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【共同執筆】日本語の誤用談義(後編)

(前回の続きです)


涼:
NHKも世論には勝てんわけじゃな。
ておいおい、また誤用しとるがコノヤロー。
まず爆笑は一人でするもんじゃないけん!
…っていうひっかけで俺の白痴を晒させようとしたかもしれんけど、残念ながらその手は通じんで。爆笑に誤用警察が敏感だったのも昔の話じゃな。現在の広辞苑では爆笑は「はじけるように大声で笑うこと」っていう説明になっとって、大勢でっていう縛りがなくなっとるんよな。
でも号泣は見逃さんけん、ちゃんと大声をあげて泣いてくれんと意味伝わらんで。八重がそんな日本語使うとか失笑するわ。

八重:
現在の広辞苑とか出されたら、今までわざと誤用で使ってきたフレーズも誤用の意味とか出てくるもんな。
失笑に関しては『笑いを失うように呆れる』っていう意味はねぇけん。
本来の失笑の意味は『こらえきれず笑ってしまう』じゃな。文化庁にもしっかりデータがあったわ。

でも文脈から考えて、涼がもし思わず笑ってしまったんじゃったら別に間違いじゃなくなるんよな。テキスト上だけじゃ判断できんけん、この件は煮詰まってしまいそうじゃわ。

涼:
煮詰まるのはこの話に結論が出せそうな時に使ってや!
まぁ俺と八重なら大抵の議論を煮詰めることが可能じゃろうけん、正用としても捉えられるけどな。正用って言葉があるんか知らんけど。
でもこの煮詰まるって言葉は個人的に誤用四天王の1つじゃと思っとるんよ。冷静に考えたら「煮詰まる=完成」みたいに理解できるんじゃけどな。

ちょっと趣向を変えて、ネットで調べてきて「これ誤用じゃったんかよ!」ってのがあったら披露してみん?
いくら誤用マイスターの俺らでも全てを把握しとるわけじゃねと思うけん面白そうじゃね?

八重:
そうじゃな。調べてみた結果、俺らって誤用マイスターでも誤用警察でもなく誤用ビギナーな可能性もあるしな。

俺が普段使っとる中で、「これ誤用じゃったんかよ!」っていうのはコレじゃ。

「箸にも棒にもかからない」っていう言葉は、【注意】のところにもあるように『少しの手掛かりもない』で使っとったわ。実際は『手の施しようがない』なんじゃな。
マスメディアでこういう誤用がメインで使われだしたりしたら、それを普段享受しとる我々も使ってしまうよな。…まぁ、そもそも箸にも棒にもかからないなんて日常で使ったことねぇけど。笑

涼は何か調べてみた?

涼:
慣用句とかは誤用多いよな。そもそもが長い年月をかけて形成されていく言い回しじゃしどっかのタイミングでほんまに意味が変わったものとかもあるかもしれんと思うわ。 

俺は今調べてみて自分を恥じたんじゃけど「御の字」のニュアンスを誤って捉えとったわ。
御の字っててっきり『妥協出来る範囲になってありがたい』って意味じゃと思っとった。
テストで70点取れたら御の字
みたいな感じでな。
実際は『特に優れたモノ、非常に結構なこと』って意味らしいけん、テストで100点取って初めて御の字みたいじゃわ。

調べてみて改めて誤用の多さ、面白さに気づいたわ。
今回は日本語について談義してみたけど、今度英語の誤用とかでも語ろうや。

八重:
英語の誤用は俺らがネイティブじゃねぇけん、
普段日本人が使っとるカタカナ英語の誤用とか楽しそうじゃろうな。

そろそろ潮時じゃけん、また今度語ろうか。
…おっと、潮時も『物事を始めるのに良いタイミング』のことじゃったな。悪ぃ悪ぃ。

茶番にお付き合いいただきありがとうございました。


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