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習慣は未来への投資

いやしかし!

「習慣は未来への投資」なんて、どこかの業界団体のスローガンみたいですね。医療系とかでありそうです。あるいは真面目な電車の中吊り広告にも書いてありそうです。習慣化させればモノが継続的に売れますからね。こういう「習慣は未来への投資」みたいな真面目なツラをした文章が一番危ないんですよ。人をダマそうとしている腐臭がします。

おばあさんがイスに座っていて、横に孫が立っていて、斜め後ろから男性がおばあさんの肩に手をかけている写真が似合いそうです。背景は芝生と青空で下手クソな合成です。そんなビジュアルなんかPIXTAで探せば3000円台で買えるのに「撮影しないと本当の意図が伝わりませんよ」とか言われて、400万円の予算で作っちゃった感じでしょうか。

そんな前置きはどうでもいいとして、習慣は未来への投資なんです。これは断言できます。間違いありません。

そして、あらゆる事がなぜ続かないかと言うと、それをやった見返りが信じられないからです。

例えば、ダイエット。あと5kg体重を落としたいとします。でも1年経っても2年経っても5kg落ちません。それは本気で5kg落としたいと思ってないからです。なぜ5kg落としたいと思っているのに、本気で5kg落とせないかと言うと、5kg落とした見返りが具体的にイメージ出来ないからです。

5kg体重を落として、少し見た目が良くなるとか若く見えるとか、その程度のことでは続かないんです。なぜなら、さらにその先の、少し見た目が良くなったことで得られる見返りが全く想像出来ないからです。久しぶりに会った人に「あれ?少しシュッとしました?」と言われたいぐらいではダイエットは無理なんです。だって、ビールは美味しいんですから。毎日飲みたいんですから。

私が本気で5kg体重を落とせたのは、内臓脂肪がたっぷりあるにも関わらず腹筋を鍛え始めたことで、胃酸が逆流するようになり、その胃酸が気管支に入って咳喘息を引き起こしたからです。

だから私は「咳を止めたい」という見返りを想像することで、アッという間に5kg落とすことが出来ました。だって、毎日咳喘息のために朝晩とステロイドの吸入をしてたんですよ。そのツラさと面倒臭さに比べたら、5kg体重を落とすことなんて簡単なんです。

私の最大の失敗は、その咳喘息が肥満から来ていると思っていなかったことですね。家の中にダニがいるのかも知れないとか、ハウスダストが酷いかも知れないとか、幹線道路が近くて空気が汚染されてるかも知れないとか、いろいろ疑ってたんですが、結果的には肥満から来る咳喘息でした。咳喘息の吸入薬を8年ぐらい吸っていた気がします。

でも、咳を止めたいという未来を想像して、食習慣を変えたんです。ダイエットは習慣化しか方法がありませんから、まさに「習慣は未来への投資」なんです。

ダイエットの例は分かりやすい例なんですが、創作においても習慣は未来への投資になります。

まあ、あえて声高に言う必要も無いんですが、毎日作品をコツコツ作っていればいずれ作品は完成します。その作品が世界的な評価を得るのか自己満足で終わるのか分かりませんが、完成させたという事実は残ります。この世には99%の完成させない人と1%の完成させる人がいるんです。だから、何でもいいから完成させるだけでスゴいことなんです。

私は常に作品を作っていないとダメな人間です。「わ〜!いま何にも追われてない!嬉しい!」という状況にはなれないんです。何にも追われてないということは、将来何も無いということですから。今やっているから未来にいいことが待ってるんです。だから、何もやってない状態はすごく怖いんです。

いやしかし!(2回目)

実は今は何もやってないに近い状態なんです。仕事だけをやっていて、仕事ではない創作は後回しにしてるんです。「仕事だけやるって楽だな〜」とは思いますが、内心ビクビクしています。

なぜ何もやらなくなってしまったのかと言うと、やったことで未来に何が待っているのか想像できてないからです。「あれ?少しシュッとしました?」程度のモチベーションでは5kgも落とせないんです。

そうなってしまった理由は、経験を積みすぎて、あるいは年齢を重ねすぎて、評価を俯瞰で見すぎているからです。極端な言い方をすると、「世界的な評価を得たとしても1000年後には誰も覚えてない」みたいな抽象化をしてしまうからです。極端に言うとですよ。

大人になるといい意味で達観して来ますので、欲望のコントロールや欲しいモノを諦めるロジックを身に付けてしまいます。そのロジックを手に入れてしまうと動かなくなるんです。何をやっても「やっても無意味である」という答えになってしまいますから。

だから、あまり哲学的に人生を捉えるのも考えものだなと思うようになりました。手の届く欲望に忠実ぐらいがいいんじゃないかと思うんです。映画で賞を取って先輩に自慢したいとか、アーティストとしてデビューしてフラれた彼女を見返したいとか、作品をヒットさせて印税で6000万円のマンションを買いたいとか。

いや、もっと生々しくてもいいかも知れません。YouTuberになって自分の事を3軍呼ばわりしていた1軍を見返してやりたいとか、プロデューサーになって自分のことをバカにしていたカメラマンに仕事を「振らない」とかw。そのぐらいセコい欲望でもいいと思うんです。

そういうリアリズムが無いと、心の奥底から湧き上がる衝動が生まれないんですよね。

すごく分かりやすいのが、20代の愛人が出来たオジサンは今までプリウスに乗っていたのに、突然アウディとか買いますもんね。しかもスポーツカーみたいなヤツを。それもリアリズムから生まれる衝動なんだと思います。

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