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誕生日ランチ

先日、ワタナベアニさんに誕生日ランチをしてもらいました。初めて行く「ル ブルギニオン」です。いつもこの店の前は通っていましたが、行くのは初めてでした。ワタナベさんから話は聞いていて、絶対に行きたい店のひとつでした。

あ、ちなみに皆さんは「アニさん」と呼ぶかも知れませんが、ワタナベアニさんは会社時代の上司だったので、私は「ワタナベさん」なのです。

ワタナベさんと会うのはメチャクチャ久しぶりのはずです。前回いつ会ったのか覚えていませんが、チョイチョイLINEでもやりとりをしているので、久しぶり感は無いのです。

店の方にアルコールのメニューをオススメされましたが、ランチのあとに仕事があったので、素敵なコースでしたが水にしようと決めていました。

最初に3cmぐらいの肉のパイ包みみたいなのが出てきました。最高に美味しかったので慌ててシャンパンを注文しました。その時、忸怩たる思いを感じたんですが、私は「スパークリングワインを下さい。」と言ってしまったのです。なぜシャンパンと言わなかったのか。これ、私にとってはダサいのです。いつも安いヤツを飲んでいる感じが出てしまうからです。それなりの店に行った時のスパークリングワイン呼びはダサいのです。店の方に「シャンパンですか?」って聞かれちゃいましたし。テヘ。

次から次へと美味しい料理が運ばれてくる合間に、いろいろな話をしました。たぶんワタナベさんが他ではあまり話さないであろうギャラの話とか、仕事のスタンスの話とかをしました。私には自虐含みで話したりしてくれるので面白いんです。

いろいろな話をしていて、カメラマンはいいなあと思いました。カメラマンほどSNSで仕事が発生しやすい仕事はないなあと。カメラマンへの発注は「写真を撮って下さい。」ですからね。最高にシンプルで、あとはその価値に対するギャラの話をすればいいだけですから。

それに引き換え私の映像ディレクターという仕事は、SNSでは簡単には仕事が発生しません。まず映像ディレクターが何をしている仕事か分かりませんし、ギャラの相場なんかも全く見当もつかないと思います。

そして、一番大きいのは映像ディレクターはBtoBの仕事なんです。「国内最大の工場で仕入れ担当の責任者をやってる箱田です。」という人と知り合って意気投合しても、仕事をお願いすることは出来ないんです。箱田さんと仲良くなって100回飲みに行ったとしても、一緒に仕事をすることが出来ないんです。箱田さんが異業種交流会に積極的に参加しても、箱田さんが仕入れの仕事をゲットするのは至難の技なのです。

映像ディレクターはそういう仕事なんですが、カメラマンはBtoCが成り立つんです。大企業の広告の仕事から個人的なプロフィール写真まで仕事になりますからね。

そうこうしているうちに赤ワインも飲んでましたね。重めの。私は全ての酒の中で重めの赤ワインが一番好きなんです。ニ番目がIPAですかね。

デザートが出てきた時に私の名前がお皿に書いてありました。ワタナベさんは私と同じオジサンなのにそういう事が出来る人なんです。私は51歳になりましたが、出来ない「そういう事」がまだまだたくさんあります。人を喜ばせる事が苦手ですし、ガツガツ行くことも苦手です。

ワタナベさんは「オレたちにはガツガツ行く遺伝子が無いな。」と言いますが、私から見たらワタナベさんはガツガツ行けてる気がしています。私も「SNSで言いたいことを言って十分にガツガツしてる。」と言われることもありますけどね。

相対的に見てしまえばそうなんですが、世の中には正真正銘のガツガツ人間がいるんです。そういう人と比べたら私はタニシみたいなものです。ちょっと触っただけで引っ込んで出て来なくなりますから。私もガツガツ行かなきゃダメだと思っていた時期がありました。「映画祭のパーティに行ったら積極的に話しかけて!」などと助言を頂いたりもしました。

しかし!

ガツガツ行けたら違う人生だったと思います。承認欲求と自分の存在意義を確認するための作品を作る事もなかったでしょう。短編映画どころか美術大学にも行ってなかった可能性が高いです。

もはや私の中では「タニシでどこまでやれるか」って感じですね。要するに「引っ込み思案にしては最高に頑張ってる」を目指すイメージです。引っ込み思案を克服するのは無理なので。

と言うと「どこが引っ込み思案なんだよ!」と言われる事もあるんですが、自分を内側から見るのと、自分を外側から見られるのと、本当に違いますからね。

それにしてもワタナベさんみたいなチャレンジャーが先輩で良かったです。私はワタナベさんに踏み潰されて出来た獣道を歩けばいいんですから。前でつまずいていたらコースを変えられますからね。人によっては先輩がショボくれて金を借りに来る話とか、消息不明という話も聞きますから。

そういう意味では先輩が元気な後輩は幸せなんだと思います。後輩だけじゃなくて、周りにいる人たちも幸せなんだと思います。

なんとなく中年になって思うのは、自分の野心やプライドというのは若い時には猛烈に強いエネルギーを生みますが、中年になって物事の本質が見えてくると、人のために動く方がエネルギーを生み出す気がするんです。もはや野心やプライドなんかでは重い腰を上げるのは無理なんです。

私も周りの人の笑顔のために動いていこうと思います。

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