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褒めは互助会

人を褒めるのは大事だとよく言われます。たぶんそれは真実なんだと思います。褒められると根拠の無い自信が生まれます。でも、根拠が無いとは言え、その自信は自己認識の一部です。無意識に「自分は出来る」と思い込みます。

そして、根拠の無い自信に現実の自分を追いつかせようとします。たぶん、追いつかせようとするのも無意識だと思います。「自分は出来る」を言い換えると「自分はこんなもんじゃない」とも言えます。現実の自分はまだ未熟かも知れませんが、イメージしている自分はもっと上なのでそこに合わせようとします。

そういう意味でも人を褒めるのは本当に大事なことだと思いますし、子供や若者を褒めて伸ばすのはそういうことなんだと思います。私も若い頃、ワタナベアニさんにだいぶ褒めてもらって、根拠の無い自信をもらいましたw

いやしかし!

人を褒めるのは難しいんです。何が難しいのか分解していくと「照れくさい」にぶつかります。特に日本人はあの照れくさい空気を避けようとします。恐らく日本人は、照れくさい時にどういう顔をしていいのか分からないのです。

もしかして、それは武士道に通じるものがあるんでしょうか。あの照れくさい時の顔って、隙だらけですからね。敵に「おぬしは立派じゃ!流石である!」と言われて、照れくさい仕草してたらその瞬間にバッサリ斬られますからね。肩から腰にかけて斬られるはずです。斜めにズレて「えw?」と言いながら死にます。

いやしかし!

褒める方も褒められる方も、そこにはポジティブな感情しかないんだから、もっと褒めればいいんですけどね。

と言いつつ、難しいのは「本気で」褒めることなんでしょうね。本質を褒めると言いますか。接待で「よっ!社長!日本一!」みたいなビジネス褒めが得意な日本人はたくさんいますからね。お金のためなら恥ずかしさも照れくささも無くなる日本人の凄さ。

そして、実は解決策は簡単です。褒める練習をすることです。ほとんど英会話と同じだと思います。褒めの効用も知ってるし、どこをどう褒めたらいいかも知っているけど、褒めの練習をしてないから出来ないんです。口から褒めが出てこないんです。

試しに誰かを褒めようとしてみれば分かります。実際に言葉に出して褒める練習をしてないから、「◯◯さんて、あの…何ていうか…意外と…何ていうか…」と、長文読解では満点取れるのに、駅まで行く道を教えられないのです。

だから、英会話と一緒で普段から褒める習慣が必要なんでしょう。しかも対面で褒める練習が必要なんだと思います。LINEとかメールでは練習になりません。英語のメールでのやり取りは出来ても、英会話が出来ないのと同じですから。

何ごとでもそうですが、訓練されてないことは出来ないんです。「本気出せば出来る」という人がいますが、練習してないものは本気を出しても出来ません。

とは言え、面と向かって褒めるのは恥ずかしいものです。だから私も酒を飲んだ勢いで褒める事があるんですが、お互いに酒を飲んでるから褒めの効用が弱いんですよね。褒めた時もどう褒めたか覚えてませんし、褒められた時も何を褒められたのか覚えていません。次の日に「何かしらで褒められた気がするけど、具体的に覚えてない…」という事がしばしばあります。

あと「褒められても額面通りには受け取らないぞ!」と構えてしまう人も多いですよね。優秀な人に多いんですが、優秀な人を褒めると「全然!」「まだまだ!」「まったく!」「そんなことない!」と褒めを否定しちゃうんです。

私も誰かから褒められそうになると、脳の自動保存のスイッチをオフにして、右から左に受け流すモードにしてしまいます。何なら「早く褒めるのやめて欲しい」と心の中で思ってます。それは褒められてる時の顔が分からないからです。居心地が悪いんですよね。

「褒められても額面通りには受け取らないぞ!」と思ってしまう最大の原因は、自己評価が低くて褒めに耐えられないからだと思います。恥ずかしさや照れくささもありますが、褒め殺しと言うか、嫌がらせの褒めに感じてしまうんです。

そういう意味では、褒められる方も練習が必要です。よく若者で「私は褒められて伸びるタイプですから!」という人がいますが、褒められる練習をしてないから褒めても伸びません。だから上司は「やっぱり褒めても伸びないじゃないか!叱ろう!」になってしまうんです。

対面での褒めは英会話レベルでハードルが高いんですが、SNSの中ではしっかり褒めているポストを見かけます。文章だからハードルも下がるんでしょう。

と言いつつ、衆人環視の中での褒めなのでハイレベルなテクニックも要求されます。下手すると媚を売っているように見えてしまいますからね。

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