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これからが本当のコロナ後(無料記事)

「やっとコロナが終わった」なんて言うと、「バカヤロー!医療機関は現在進行系で逼迫してるんだ!」と怒られそうなんですが、気持ちの上ではコロナはやっと終わったという感覚があります。終わったと言い切らなくても、マラソンで言うところの競技場に戻って来たぐらいの感覚はあります。

と言いつつ、我が家では一ヶ月前に初めてコロナのパンデミックが起きたので、やっと終わったと言うよりも、最近終わったという感じでもありますが。私は家で起きたパンデミックの中で二日間は生活しましたけど、感染することはありませんでした。軽く感染してN抗体を獲得したかったですけどね。

世の中はだいぶ前にコロナ後に入った感覚があります。日本の隅々に海外からの旅行者が来ているのを見て強くそう思いました。7月に礼文島・利尻島に行き、8月に西表島に行きましたけど、その段階ですでに海外からの旅行者がたくさんいました。

そしてふと気づいたんですが、これから本格的にコロナ後を生きていかなければならないんです。コロナがそれまでの生活を一変させてしまったので、その変わってしまった生活を元に、どういう人生にしていくか考えなければなりません。もしかしたら会社に勤めている人は出社が再開することで、元の生活に戻る感覚があるのかも知れませんが、私はフリーランスでそういう働く基盤が無いので、大きく変わってしまいました。

本当に一番大きく変わったのは、一日中家で仕事をするようになったことです。コロナ前までは、CM制作会社のダッシュさんに毎日のように行って働いていました。私は本当にダッシュさんに良くして頂いていて、社員でも無いのに私の机があるんです。コロナ前は社員の誰よりも早く行って、出社してくる人たちを出迎えて、夜は誰よりも遅く会社に残って、最後の1人にならないようにだけ気をつけて働いていました。さすがに私は社員じゃないので、セコムの施錠までは任されていませんでしたので。

私がダッシュさんの机に座って仕事をしている理由は何かと言うと、制作部がワイワイしている中で仕事をすることが好きだからなんです。集中したい時には勝手に自分だけノイズキャンセリングヘッドフォンをして仕事をして、無駄話をしたい時には話しかけたりするんです。そういう働き方って、脳への刺激に緩急があってすごくいいんです。集中する時の没入度は、家で一人で仕事をしている時とは比べ物になりません。

それが今は完全に自宅で仕事をするようになりました。コロナになって二年ぐらいは小さなチャブ台を床に置いて、柱に寄りかかって仕事をしていましたが、「コロナ終わんねえぞ…」と思い、寝ている部屋を本格的に仕事部屋に改造したんです。大きな机を置いて、一日中座ってられるイスも買って、MacBookProに27インチのモニタを繋いで仕事をするようになりました。

家で仕事をするメリットは、かなり健康的な生活になったことです。朝起きてウォーキングして筋トレして。10時〜15時ぐらいで仕事をして。夕方にもう一度、今度は長めのウォーキングをして、そこでいろいろとアイデアを考えたり物思いにふけったり、人生を見つめ直したりしてるんです。

そのせいか、だいぶ健康になった気がします。でも、家にずっといるので「今日、飲みに行きませんか?」という刺激がありません。夜遅くまで仕事をして、残っている人たちで「軽く飲みに行きますか?」という事もありません。それは健康にはとてもいいんですが、そうやって人と会わずに話もしないことによって、何か新しいことを始めるチャンスもぐっと減りました。

例えば「今年も短編映画作りましょうよ。」とか、「そろそろまた長編映画も作りましょうよ。」とか、「あの権威あるアワードを狙ってみませんか?」とか、「面白い企画を思いついたんでどこかに売り込めませんかね?」とか、そういう話って飲みに行った流れで湧いて出て、そのまま「じゃあやりましょう!」となって動き出すことが多かったりしたんです。

今はそれが全くゼロになったので、何かを始めたかったら自分の重い腰を上げて動かなければなりません。「流れで」みたいな事が無いんです。何なら企画書を作って時間を作ってもらいプレゼンテーションしなければなりません。それって、流れでいろいろ決めていた事に比べたら100倍ぐらいエネルギーが必要です。100倍は大げさだとしても、10倍は必要だと思います。そうなるともうこの重い腰は、自分だけの力じゃ持ち上がらないんです。

にも関わらず作品を作りたいと思うのなら、今までとは違った新しい作り方を考えなければならないんです。これがコロナ後です。

コロナによって良くも悪くもいろいろ変わってしまいました。でも、コロナ前を懐かしがっていてもダメなんです。思いっきり働き方や生活が変わってしまいましたから。だから変わってしまったことを前提に、もう一度生き方を考えなければなりません。生き方というのは大げさですけど、社会に出て30年ぐらい培ってきたやり方が出来なくなってしまった今、創作し続けるための新しい環境をしっかり考えなければならないと思ってます。

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Xや無料noteでは言えない事。毎記事2000文字以上。月に5〜8回投稿。多い時は10回以上。映画監督、映像ディレクターの仕事について。フリーランスの生き抜き方をフリーランス歴20年以上の経験から。「中年の危機」に悶絶している様子をリアルタイムに報告。子供を2人育てる父親の視点と哲学。世の中に対する日々の雑感。親友の画家、石田徹也について。などなどを書いています。

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