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10月個展作品紹介4(23年)

新作の紹介です。

 静かな足音を感じる

新しい世界がいた

長い長い時間を掛けて歩む

どこへ辿り着くのだろうか

作品紹介

 ずっと描きたかったイメージです。
 これまでの作品でも繁茂する葉っぱに少女が浮いている様子は描いてきました。その葉っぱはどこから生えているのだろう?と考えたら、鹿の角から生えていました。
 作品導入の言葉にもあるように長い時間を掛けてこの動物(植物)は後戸の外の世界を目指します。つまりこの鹿は時間の具体化、象徴化です。
 この空間では動物と植物の境界は曖昧です。また周りに金魚が泳いでいるあるいは飛んでいるようにここが地上なのか水中なのかも判然としません。音すらも世界と溶け合い聴こえるものというよりは感じるものなのです。
 少女自体も独立した少女としてというよりは植物の一部としての少女、あるいは世界の一部としての少女であり、世界と常に繋がっている存在です。

 さてこの動物も他の作品が葉を茂らせ外の世界へと出ていくように、角から生えた植物はどんどん育ち、歩みを進めて新しい世界の源となるのです。この後のこの動物の姿も別の作品に描きましたので、追ってご紹介します。

動物から植物が生える

 鹿から植物が生えているものといえば春日大社の鹿、春日鹿曼荼羅や春日神鹿を連想される方も多いと思います。実はこういった遺物を見ていつかは自分でも描いてみたいという思いもありました。上でも書いたように、後戸の植物の性質として、そして日本の遺物の影響の2点が本作の源泉です。
 もちろん春日鹿にはきちんとした縁起があります。しかしそれ以上にこういう組み合わせを形にする発想力に魅力を感じるのです。世界に存在しないイメージを形にして、実在する存在以上の意味を見いだせる人間の能力は素晴らしいものだと思うのです。その一翼を担えるような作品を作りたいと思うのです。

 実は当初の完成図に金魚はいませんでした。でもそれだと寂しいなと思い鹿の眷属を配してみました。色味が華やぎ、それと同時に金魚の位置が植物自体の立体感を示唆することができるので、空間全体の奥行きも表現することができました。鹿が寂しいと思っていたのか、それとも空間自体が奥行きがなくて寂しがっていのか感覚というのは形にすると理解しやすくなるものなのだなと思いました。

 最後まで読んでくださりありがとうございました。
 引き続き個展作品の紹介をしますので、よろしくお願いします。

【作品情報】

題名: 悠久の時を歩む (岐 _∅_ 音のない足音)
大きさ:P8 号(455*333mm)
技法:パネルに油彩
価格:264,000 円(240,000 円 + 税)

【出品情報】

こちらの展示でご覧いただけます。

平林孝央個展
”再生 世界のみる思い出”

2023年10月20日(金)-29日(日)
24,25日休み
12:00-20:00
最終日は19:00まで

ギャラリーフェイストゥフェイス
〒167-0054 東京都杉並区
松庵 3-35-19 SHOEI BLDG.2 #102
(西荻窪駅南口徒歩 2 分)
03-6875-9377

https://www.facetoface2000.com/

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