見出し画像

極上のサッカーコンテンツ「ようこそレクサムへ」を見て

作品について

一言で説明すると「サッカーにあまり詳しくない有名ハリウッドスターがイギリス 5 部のウェールズのサッカークラブを買収して地域を盛り上げた話」です。
disney+ にて公開されている作品で、全 18 話 1 話 30 分のボリュームです。
最初は長いなと思っていましたが、買収から 1 シーズン終了までを実際の映像で収められておりコンテンツとして非常に楽しめました。

僕が作品を知ったのは好きなポッドキャストの「サッカーと映画」さんで紹介されていたからです。

僕も彼らと同じような感想を持ち、見たあと語らずにはいられない衝動に駆られて note を書いています。
note じゃ飽き足らず Podcast でも話しています。

作品のリンクはこちらです。

あらすじ

ライアン・レイノルズとロブ・マケルヘニー

まずライアンについて、彼はハリウッド作品にも出演するほど有名な俳優さんで、代表作の中には「デットプール」や「名探偵ピカチュウ」などがある。
作中では比較的冷静でお金が絡む際には必ずライアンが渋い顔していたのが思い出されます。
買収当初、彼はサッカーに興味がなくあくまでビジネスとして捉えていたように思えたのですが、次第にサッカーにのめり込んで行くのも作品の面白みに一つです。

ロブはライアンほどではないですが「フィラデルフィアは今日も晴れ」というアメリカで有名なドラマに出演俳優さんだそうです。
もともスポーツが好きでアメフトが子供の頃から好きだったみたいです。
イギリス人のコメディ作家のハンフリー・カーがロブの前でいつもサッカーを観ていて、それをからかっていたらいつの間にかハマっていったのが買収の理由の一つらしいです。
ライアンに比べたら熱くなりやすい性格で彼の熱量がレクサムのチームや街を活気づけていきます。

彼らはもともとネット上で知り合った仲らしく、仲良いが仕事も一緒にしたことがなかったらしいです。
そんな 2 人が 2020 年にウェールズのクラブであるレクサム AFC を買収するところから物語は始まります。

レクサム AFC

レクサムはウェールズの一つの街で、位置的にはリヴァプールの南側にありイングランドに近い位置にあります。
レクサム AFC はイングランド 5 部のリーグに所属するクラブで、世界で 3 番目に古いサッカーチームとも言われています。(諸説あり)
スタジアムが世界最古の国際サッカースタジアムであることで有名です。
買収直前のシーズンではプレーオフ圏内を惜しくも逃し 14 シーズン連続で 5 部に所属しているという状態でした。

買収前のクラブは WSL(レクサムサポーターズトラスト)というサポーターたちが出資金を持ち寄ってクラブ経営する形をとっていました。
この WSL の承認を得ないと買収はできません。
WSL 的にはお金がないのと、14 シーズンも 5 部所属が続いてしまった現状を打開しなければならないという思いから買収に踏み切ります。

買収後のレクサム

主に 21/22 シーズンのお話です。
21/22 のレクサムの目標は 4 部昇格でした。
イングランドで 5 部はセミプロ扱いでリーグとしてのサポートも大きい 4 部へ上がるのがクラブとしての悲願でした。
そのためにも買収後最初の仕事は選手や監督の補強と解雇でした。
このときは 11 人を解雇したそうです。
監督には経験豊富なパーキンソン、ストライカーに当時 4 部でプレーしていた超人ポールマリンを迎えシーズンスタートします。

ライアンやロブはクラブの露出を増やそうと SNS や自身が出演する番組でクラブの宣伝を行います。
この「ようこそレクサムへ」もプロモーションの一環で作られた作品だと思われます。
その結果 Tiktok やエクスペティアといった有名企業をスポンサーに迎えることができました。

選手やスポンサー獲得に勢いづくレクサムですが、シーズン序盤は引き分けや負け続きで苦戦します。
その原因が買収によるプレッシャーがあったと選手や監督は語ります。
買収初年度で昇格しなければならないという目標が重くのしかかったのです。
チームが不調だとサポーターからオーナーがチームを手放すのではないかと不安の声も上がるようになります。
また長期的に投資してくれるのか?など声も上がっておりまだ新オーナー含め選手、サポーターが一つになれておらず、それがサッカーの成績にも現れている状況でした。

