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『中受算数の誤解』を視聴し中受算数の勉強法の私見を述べます

毎日計算。。。

「計算ミスを無くすために毎日計算練習」半分正解で半分間違い。計算練習は必要だけれど、闇雲に計算練習を積み重ねても疲弊だけして計算力は向上しない。然るべき計算の工夫を指南してもらえる環境になければ不毛な作業となりかねない。

保護者から「計算練習で良いテキストは?」と聞かれ「特別なテキストは不要、授業内で計算の工夫を伝えていきます」と言って不信感を抱かれたことがある。算数の問題の中で出てくる計算式で工夫が可能なものは「これどういう風に計算する?」と生徒に問いかける。その積み重ねで生徒に「この計算は工夫できるかな?」という意識が刷り込まれていく。授業の中で「先生ならこれどういう工夫しますか?」と質問が出てくるようになれば、学習姿勢としてほぼ完璧。ポイントは計算テキストの良し悪しではないと思う。

ラ・サール志願者の指導で『中学への算数』を利用していた。毎月約30題の実際の入試で出題された計算問題が掲載されている。生徒に課していた計算はこの1日1題だけ。これをいかに速く解くかを考えることで計算力が伸びる。実際伸びた。こちらも予習しながら、この工夫に気づいたかな?みたいなのをすり合わせるのが楽しいわけです。

四谷大塚の『計算』テキストは1週間で7枚用意されている。個人的には予習シリーズの算数をやらない日にやるくらいでちょうど良いかなと思っている。これに加えて『高速基礎マスター』までというのは過剰。どちらかで良いと思う。

図を書く

実際に私自身が算数の問題を解くときに、与えられた図に直接書き込むということはほぼないわけで。図形の問題は問題文を読みながら「ここの比が2:1で」なんてことを考えながら図を書くことで題意が理解されていく。確かに時間はかかるが図が書いてある親切な問題を何題も解くよりも1問入魂、図を自分で書いて考える勉強の方が伸びる。

生徒に授業中に板書の図を写させるかというと写させない。図を書く上でのポイントをしゃべりながら書いていくプロセスを見てもらう。何ならそのノートのデータは共有してあげる。そして重要なのは生徒がそれを再現できる「スキル」という形で自分の中に落とし込むということ。「先生、もう1回図を書いてもらって良いですか?」みたいな質問は最高。同じような問題に対峙したときに同じスキルで対処できるかどうかが大切。

図形問題に限らず、表や図を用いる文章題においても全く同じことが言える。

問題の取捨選択

動画でいうところの「見直しノート」のところ。どの問題をピックアップするかというのが多分に講師の力量が試されるところで、すべての問題を理解という目標においていると効率も悪いし、学習量や時間がムダに増えて破綻する、モチベーションが下がる。
ここは過去に詳しめに書いた関連記事を参照していただきたい。

公文&そろばん

幼稚園から小学校低学年くらいまで、四則演算のマスター、分数・小数の初歩的な計算という意味では推奨。実際に計算速い子は演習のテンポも良くなるので良い。一方で動画でも言及がある通り、記事冒頭の計算の工夫などはシステム上、習わないようなので、中学受験算数と考えると高学年に入る段階で切り替える必要性があるかなと感じる。実際、入試問題では突破力のある計算力が必要というよりも、工夫で時短してね、という問題が多い。

基礎の積み上げだけでは難関校には通用しない

「難関校」のラインは四谷偏差値60くらいかな、と思う。九州だと早稲田佐賀・青雲・弘学館の算数は難問も出題される。が、その難問の出来は合否にほとんど影響せず、小問集合の計算と一行題がほぼ完璧に解ければ受かる、という感じ。受かることだけ考えれば基礎を徹底するのが良い、ホントに。理解できない問題に時間を割いていると効率が悪い。上位で合格し内部でも成績上位でということまで考えれば過去問内容はしっかりと、という具合にはなってくる。

四谷偏差値61のラ・サールとなると、小問集合のレベルも少しあがるし、計算と小問だけでは合格点には達しない。そして骨のある大問も得点する必要があり、やはり動画の言う通り難問へのチャレンジが必要となってくる。『中学への算数』が推奨されていて、熱く語っている記事があるので参照していただきたい。

ラ・サールを目指す上である程度、力がある前提で「日々の演習」にじっくりと取り組む。厳選された問題をじっくりと。無闇に大量の演習をこなすのではなく、1問1問をじっくりと。1年継続すると骨太の算数力がつく。ラ・サールのためにやっていたことだけど、首都圏御三家でも通用した

生徒に必要な100の力をつけるためにいくつ教えるか

今の大手塾のカリキュラムは200浴びせて100くらい身につけば良いなとなっていないか。生徒自らが考える力を引き出せれば50くらい教えれば100身につくのでは、というのが私の考え方。あれもこれも教えねばというのは講師が陥りがちな思考なんだけど、初見でどう解くという生徒の姿をじっと見て待つ胆力こそ必要なのかな、と。眺めてて伸びない生徒に必要な教材と必要な授業をいかに見極めるかこそが講師の能力。

良い動画でした!