競走

私が弓を離れた理由の一つに他者との競走がある。ただの競走であれば良いのだが部活という性質上、お互いに顔を知っている相手とポジションを争わなければならないのは私にとって非常に苦しいことであった。事実、これが原因で私は友人を失った。

メンバーが決まる数日前、私はその友人と共に大会が行われる道場で練習をした。その帰り道、その友人は彼の胸中を打ち明けてくれた。
彼が何故その大会に出たいのか。どれほどの思いを持って練習に臨んだのか。
彼の放った言葉一つ一つに思いが詰まっていた。

しかし現実は残酷なもので、彼が大会メンバーに選ばれることは無かった。彼とは特に親しかったが、それを境に互いの距離はみるみる離れていった……


話は変わるが、先程、日向坂46 1thアルバムリード曲 「アザトカワイイ」のフォーメーションが発表された。私はフォーメーション発表前に一抹の不安を感じていた。もし、私がこの発表でグループに対する印象が変わってしまったらどうしようか…と。
だが、その心配は杞憂に終わった。

フォーメーション発表と聞いて私の脳裏を過ぎったのは、″ふるい″のイメージだった。人気メンバーが前に、中心に。というのが私の古いイメージ。
たが実際は違った。一人ひとりが柱となり梁となり、1つの″家″を支えるようなポジションであるなと私は素人ながらに感じる。

ポジション発表の裏には数多くのドラマがあっただろう。それでも互いの距離が離れることなく仲の良いままの彼女達を私は心の底から尊敬している。

彼女達の努力と友情によって作り上げられたあのグループを、私はずっと推していきたい。