏もそういったキャラクターを目指したものと考えられる。

しかし今回の公演では、健屋氏の独自色が薄いキャラクターが形成されてしまったように感じた。
ディズム氏の演じる医者が素晴らしいことは確かであるが、その医者像に縛られず、もう少し彼女が自由に演じる部分があってもよかったと思う。
また、普段の活動の様子を見ていると、それができる人物であると思うので、今後に期待したい。

まとめ

ここまで良いと思った点や、イマイチだと感じてしまった点に関して振り返ってきた。
特にイマイチに感じてしまった点を中心に語ってきたため、私が今回の公演に対して良い印象を持っていないような印象を受けるかも知れない。

確かに、そのような面も少なからずあったが、バーチャルの世界で行われるからこその表現や良さもきっとあるハズである(ただし私はまだそこをうまく見つけ切れていない)。

特に、私がコレジャナイ感を感じてしまったベッドに主演と瓜二つの体が横たわっているという演出に関しては、先述の通り、バーチャル世界だからこそできることだろう。

そのような良さを探しながらこの先の公演を鑑賞したいと思うし、今までの舞台版カタシロの殻を破るような、新しいカタシロが見られることを期待している。

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