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AIは何かできそうで何も生み出さない

NotionAIもchatGPTもGoogle検索を適度にまとめたようなものである

AIは世界をぶっ壊しそうなインパクトがある…と昨今の記事、ツイートから見え隠れする。

しかし、使ってみると意外にも「何もできない」というのが多くの感想じゃないかと予想している。

もちろんできるようになったこともある。

「いままでGoogle検索で調べていたものをより高度に検索できるようになった」

今までは、Googleを使って、調べるための単語を一生懸命に考えて、結果を見て「ああ、なんかちょっと違うな、調べなおそう」というのを何度も繰り返し、やっと期待する結果に到達できていた。

しかし、AIを使うと、比較的簡単に「期待する結果」に到達することができる。

逆に言えば、できることはそれくらいである。

もちろん、検索を拡張したブレインストーミングも可能である。

NotionAIでは、標準的にブレインストーミング機能が搭載されていて、アイデアに悩んだら、人とわざわざ雑談しなくても大量のアイデアを貰える。(ただ実際には、アイデアを50個も100個も出すと重複し出すのでアイデアには限界があるが)

これらは基本的に大規模言語モデルが出来上がり、高速なコンピューティングエンジンが安価に使えるようになったおかげだと思っている。
だから、(確率的)大規模言語モデルでできることならできるし、できないことならできない。

言語モデル自体はシンプルなもので、例えば「今日の天気はxxx」のxxxを予想する確率を言語モデルから推定しているだけに過ぎない。この場合「晴れ」「雨」「曇り」辺りが確率が高くなる。後は、音響モデル(音響的特徴の確率モデル)と突き合わせて、発話者の言っていることを認識すればよいが、まぁ「晴れ(HARE)」「雨(AME)」「曇り(KUMORI)」の3つから選ぶ状況であれば、音響的特徴が被ることもなく、間違えなく正しく認識できるだろう。

この仕組み自体は、私が音声認識の研究をしていた15年前から基本は変わっていないはずで、当時は高速なインターネット環境や、大規模言語モデルを作るための元ネタとなるデータ、それらを保持するストレージ、大量の計算リソースを食うコンピューティングリソースもなかったので、実現することは不可能だった。たった15年でここまで状況が変わるとはびっくりである。

ただできることは、音響・言語モデルから確率的に高いものを出力しているに過ぎない。
後は、DeepLearningを始めとするNeural Networkも発明され、十分にこなれてきており、これらが、ブレインストーミングなど、言語モデルを拡張した挙動を可能にしているのだろうと考えている。

さて、では人間ができることは減るのか?

どちらかというと、人間が今までやってきた作業が減るので、より創造性の高い活動に割ける時間が増える未来が来るのだろうと思う。

例えば、ホワイトカラーの仕事で「Excelをまとめる」という謎の仕事がある。Excel職人という言葉すら存在する。でもそういうのは全く創造的ではない。まさにAIに任せられる作業であると考えている。

また、私のエンジニアの仕事においても、機器を設定する仕事があるが、これらはだいたい初期に設定する内容は画一的で、AIができてしまう範囲の業務だと考えている。
例えば、FW(vSRX)の初期設定コマンド一覧を作成せよ、なんて一言でコマンド一覧ができてしまい、コンソール画面にコマンドをコピペすればそれで終わりと言う時代はアッと言う間にやってくる。

戦々恐々とする声が聞かれるのは(今まで自動化により失職する職とは無縁と思われていた)ホワイトカラーですら仕事が減る、というのが大きな理由なのだろうと推察している。

まぁホワイトカラーも仕事が減る時代になったというのは感慨深い。

僕らは仕事で、システム構築をしているが、システムの設計部分は生き残れると思う。なぜなら、システム設計は、依頼主の声を聴いて、それを設計に反映させる点で、一筋縄ではいかないからである。
ただしもちろん、シンプルなDMZ/MZモデルのシステムを作りたい、のでそのためのベースとなるフォーマットをAIに作ってもらうことはできるようになる。
今まではそれら簡単な作業は新入社員や経験の浅い人が対応していたのだろうが、もうAIが仕事を奪っていくことになる。そうなると、新人ですら、上手にAIを活用し、いきなり高度なシステム設計から入る世界に変わっていくのかもしれない。
ベンダさんたちが作ってきていたパラメータシート、NTPサーバやsnmptrapのコミュニティ名にしかり、もろもろの情報を埋めれば、コマンド化してくれる未来はすぐに来ると思う。

一方で、KindleストアにもchatGPTの本が大量にあふれている。しかし、その中のどれだけが、まともに知識としての価値があるのだろうと思ってしまった。
いくつか読んでみたが、明らかにchatGPTの出力をそのままに書籍化したものも少なくなくて、ただの検索結果じゃんと思いながら読んでいた。

ただ、知人の書いた本は対話形式でエンタメ性があっておもしろかった。こういう「エンタメ性」という価値を持たせながら「chatGPTを分かりやすく説明する」という価値は、人間に飽きさせず道具(chatGPT)の使い方や価値を教え混むという意味で価値が大きい。この手の本は、AIが洒落を効かせるのは非常に難しいため、やはり人が書く価値があるのだろうと改めて思ったところである。

しかし、今後、AIを使った書籍がKindleストアもしかり、Google検索にも溢れるようになると、どの情報に価値があるのか、見極めが非常に重要になる。ほとんどはそれっぽく書いているので、一見すると、善し悪しを判別するのは難しい。だからこれからの時代、AIチェッカーのようなツールで対象のサイトやKindle本などを評価し、人間が書いていない確率が高いのであれば読まない、くらいの割りきりをした方が正しい知見を得るためには必要になってくるのかもしれない。

つれづれなるままに。

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