見出し画像

地方のイベント。誰のため?何のため?

先日、実家の下関に帰った時に、市内のとある駅で、イルミネーション点灯式をやるというので見に行きました。場所は、下関駅から電車で20分ほどの小月駅。

高校時代の友人が住んでいることもあって使ったこともあるけど、5年ぶりぐらいに上陸。駅の雰囲気は、佐賀県の肥前鹿島駅に似てる。(なぜ肥前鹿島駅のことを知ってるかという話はまた今度。)

イルミネーションの点灯式に合わせて、カップラーメン100人チャレンジをするからということで、「なんだそれ、面白そう!」と、参加してみた。

そこで、まちづくりに関して、少し思ったことがあったので、noteに残しておこうと思う。イベントって誰のため?何のためにあるんだっけ?ということです。

カップラーメン100人チャレンジ

イルミネーション点灯式の主催は、小月商工振興会さん。なんでカップラーメン?という話に関しては、朝ドラとして放送中の「まんぷく」のモデルである日清食品の下関工場が小月にあるからですね。
(テニスで有名な大阪なおみさんver.のカップラーメンが売られている!)

イルミネーションの点灯前に、小月に住んでる方が続々と集まってきます。

おばあさん、おじいさん、主婦、子供たちがたくさん。最終的には170人ほど来てたみたいです。カップラーメンが足りなくなって、途中で買い出しに行ったとのこと。

サンモール商店街。数件の居酒屋と、スナックが入り混じっていていい感じ。そこまで大きくはないです。

イルミネーションは、この商店街の前にある、小月駅前ロータリーの、真ん中に設置された。

この街で、なぜ、イルミネーション点灯式やカップラーメン100人チャレンジをやるのか?

社内イベントのようなもの

今回のイベントに関しては、あくまで僕の意見ですが、内向きのイベントだと感じました。会社でいうと、社内イベントのようなもの。

一方で、僕が住んでる福岡・博多のイルミネーションは、博多にお客さんを呼ぶための外部向けのイベントだと認識してます。

小月のイルミネーション点灯式では、「うちの子供はこのイルミネーションが好きなんだよね。」という声を聞いたし、点灯するのを見るためだけに、家からわざわざ出て来てる老夫婦も見かけた。

おばあちゃんが、「もうこれで終わりかねぇ?」と言ってるのを聞いて、「なんだこの程度か」というより、達成感のようなものを感じたんです。


まちづくりの専門家ではない僕が感じているだけのことなので、取るに足らない意見かもしれませんが、イベントは、

①社内イベントのような、その地に住んでる人向けのイベント

②その地に、人を呼ぶ(お金を落としてもらう)ためのイベント

の2つにわかれる気がしています。特にイベント地獄で疲弊しきっているのは、②が多いからな気がする。

地方創生といえば真っ先に思い浮かぶ、木下 斉さんは、東洋経済オンラインの連載記事で、地方イベントに関してこう指摘している。

「イベントをやればにぎわいが出る」というようなことで、「月1回」だったイベントが2週に一度、毎週末などと増加し続け、イベントだらけになったりします。人は来るけど商売は必ずしも伸びないのに、精神安定剤のようににぎわいを求めて、さらなるイベントを仕掛けていきます。
たとえば、温泉街などでは「花火大会をやれば満室になる」ということで宿泊施設が加盟する組合主催の花火大会を年に1度から四半期に1度、毎月、隔週末と増やしていったら組合が潰れかけた、なんて笑えない話も耳にします。ただでさえ資源がないのに、毎年やることばかりを増加させたらどうなるでしょうか。一つひとつにかけられる人手も資金も手薄になります。当然、それぞれから得られる成果は乏しくなるわりに、つねに忙しくなってしまい、現場は疲弊していきます。

これはまさしく②のイベントの話。木下さんは、この記事の中で、何をやるかも大事だが、何をやらないかを決めることも大事だと言っている。

これは会社にも同じことが言える。「戦略とは、やらないことを決めること。」という言葉は有名ですよね。


ただ、やっぱり②のように、外部から人を呼んで、その地にお金を落としてもらうことは大切だと思っているので、これはまた別で考えるとして、

じゃあ①のようなその地に住んでる人向けのイベントは必要ないのか?というとそれもまた違うんと思うんですよね。

社内イベントのようなものと言ったのは、まさにそういうことで、地域住民を社員と見立てると、その地に対するエンゲージメントを高めるためのイベントは必要だと思うんですよね。

地域に住んでる方の、地域に対する愛着などを高めるためのイベント。いや、もちろん、「住民はその地域の社員じゃないんだから、その例えは変」という意見もあるかと思うんですが、人口減少が著しく、補助金・助成金頼りになってしまっている地域では、自分たちでお金を稼げるように自立しないといけません。

そういう意味では、一緒にお金を稼いでいく仲間だと思います。だからこそ、地域に対するエンゲージメントを高めて、どうすれば外から人が来るか?どうすれば補助金・助成金頼りにならなくて済むか?ということを、課題に対して、向き合える人を増やさないといけない。

さらに、旅行で行くにせよ、移住するにせよ、やっぱり自分が住んでる地域のことが大好き!という人が多い方がいいですよね。福岡の強みはそこだと思っています。「福岡なんて嫌いだ!」という人はあんまり見かけません。むしろ大好き!という人が多い。


この記事で僕が言いたいのは、やっぱり①のような、地域内の人向けのイベントは大事ってことです。地域のお祭りもそうですよね。

イベントに限らず、その土地に住む人が、自分たちの街のことを好きだと感じて、好きだと言ってくれること

でも、じゃあ、毎年同じようなお祭りをやって、毎年同じようなイベントを繰り返せばいいのか?というと、それも違います。時代の変化とともに、そこに住む人も変わるし、価値観もどんどん変わって来ます。

その中で、どう楽しんでもらうか?どうすればもっと愛着をもってもらえるのか?ということは常に考え続けないといけません。

今回の小月駅のイルミネーション点灯式では、「カップラーメン100個って発想もなかったなぁ」「インスタグラムを使って発信って考えたこともなかった」という、驚きの声も聞こえ、去年までの点灯式とは一味違ったものになったんではないでしょうか。

地域の方向けのイベントは重要。だが、毎年同じことをしていてもダメで、変化し続けなければならない。

ということを感じた1日でした。

いただいたサポートは、書籍などの購入費に充てさせていただきます。