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『Shell and Joint』完成披露試写会

昨日、映画『Shell and Joint』の関係者試写会としての完成披露試写会があり、150人以上の方に来て頂きました。

『Shell and Joint』は、分かりやすい作品では無いので、ちょっと不安でした。不安と言うか、ご迷惑かけちゃうなあ、みたいな感覚の方が近いのかもしれません。映画と言えば、1本のストーリーがあり、起承転結があって、見終わった後にスッキリとしたカタルシスが残るもの、というのが一般的だと思うので。

中華料理屋に行って、酢豚とかチャーハンを食べるつもりだったのに、蚊の目のスープやヘビの唐揚げみたいなのが出てきちゃった感じに近いと言いますか。キャストやスタッフの方々からは、「アイツは蚊の目のスープやヘビの唐揚げを出してくる料理人」という風に見られている確率が高いので良いのですが、その周辺の方々はギョッとするだろうなと。とは言え、その「蚊の目のスープ」や「ヘビの唐揚げ」がとても美味しく出来ていたので、とりあえず食べていただこう、と腹をくくりました。

見終わった方々からはいろんなご意見を頂きました。関係者試写会ということもあり、みなさん玄人の視点を持っているので、こちらが裏に隠したテーマや意図を、割と軽々と解釈し理解していた意見を多く聞きました。特に役者の方々は、日ごろからシナリオの行間を読む習慣があるからなのか、みなさん本当に的確かつ面白い視点で作品を見られていました。逆に言うと、これが分かりやすい作品だったらそういう意見はもらえなかったかもしれません。「メッチャ面白かったです!」で終わってしまうと言いますか。

今まで作ってきた短編映画もそうなんですが、映画を見終わった後に、見た人の脳が動き出す作品を作りたいと思って作ってきました。見終わった後に、頭の中でいろんなシーンとシーンが化学反応を起こして、見た人なりの解釈が生まれる映画と言いますか。これは映画に限らなければ特殊なことではなく、美術館や水族館や博物館に行った時には、そういう頭の働きをしているはずなんです。美術館や水族館や博物館には一本のストーリーは無いのですが、ひとつひとつの展示物が、映画で言うひとつひとつのシーンだと思うんです。

「ストーリー」は、見ている時は観客の心を引っ張りますが、見終わった後に残るのは「シーン」だと思うんです。今回の作品ではそこを極端なカタチにして、シーンだけが残る作品をとして作りました。シーンを残すためにストーリーが邪魔になったのでストーリーを極端に無くしたんです。

そんな作り方の154分もある作品を作れた事は、本当に幸せな事だと思っています。本当にたくさんの方々に支えられ、見守られ、作ることが出来ました。立ち上げメンバーとして、クロマリズムの伊東さん、ダッシュの勝俣さん、石井さん、天竺桂さん、春野くん、アートディレクターの村上さん、TEEMAの岡崎さん、この少数精鋭で乗り切った事も誇りに思います。

特に勝俣さんの追い込みは凄かったです。勝俣さんの追い込みがあったからこそ、10月末に完成し、このタイミングで試写会が出来たんだと思います。勝俣さんの追い込みがなかったら、たぶん今ごろまだ撮影も始まっておらず、シナリオを書いていたと思います。勝俣さんの「監督に作品を完パケさせる」というところのキレ味には、ものすごいモノがあります。震えます。いつか長文の「勝俣円論」を書いてみたいと思います。監督側から見たプロデューサー論で、すごく面白いかと思います。

そして、この映画を会社のプロジェクトとしてGOを出して頂いた、ダッシュの小暮さんには本当に感謝しかありません。こういうプロジェクトを面白がってどんどんやろうという制作会社は最近あんまり聞きません。すごいです。ダッシュの方々には、昨日の試写会の受け付けなどの仕切りもやって頂きました。本当にありがとうございました。

『Shell and Joint』については、今後もいろいろと文章にして書いていきたいと思います。まだまだ書きたいことが山のようにありますので。

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