そんな中ライアンとロブはウェールズを訪れる回があります。
それまでは仕事などで忙しかったのかサポーターの目の前に現れず、チームスタッフとも Zoom でのミーティングしか行っていませんでした。
ライアンとロブはスタジアムはもちろん街のいろいろな施設を訪れ大騒ぎになります。
選手たちとは一緒にボールを蹴ったり、サポーターとは一緒にビールを飲みながら意見を交わすなどして徐々に打ち解けていきます。

そんな出来事もあってかチームは団結しシーズン中盤から徐々に調子を取り戻していきます。
冬の移籍市場では 3 部のチームからオーリーパーマーを獲得します。
これがきっかけとなりレクサムはマリンとパーマーの 2 人のストライカーを中心にリーグを勝ち進めていき、2 位まで上り詰めます。
またリーグとは別に FA トロフィーというカップ戦も順調に勝ち上がりなんと決勝まで進みます。

見どころ & 感想

選手や監督、サポーターへ感情移入してしまう

エピソード中に選手や監督のプライベートが描かれます。
買収のプレッシャーもそうですが、人間生きていたら毎日感情の変化があり調子を崩してしまうことがあります。
一人好きな選手を挙げるとすると 7 番のデイビス選手で、彼はレクサム出身でフリーキックが上手くチームの中心選手です。
彼がプライベートで悲しい出来事が起きるのですが、それを感じさせないほどピッチで身を粉にして働く姿には胸を打たれます。
最後のプレーオフの試合では得意のフリーキックで得点したシーンは一番思い出に残っています。

またウェールズ、もっというと欧州のサポーターとクラブはすごいことを改めて思い知りました。
「自分の親にスタジアムに連れてってもらってたから自分の子供もスタジアムに連れて行くんだ」というサポーターがいましたが 50 年くらいクラブが続いていないとできないことです。
J リーグはできて 30 年なのでギリギリ立ち上げ当初連れてこれらた子供が自分たちの子供をスタジアムに連れて行くという連鎖が生まれ始めたころかと思います。
それを欧州では何周も繰り返しているからサッカー文化が根付いているんだなと感じました。

他に魅力的な選手、サポーターが登場するので誰かに感情移入してしまうところがこの作品の面白いところです。

ライアンやロブとともにレクサムサポーターになれる作品

この作品を見終わるとオーナーであるライアンとロブとともにレクサムサポーターになれた気がしました。
特にライアンの変貌が面白かったです。
彼はサッカーをあまり知らない状態でクラブを買収しました。
最初はスタジアムの改修にかかる費用を見て金額にびっくりし、ビジネスにならないなどとぼやいていたシーンがありました。
物語が進むにつれ、服装にデフォルトでレクサムのグッツを身に着けていたりだとか、ロブをおいて一人でウェールズに行くなどすっかりレクサムにハマっていました。

ロブはもともとスポーツ好きなところもあり、早朝に起きてアメリカから試合を家族で観戦していました。
一つ印象的だったのが FA トロフィーの決勝でオフサイドに気づかずゴールを喜んでいたところ他のお客さんに「オフサイドだよ」と指摘されたシーンがありました。
別の試合でまた同じようなシーンがあった際に冷静にラインズマンの旗を確認していたところを見てサッカーファンらしくなったなと感じました。

僕自身も最初はサポーター模様や選手のエピソード、サッカー経営の難しさなどを感じ取りながら見ていていました。
しかし途中から試合のシーンではロブやライアンとともに一喜一憂していることに気が付きサポーターになれたのかもしれないと感じました。
最終回だけエンディングが「スタンド・バイ・ミー」だったのですが、レクサムのサッカーを純粋に楽しんでいる少年のような気持ちになれました。
ロブやライアンも同じような心境でこの曲を選んだのかなーと思います。

まとめ

レクサムは残念ながら今季も 5 部を戦っていますが、この記事を書いている 3 月上旬時点ではなんと 1 位で自動昇格の可能性があります。
この作品を通してサポーターになってしまったので陰ながら応援したいと思います。

またようこそレクサムへはシーズン 2 の公開が決定しています。
自動昇格の可能性があるシーズンでもあるので内部でどのようなことが起きているかやレクサムの街がどう盛り上がっているのか観るのが楽しみです。
古参を名乗れるチャンスもあと少しなので見ていない方は早めの視聴をおすすめします!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?