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フリーランスが言うべきなのは「レギュラー仕事下さい」である。

私はフリーランスになって25年ぐらい経ちますが、幸運にも仕事が途切れることはありませんでした。最初の10年ぐらいはバブルの余韻があったので仕事もそれなりにありました。バブルの余韻と言っても、おじいちゃんの形見から薄っすら臭う加齢臭ぐらいの余韻でしたが。本格的にCM業界の景気が悪くなったのはリーマンショック以降です。

最初の10年はまだ仕事があったので、その10年はほとんど単発の仕事の積み重ねでした。毎年確定申告をする度に「今年もよく乗り切ったな」と思ってました。不思議なことに単発の仕事の積み重ねでしかないのに、年収はあまり変わりませんでした。たぶん、コップの容量が同じだからそれ以上入らないみたいなものかも知れません。それだけ仕事がたくさんあった時代ということでもあります。

それ以降、いくつかのレギュラー仕事を持つことが出来ました。フリーランスにとって最も大事なのはレギュラー仕事を持つことだと断言出来ます。フリーランスの人は「仕事を下さい」と言わずに「レギュラー仕事を下さい」と言い続けるべきです。べきなのです。そして、仕事を取りに営業するとするならば、レギュラー仕事を取るための営業をするべきです。べきなのです。それほどまでにフリーランスを成立させるために大事なのがレギュラー仕事なのです。

レギュラー仕事にもいろいろな規模があります。一番多いのは、年に2回ぐらいCMを作る仕事だったりしました。そういう規模のレギュラー仕事がいくつかあると、年に6回ぐらいのレギュラー仕事があることになります。6回でも生活出来るほどの収入にはなりませんが、その隙間に単発仕事が入ってきます。そういう時期が何年もありました。不思議なことに、そういう時でも年収はほぼ変わらないんですよね、やっぱりコップの大きさは変わらないからでしょう。

たまに「コンビニのCMをやりませんか?」というお誘いがありました。コンビニは毎週新しいお弁当などの商品を出すので、毎週撮影をすることになります。そういう仕事は1本単価のギャラは安いんですが、年間を通したら生活を安定させるほどのエネルギーを持っています。帯のワイドショーのMCをやるようなものです。ワイドショーのMCの方を見る度に、「ああ、この人はレギュラー仕事にありつけて幸せだな。」と思ってしまいます。

一方でそのコンビニのCMの仕事を引き受けたら、他の仕事をしているヒマはありません。その当時、私はまだ若かったのでそのコンビニのCMのオファーを断ってしまいました。メチャクチャ大変になることも予想できましたし、若さゆえにもっと面白い仕事をしたいと思ったからです。それが若さの良いところでもあるし、悪いところでもあります。フリーランスが最優先すべきなのがレギュラー仕事だとするならば、コンビニのCMなんて金塊のようなものなんですけどね。

いやしかし!

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Xや無料noteでは言えない事。毎記事2000文字以上。月に5〜8回投稿。多い時は10回以上。映画監督、映像ディレクターの仕事について。フリーランスの生き抜き方をフリーランス歴20年以上の経験から。「中年の危機」に悶絶している様子をリアルタイムに報告。子供を2人育てる父親の視点と哲学。世の中に対する日々の雑感。親友の画家、石田徹也について。などなどを書いています。

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