疾病

疾病

これから鶏病について、数稿に分けて記していきます。
疾病の名称で稿建てをしてゆきますが、疾病対策において農家のレベルで対処できることはあまりなくて、基本的な衛生管理と栄養管理がせいぜいだと思います。

それが基本だからという事もありますが、問題になるような疾病にはワクチンが開発されていて、それによって抑えられているという事情もあります。
孵化場からヒヨコを買って育てる場合は別だと思いますが、育成場から届いたヒナはワクチンを接種済みです。
まさとうは大雛導入なので、ワクチンの恩恵を受けた上での病気の稿です。

観察

疾病罹患が分かり易いのはエサやり直後の動きです。ほぼ全羽がエサ桶に首を突っ込んでいる中、集団から外れて大人しくしている個体は、イジメでなければ何らかの異常です。
動きで言えば、姿勢が変とか、動きにキレがないとか、開口呼吸をしているとかでしょうか。
次がフンの状態。これは動かないのでジックリ観察できます。
あとは飼料の食べ具合ですが、この辺りから早めに気づいてやれば大きな問題は起こりません。
鶏病の種類を上げていけばキリがありませんが、一番ありがちなのがコクシジウム症です。
あとは寄生虫の類で、ワクモとヌカカと回虫でしょうか。
農家レベルで考えれば、ほぼここに尽きると言ってもよいくらいなので、病気についてはコクシジウム症に大きく稿を割いて、他は軽くしようと考えています。

鶏に治療は必要か

以前に採卵業者の方から「鶏というものは群れ単位で管理するものだから、一羽一羽を看病したりするもんじゃねえよ。」と笑われたことがあります。
開業当初に家畜保健所の先生からも同様の事を言われました。
「牛なら手術もしますが、ニワトリでは(個別の治療は)聞かないですね。群れ全体に投薬か淘汰(殺処分)でしょ。」
確かに鶏というものはそういうもので、仕事の効率としてもそうかもしれません。

さらに言えば、現場での作業や技術といったものより、経営とか営業とか発信にエネルギーを注いだ方が良いのだろうと思います。
前職を辞める時、上司に「農家になって、こういう作目で、こういう栽培をして・・・」と言っていたら、「そりゃ、順番が逆だよ」と返されました。
「いくら稼ぎたいってのがまずあって、客が求めてるものと自分が出来ることをふまえて、さかのぼりでああするこうする、って考えるのが営業のストーリーだって、バックキャストだって何回も教えたじゃあないか」と。
思い出すたびに、視野が狭いというか、大枠や本筋を外したまま軌道修正が出来ない性格だなあ、と感じています。

試行錯誤

軌道修正できないという意味では、養鶏を始めていきなり鶏病に襲われた衝撃から、未だに抜け切れていないのかもしれません。
治療中はもちろん、鶏が健康を取り戻した後も引き続き、民間療法、合成薬剤、生菌剤、ビタミン・ミネラル剤、クエン酸、植物製剤と様々なものに手を出してきました。
そうやって、あれこれと試した挙句、試したもののほとんどをやめてしまいました。
今は鶏に無理をさせない飼料設計と、手洗いや器具洗浄といった衛生の徹底に落ちついています。
そこまでいけば十分で、もっと営業を頑張るべきだろうと思いますが、やっぱり鶏の事を考えてしまいます。

病気の稿は、そんな日々の中で、自分なりに調べたり実践したりしたことです。
ところどころで病気に関する書籍を引用しますが、基本的には自分の実践中心で根拠が示しきれない部分も出ます、ご了承ください。

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